17歳の、刹那。

姉貴に頼まれて、実家に来てみたが、父親も母親もえらい怒りようだった。

「結婚なんて、絶対にダメです!」

とか、

「学生のうちに結婚することなんて、ありえないだろ!」

とか、そろって言いまくってた。

あまりに2人の口撃がおさまらないんで、

「……いいかげんにしろよ」

と遮ったら、今度はその矛先が俺に向けられた。

「なんで、涼が出てくるのよ?」

「そうだ、涼は関係がないだろうが!」

俺に、うるさくつっかかってくる。

「……もしかして、あんたがお姉さんをそそのかしたんじゃ、ないでしょうね……」

そんなことを言い出した母親に、

父親が、「そうか! そういうことか!」と、したり顔で決めつける。


怒りがこみ上げ、思わず怒鳴りそうになったところで、

いきなり、姉の方が「違うっ!」と、大声をあげた。


「私が、涼に話しにきてって言ったの。お母さんたちが、なんにも話を聞いてくれないから! 涼に、そそのかされてなんかいない! 私は、私の意思で結婚がしたいの!」


声を荒げて叫ぶ姉に、父親も母親も呆然とした顔つきになった。

無理もないのかもしれない……いつも従順だった姉が、こんな風に親に逆らったことなんて、恐らく一度もなかったことだろうから。

「……お父さんとお母さんの元にいると、息苦しいのよ……。いつだってプレッシャーを感じさせられて、勉強ばかりさせられて、たいして遊ばせてももらえなくて……。私は、まわりの友達が、そして涼が、うらやましくて仕方がなかった……」

俺が、うらやましかった……そんな風に、あの姉貴が思ってたなんて、考えたこともなかった。

姉は、昔から頭が良くて、俺とは違う道を歩いていくんだろうとばかり思ってたから、

そんな姉が、俺を見下すようなことはあっても、うらやましいと感じてただなんて、

思いもしなかった──。

「……だから、もう好きなひとといっしょになって、ここから脱け出したいの……。そろそろ、解放してくれてもいいでしょ? お父さんにもお母さんにも、とっても感謝はしてるけれど……」

泣きながら訴える姉に、父親があきらめたように、

「……だったら、もう勝手にしろ……」

と、言い捨てた。

「いいの?」と戸惑うように尋ねる母親に、父親は「もういい!」とだけ、

怒鳴るように答えた――。