17歳の、刹那。

俺が学校を辞めることを話しても、親はなんにも言わなかった。

たいして勉強もできねぇ俺が、このまま高校なんか行っててもしょうがないとでも、感じてたのかもな。

学校に提出した退学届は、待ってましたとばかりにソッコー受理されて、

俺と正夢の退学はあっさり決まった。


正夢は「これでいい」なんて言ってたけど、本当に、これでよかったのかよ?

おまえは、やっぱりまだ学校に行きたかったって、ホントは思ってるんじゃねぇの?


けど正夢は、もうこの話はしたがらなくて、俺たちは高校中退の話を口にすることもなく、

また普段通りの付き合いに戻っていった――。


ただ、一度だけ、正夢とバイト終わりにファミレスに寄った時に、

あいつはちょっとじょう舌になって、こんな話をした。


「おまえが入院してたとき、おまえの姉ちゃんもお見舞いに来たんだぜ。寝てたからって、顔だけ見て帰ってったけど。

……姉ちゃん、いい人じゃん。

おまえはいつも、頭イイばっかりで付き合いにくいとか言ってるけど、

いい姉ちゃんだって。

俺も、なんか『涼のことをよろしく』なんて、頼まれたし……。

あの親とは、大違いだよ……。

よろしくなんて頼まれたらさ、俺がちゃんと引き受けないとって思って。

それで、どんなことがあっても、おまえのことは守るからって、

俺、そう決めたんだよ……」


こいつが、『退学』だなんて言い出したのは、そのせいかって。

なんか、なに責任とか感じちゃってんだよ、とか思ったけど、

正夢には、

「なんで、おまえ、彼女みたいなこと、言ってんだよ……」

って返した。ちっと照れ隠し。

今さら、マジメな顔して「うれしいよ」とか、言えるわけねぇだろ。


したら、正夢の方は、

「ちゃんと彼女くらい、作れや。ホント。おまえがいつまでもそんなんだと、俺が、気ぃ休まらねぇだろ」

なんて、ぶつぶつ言ってた。


なんかなぁーいいヤツだよな……ホント、おまえって。



ガッコー辞めたら、ミナからメッセージが来るようなこともなくなった。

いわゆる、自然消滅ってやつ。

退学するようなオトコは、オンナどもから見れば、彼氏としては既に許容範囲外なんじゃん?

まわりの友達にも、「退学した彼」とかじゃ、自慢もできねぇし。

ガッコーの中でけっこうモテてて、他のオンナらのせん望浴びれる存在でもなきゃ、俺みたいのなんて、もう用もねぇってか。


あーあ、こんなんじゃ俺、マジでいつまでたっても、

本物の恋愛とかできねぇかもな……。