星降る夜の寓話

映画の後は、食事に誘われた。
何がいいかと聞かれて、「横文字じゃない料理のお店」と答えると、大和さんはあきれたような顔をした。

テーブルマナーがわからないから、大和さんに恥をかかせてしまうと思ったのだけれど、これも家に帰ったら勉強しておこう……

何もかも初めてのことばかりで緊張するし、戸惑ってしまう。
「彼女のフリ」はわたしにとっては難しいことだと実感した。
でも、対価をもらう以上、しっかりと務めなければいけない。


男の人と2人で出かけたことがあるのは律だけで、でもそれもよっぽどの用事がある時だけで、用を済ませたらすぐに帰るから、2人で外食もしたことがない。

律は一緒に住む時に言われた通り、ほとんど家にいない。

わたしのお休みがシフト制ということもあるかもしれないけれど、一日中顔を合わせることもない。

それでも家にいる時は、よく一緒に映画を見てご飯も食べる。
でも、それがカレカノみたいなのかはよくわからない。



大和さんが地下鉄の改札まで送ると言うのを、駅へ続く階段のところでいいと断った。

「近いうちに、写真と脅迫状が届くと思う。受け取った物は悪いけどそっちで処分してほしい。届く回数が多ければ多いほど、犯人の痕跡を辿りやすい。だからこれからも頻繁に会うことにしよう」
「わかりました」
「おやすみ、環、また連絡するよ。旅行楽しんで」
「今日はありがとうございました。おやすみなさい」

挨拶をしてから、走って駅への階段を下りた。