「…なぁ、正夢。うちの姉貴、結婚すんだってよ」
「結婚? 本当かよ?」
自販機で買ったコーラを手に、「ああ」と、うなづいて返す。
「どうしても好きなひとがいるとかってさ、あのマジメだとばっか思ってた姉貴が、学生結婚だぜ?」
「でも、おまえの姉ちゃん、病院で会ったけど、すごくいい人だったぜ」
正夢が、コーラの缶をプシュッと開ける。
「……そうだっけか? でさぁー、今度結婚式とか挙げんだって……おかしいよな……」
炭酸をごくっと喉に流し込む。
「おかしかねぇだろうが」
「そうか? なんかな……姉ちゃんなんて、昔から俺と比べられるばっかりの、デキのいい奴ぐらいしにしか思ってなかったのに、学生結婚とかさ、どうかしてるんじゃねぇかって……」
思ってるままを、正夢に話して聞かせた。
「……それだけ、相手の男のことが好きだったんだろ……。姉ちゃん、いいひとだよ……やっぱり」
正夢が、ポツッと呟く。
「うん……なぁ、正夢?」
「なんだよ?」
「いつか……俺たちも、結婚とかするんかな?」
「するだろう……いつかは」
「そっか……」
俺たちは、バイト先のガソリンスタンドの壁に寄りかかって、ぼんやりと夕暮れの街をながめていた。
「……正夢、おまえがいつか結婚するときは、絶対に、俺に一番に言えよな?」
「あたりまえだろ」
と、正夢が即答する。
「おまえだって、俺に一番に言えよな? おまえが結婚するときには」
正夢から問い返されて、
「ああ……絶対、一番に言う」
俺も、すぐにそう返した。
街の向こうの、高いビルとビルの間に、夕日が沈もうとしていた。
「けどさ……おまえが、そんな風に結婚とか考えるなんてな、正直よかったって思ってるんだぜ……」
正夢が、ぼそりと言う。
「なんだよ、それぇ」
「おまえのこと、心配してたんだぜ、ずっと」
言いながら正夢が、俺の肩に片腕をまわしてくる。
「……ンだよ、心配とか、まだ言うかって……」
「……けどさぁ、ホント涼は、真剣な恋とかできるのかってさ……」
「ふん……まぁ、そのうちするんじゃん」
と、俺は軽口をたたく。
「そんなの、真剣な恋とか、急にわかるもんでもないだろ……ただ、さ……」
言葉を切って、俺は缶コーラを一気飲みした。
「ただ、本当に好きな女ができたら、正夢には一番に報告するし。それは、約束な」
「ああ、俺も、約束するから……」
正夢が、俺の顔をまっすぐに見つめる。
「だから、涼も、忘れんなよ?」
ビルの隙間の夕日は、もう見えなくなりかけていた。
「忘れねぇよ……」
そう口にして、俺は『この夕日に誓っても』なんて、ガラにもなく思っていた……。
「結婚? 本当かよ?」
自販機で買ったコーラを手に、「ああ」と、うなづいて返す。
「どうしても好きなひとがいるとかってさ、あのマジメだとばっか思ってた姉貴が、学生結婚だぜ?」
「でも、おまえの姉ちゃん、病院で会ったけど、すごくいい人だったぜ」
正夢が、コーラの缶をプシュッと開ける。
「……そうだっけか? でさぁー、今度結婚式とか挙げんだって……おかしいよな……」
炭酸をごくっと喉に流し込む。
「おかしかねぇだろうが」
「そうか? なんかな……姉ちゃんなんて、昔から俺と比べられるばっかりの、デキのいい奴ぐらいしにしか思ってなかったのに、学生結婚とかさ、どうかしてるんじゃねぇかって……」
思ってるままを、正夢に話して聞かせた。
「……それだけ、相手の男のことが好きだったんだろ……。姉ちゃん、いいひとだよ……やっぱり」
正夢が、ポツッと呟く。
「うん……なぁ、正夢?」
「なんだよ?」
「いつか……俺たちも、結婚とかするんかな?」
「するだろう……いつかは」
「そっか……」
俺たちは、バイト先のガソリンスタンドの壁に寄りかかって、ぼんやりと夕暮れの街をながめていた。
「……正夢、おまえがいつか結婚するときは、絶対に、俺に一番に言えよな?」
「あたりまえだろ」
と、正夢が即答する。
「おまえだって、俺に一番に言えよな? おまえが結婚するときには」
正夢から問い返されて、
「ああ……絶対、一番に言う」
俺も、すぐにそう返した。
街の向こうの、高いビルとビルの間に、夕日が沈もうとしていた。
「けどさ……おまえが、そんな風に結婚とか考えるなんてな、正直よかったって思ってるんだぜ……」
正夢が、ぼそりと言う。
「なんだよ、それぇ」
「おまえのこと、心配してたんだぜ、ずっと」
言いながら正夢が、俺の肩に片腕をまわしてくる。
「……ンだよ、心配とか、まだ言うかって……」
「……けどさぁ、ホント涼は、真剣な恋とかできるのかってさ……」
「ふん……まぁ、そのうちするんじゃん」
と、俺は軽口をたたく。
「そんなの、真剣な恋とか、急にわかるもんでもないだろ……ただ、さ……」
言葉を切って、俺は缶コーラを一気飲みした。
「ただ、本当に好きな女ができたら、正夢には一番に報告するし。それは、約束な」
「ああ、俺も、約束するから……」
正夢が、俺の顔をまっすぐに見つめる。
「だから、涼も、忘れんなよ?」
ビルの隙間の夕日は、もう見えなくなりかけていた。
「忘れねぇよ……」
そう口にして、俺は『この夕日に誓っても』なんて、ガラにもなく思っていた……。

