「僕は、ここ数年、ストーカーの被害にあっている。それを何とかしたい」
「それは警察に言ってください。だから律と関係があるって言ったんですか?」
「警察には何度も相談した。でも、被害らしい被害がないから動けないと言われた」
杠葉さんはテーブルの上に数枚の写真を並べた。
その写真には、杠葉さんとわたしが並んで歩いているところが写っていた。
「僕が女性と2人で会うと、次の日に決まってこういった写真が送られてくる」
あんな短い時間一緒にいただけなのに写真を撮られたってこと?
「そして誰かと付き合うと、そのターゲットは相手に移る。そっちは脅迫状と共にね。それで怯えて彼女は僕の元から去る。これを何度も繰り返している」
「……いつからですか?」
「大学を卒業する少し前くらいからだから、もう7年近くになる。気にしない子もいたんだけど、そうすると嫌がらせはエスカレートしていく」
「エスカレート?」
「送られてくる物が写真から、死骸にね。最初は小さな虫。それがだんだんと大きくなっていって、ネズミ……」
「そこまででいいです!」
「ずっと続いていた子がいたんだけど、飼っていた犬に毒を盛られた。死ぬほどの毒ではなかったけれど、このまま僕と付き合っていたら次はどうなるかわからないという脅迫状が届いて、別れを切り出された」
「そんな……」
「警察は役に立たない。それで人も雇っているけれど、なかなか尻尾を掴めないでいる。いい加減こっちから仕掛けたいと思っていた時に、君を見つけた」
「どうしてわたしなんですか?」
「……僕は、父みたいに情で動く人間じゃないんだ。仕事も、無駄は省いて、必要のない人員は切るべきだと思ってる。先月大幅なリストラがあったのを覚えてる?」
「はい」
「あれは僕の指示。父は最後まで反対していたけれど。それが、さっきの答え。僕は君に全く興味がない。君が適任だと思うのは、君がひとりだから。君が傷ついたとして、怒るのは五條律くらいじゃないかな?」
「そこまで正直に言われると、返ってスッキリします」
「この提案をのんでくれたら、そっちの条件は何でものむよ。欲しいものをあげる」
「何でも……」
わたしが欲しいものは、一つだけ。
杠葉さんがわたしに興味がないと言うのなら迷いはない。
「お金をもらえますか?」
「いいよ。いくら欲しい?」
「680万」
「中途半端な額だ」
「それだけもらえたら、杠葉さんの言う通りにします。何かあったとしても構わないです」
「すぐに振り込むよ」
「いえ、今じゃなくていいです。全部終わった後で」
「わかった。約束する」
「口約束は嫌です。きちんと書面でください」
「すぐに手配する」
「どうせお調べになってるんでしょうけど、わたしは五條律と一緒に住んでいます。フリだとしてもお付き合いするのなら、マンションを出た方がいいですよね?」
「そのままでいいよ。その方が、ストーカーから君へのアタリも強くなるだろうから。僕は君の私生活にも興味はない。ただ、この話を知ったら五條律は必ず止めに入るだろうから、彼には絶対に隠してほしい。もちろん他の誰にも」
「わかりました」
「交渉成立だ」
「それは警察に言ってください。だから律と関係があるって言ったんですか?」
「警察には何度も相談した。でも、被害らしい被害がないから動けないと言われた」
杠葉さんはテーブルの上に数枚の写真を並べた。
その写真には、杠葉さんとわたしが並んで歩いているところが写っていた。
「僕が女性と2人で会うと、次の日に決まってこういった写真が送られてくる」
あんな短い時間一緒にいただけなのに写真を撮られたってこと?
「そして誰かと付き合うと、そのターゲットは相手に移る。そっちは脅迫状と共にね。それで怯えて彼女は僕の元から去る。これを何度も繰り返している」
「……いつからですか?」
「大学を卒業する少し前くらいからだから、もう7年近くになる。気にしない子もいたんだけど、そうすると嫌がらせはエスカレートしていく」
「エスカレート?」
「送られてくる物が写真から、死骸にね。最初は小さな虫。それがだんだんと大きくなっていって、ネズミ……」
「そこまででいいです!」
「ずっと続いていた子がいたんだけど、飼っていた犬に毒を盛られた。死ぬほどの毒ではなかったけれど、このまま僕と付き合っていたら次はどうなるかわからないという脅迫状が届いて、別れを切り出された」
「そんな……」
「警察は役に立たない。それで人も雇っているけれど、なかなか尻尾を掴めないでいる。いい加減こっちから仕掛けたいと思っていた時に、君を見つけた」
「どうしてわたしなんですか?」
「……僕は、父みたいに情で動く人間じゃないんだ。仕事も、無駄は省いて、必要のない人員は切るべきだと思ってる。先月大幅なリストラがあったのを覚えてる?」
「はい」
「あれは僕の指示。父は最後まで反対していたけれど。それが、さっきの答え。僕は君に全く興味がない。君が適任だと思うのは、君がひとりだから。君が傷ついたとして、怒るのは五條律くらいじゃないかな?」
「そこまで正直に言われると、返ってスッキリします」
「この提案をのんでくれたら、そっちの条件は何でものむよ。欲しいものをあげる」
「何でも……」
わたしが欲しいものは、一つだけ。
杠葉さんがわたしに興味がないと言うのなら迷いはない。
「お金をもらえますか?」
「いいよ。いくら欲しい?」
「680万」
「中途半端な額だ」
「それだけもらえたら、杠葉さんの言う通りにします。何かあったとしても構わないです」
「すぐに振り込むよ」
「いえ、今じゃなくていいです。全部終わった後で」
「わかった。約束する」
「口約束は嫌です。きちんと書面でください」
「すぐに手配する」
「どうせお調べになってるんでしょうけど、わたしは五條律と一緒に住んでいます。フリだとしてもお付き合いするのなら、マンションを出た方がいいですよね?」
「そのままでいいよ。その方が、ストーカーから君へのアタリも強くなるだろうから。僕は君の私生活にも興味はない。ただ、この話を知ったら五條律は必ず止めに入るだろうから、彼には絶対に隠してほしい。もちろん他の誰にも」
「わかりました」
「交渉成立だ」



