17歳の、刹那。

数週間ぐらいして、俺の傷は治って、退院することになった。

退院後は、復学するつもりだったが、学校側からの通達は、停学処分――。

バイク事故を起こしたからっていう理由で、学校の方は、俺みたいに問題ばっか起こすヤツなんて、とっととやっかい払いしたいのかって思ってたら、

ミナから、こんなメッセージが着た。





涼、ガッコーやめちゃうの?

先生が、そう言ってたんだけど。。(T_T)

本当なの?


ミナ




やめる、ね……。チッ、もう、教師たちの間ではそういう話になってるってことかよ。

俺の戻る場所はないってことか。

まぁ別に、ガッコーなんかどうでもいいけどな。

けど確か、正夢も停学になってたはず……。

正夢の方は、どう思ってるんだか……あいつと一度、話してみっかな。


バイトが引けた後、話があるからと呼び出すと、

「わかってるよ……」

とだけ、正夢は答えた。

「……高校のことだろ?」

バイト先の向かいにあるファミレスで、俺がしゃべるより先に、正夢がそう切り出した。

「ああ……うん、わかってんなら、話早いけど、ガッコーこれからどうする?」

「学校……どうするって……?」

正夢が、俺の疑問に疑問で返してくる。

「いや、ガッコー行きたいのかってこと……」

俺は、退学になるかもしれないなんて話、どう言えばいいのかわからなくて、よけいに要領を得ない言い方になる。

しょせん頭わりぃんだし、しょうがねぇじゃん。

だから察してくれよ……正夢。


「学校は……行きたいけど……でも涼は、行きたくないのか……?」

正夢は、俺のおかしな雰囲気に、なんとなく気づいてくれたらしかった。

「行きたくないっていうか……行ければ、行きたいんだけどな」

「行ければって……なんだよ? 俺たち、停学だけじゃないのか? もしかして……」


正夢、ごめんな。おまえが、高校に行きたいのはわかってたけど。

おまえは俺といつもつるんでたから、目ぇつけられてて……それで、俺といっしょにやめさせられようとしてるだなんて、

だけど、どう言えばいいんだよ?


やっとここまで察してもらって、でもこれ以上、なんて言ってわからせればいいのかわからなくて、俺は隠し玉を出した。

さっきのミナからのメッセージ――



いきなりスマホの画面を見せられて、「なんだよ?」とのぞき込んだ正夢が、

文面を見て、はぁー……と、ため息をつく。


「やめさせられっのか、俺ら……」

「……向こうは、来させるつもりないみたいだな」

正夢が黙りこくり、俺もなんて続けていいか思いつかなくて、二人して黙って、目の前のアイスコーヒーをぼんやりと眺めてた。

「……コーヒー、飲めよ?」

正夢がそんな風に促して、沈黙を破る。

「ああ、うんだな……」

アイスコーヒーを一口飲む。

飲んで、

「学校……おまえだけでも、掛け合ってみたらどうだよ?」

と、話した。


「掛け合ってって……無理だろ」

と、正夢が即答する。

「だいたいバイク事故起こしたのは、俺の方なんだし。当事者がやめさせられないわけないしな」

「けど、俺のせいで、おまえまで……」

言いかけた俺に、

「なんで、おまえのせいなんだよ……」

正夢が低く言って、上目ににらむ。

「……俺が、学校でワル目立ちしてるからだろ……」

「カンケーねぇだろ、そんなの……」

正夢が俺から目をそらして、ぼそりと言う。

「俺はやめても別にいいけど……正夢は、話せば、残れんじゃないのか……ガッコー」

「……おまえがやめるのに、どうして俺が残るんだよ……」

「……でも、やめたくないんだろ? おまえは……」

そう聞くと、正夢は再び黙り込んだ。
 
黙ったまま、アイスコーヒーのグラスをストローでクルクルと回してから、

「俺も、やめる……」

と、正夢が口にした。

「やめさせられるってわかってるのに、行きたくもないし……」

正夢は言い終わると、ごくりとコーヒーを飲んだ。

「いいのかよ……それで」

「いいって。どうせやめさせられるんなら、先に退学届、出そうぜ?」

「退学届、か……」

正夢はそう強気に口にしたけれど、なんか目には涙がにじんでるようにも見えた……。