星降る夜の寓話

昔から父が苦手だった。

怖いとかそういった意味ではなく、情で物事を判断するその感覚的な部分が理解できなかったからだ。


大学を卒業し、ゆずり葉に入社して、すぐに「これはダメだ」と思った。

縁故で入った人間が多く、そのほとんどが使えない。
自分も縁故のうちに入るのだから、その部分については否定できないのだけれど、それにあぐらをかいて仕事ができない人間が多すぎる。

仕事をしている女性社員の手をとめさせてまでお茶を淹れることを要求する。飲みたければ自分で淹れろ。それが面倒なら自販機で買え。
なぜ何でも紙に印刷させる?
ExcelとWordくらい覚えろ。わからないなら学べ。
若い社員が持って来たSNSとの連動企画をよくわからないという理由で却下するな。

それらを全て父にぶちまけた。

けれども、父は、「入ったばかりのお前にはわからんよ」と言って、使えないあいつらの生活の心配をし、降格も減給も解雇も認めなかった。

それならば、5年は何も言わずに勤めようと決めた。
その5年のうちに「社長の息子だから」という言葉を払拭させるくらい、実績をあげようと決意した。

そして、あいつらを全員解雇してやろうと決めた。


手始めにオンラインショップの開設を進めた。
自社ショップに加え、有名ショッピングモールへの出店も行った。
同時に、全国の物産展にこちらから出展を取り付け、あちこちのプレゼント企画にも賛同した。

そして目をつけたのが、青葉店だった。

青葉店は、郊外にあるため、他の店舗より周りの土地が安い。
また、1Fの店舗の裏に工場を併設している。

その利点を生かして、2Fの事務所をオンラインショップの拠点にした。
これでネット注文に迅速な対応が可能となる。

オンラインショップの売上が伸びてきたところで、今度は青葉店の周りの土地を買い取り、大型バスが停車できる駐車場を作った。
それから、旅行会社と学校関係を回り、ゆずり葉を宣伝していった。

新しいことを受け入れることができない老害たちには「社長の息子」という肩書でねじふせた。

知っているか?

これらは全て、もう同業他社ではやっていることで、それに倣っただけなんだ。

これはまだスタートでしかない。