17歳の、刹那。


「なぁ、正夢|《まさむ》。また俺、告られちった」

「なんだよ、またかよ。で、ちゃんと断ったのか?」

正夢は、俺のダチ。俺が、唯一なんでも話せるヤツ。

「断んのめんどくせぇし……」

「んだよ……じゃあまた、付き合うのかよ? おまえは、いつもそうやって簡単にOKしといて、すぐ別れるんだから、ちゃんとしろって……」

「ああ、もううるせぇ! うんなこと、おまえに言われなくても、わかってるっつーの」

「わかってんなら……」

まだしゃべろうとする正夢の口に、棒付きキャンディーをつっ込んだ。

自分も包み紙をむいて、キャンディーを口に入れる。

ほんとは、タバコでも吸いてぇ気分だけど、見つかったら停学確定だし。

あーあ、つまんねぇな……。



正夢とは、小中高ともう長い付き合いになる。

いわゆる幼なじみってやつで、実は幼稚園もいっしょだったり。

2月生まれの俺とは、1月11日が誕生日で年がちょっと上ってだけで、

こいつは何かとアニキ面(ヅラ)をする。

でもいいかげんな性格で、まわりとぶつかることも多い俺と、

いつもいっしょにいて、一番俺をわかってくれてる存在、

それが、正夢――春武 正夢(はるたけ まさむ)だった。



スマホが震えて、ポケットから出して見ると、さっきのオンナからの着信。

なんだよ、もうメッセージ入れてくんのかよ?






さっきは、ありがとうございました。

佐倉さんと付き合えるなんて、

ウソみたいです(>_<)

ずっと好きで、でも佐倉さんモテるから、

彼女いるんだろうなって思ってて、

私が彼女になれるなんて、

思ってなかったんで(*^_^*)

これから、ヨロシクです。 

ミナ




読み終わって、「ああ……そう……」と、ため息混じりに呟いた。

「彼女から、なんかきたのか?」

と、正夢が訊いてくる。

「ああ、ついさっき、彼女になったばっかのから……」

「そっか。おまえさ、少しはオンナのこと大事にしてやれや? 付き合って捨てるだけじゃ、かわいそうだろ……」

「別に、捨ててるわけじゃないし。振られてんの、俺の方だし……」

「おまえが、なんもかまってやらないからだろ」

「好きでもないのに、なんでかまうんだよ……」

俺の言葉に、正夢がため息をつく。


「好きでもないんなら、付き合うなって、言ってるだろ……だから」

正夢がえらそうに、説教じみた言い方をする。

「……だって、しょうがねぇじゃん。好きって向こうから勝手に言ってくんだし。俺、別に好きなコとかいねぇし、だったら付き合っても問題ねぇかなって」

正夢の言い草に、なんとなくイラつく俺。

「問題、あるだろうが……」

正夢が、仕方なさげに口にする。

正夢の言いたいことは、わかってる。

わかってるけど、本当に誰かを好きになるなんてことが、

どういうことなのか、俺にはよくわからない。

付き合おうって言われるんで、ただ付き合ってるだけで、

付き合ったからって、別に相手を好きにも嫌いにもならない。

本当に誰かを好きになるなんてことは、あんまわからなくて、

俺には、こんな付き合い方しかできないんじゃないかって、思ってる。