星降る夜の寓話

ここだと言われた席がまるでソファみたいで驚いた。「みたい」じゃなくてソファなのかな。
テーブルもあって、荷物を置くスペースまで設けてある。

「ここに座って観るんですか?」
「そうだよ」

両サイドには仕切りまであって、隣からは見えないようになっている。
ゆったりとしていてまるで家のソファに座っているような感覚。


悲しい映画だったらどうしようかと思っていたら、映画は新米のサンタクロースが失敗を重ねながらも、世界中の子供たちにプレゼントを配っていくというコメディタッチの内容だった。

大画面に大きな音、ソファのようなペアシートに、最初は緊張していたものの、笑ったりちょっとせつなくなったりしながらも、暗くならないストーリーに、すぐひきこまれてしまって、いつの間にか周りが気にならなくなっていた。

初めて食べるキャラメル味のポップコーンも美味しくてとまらなくなってしまった。
前を向いたまま、家で映画を観ている時、律にそうしているように無意識に大和さんの口にもポップコーンをほうりこんだ。

そうしてしまってから「あっ」と気が付いた。

そっと大和さんを見ると普通に食べながら前を観ていたので、「失敗した」と思いながらも知らんぷりを決め込んだ。

しばらくして、大和さんが耳元で囁いた。

「さっきの、もう終わり?」

それで、もう一度、ポップコーンを大和さんの口に入れた。


これ、もしかして「彼女らしい振る舞い」というやつだった?


もしそうなら、律にはしてはいけないやつだった……

反省しながら映画を観続けた。