スタンドのバイトと、バーの手伝いと、それに遊ぶ時間と、
その頃の俺は、1日の時間が全然足らないくらいだった。
あれから、仲良くなった政嗣ともつるむようになって、俺の部屋や正夢の部屋をたまり場にして、いつも3人で盛り上がっていた。
「なぁ、政嗣ー。おまえ高校って行ってんの~?」
正夢が、酔っぱらいのちょっとロレツの回らなくなった声で尋ねる。
酒なんか、まだ飲む歳じゃなくてっていうのは、わかってるけどさ。バーのマスターが、ハメはずさない程度ならいいかって言ってくれたんで、まぁオトナの許可もらったしってことで、カンベンしてくれよな?
そんで正夢は、酒が入ったりすると、なんか学校の話をすることが多かった。
そんな話を正夢の口から聞くたんびに、こいつはまだ退学のこと気にしてるんだろうなと、思わずにはいられなかった。
「高校? 行ってるよ。だって、俺医者になるんだし」
「医者? おまえがかよ?」
思わず聞き返す。
「なんだよ。うんな驚くなって、涼。ってか、俺が実は一番驚いてるんだけどー」
政嗣がへらへらと笑いながら話す。
「ああ、だっておまえんち医者だもんなぁ。家継ぐのかよ?」
正夢がカラになったグラスに、トポトポと酒をつぎ足しながら話す。
「おいコラ、正夢。マスターに許しもらってるからって、飲みすぎんな」
正夢から、チューハイの缶を取り上げると、
「おっ、珍しいな。涼が正論とか」
言って正夢が、けらけらと笑った。
「まぁなー……。俺も、継がねぇといけないみたいでな……」
じゃれ合う俺と正夢の横で、政嗣が神妙な顔つきで呟いた。
「長男なんでな、俺これでも……。家を継げないんなら、勘当とか言われててさ……。うちは、じいちゃんの代から医院やってるから、逃れられねぇっつうか……」
政嗣が「へへ……」と、口の端に軽い笑いを浮かべて見せる。
「俺みたいなデキの悪いのが、医者になろうと思ったら、どんだけがんばっても足りネェって感じで……やってらんねぇよ、マジで」
「でもさ……」と、正夢が口をはさむ。
「おまえは、いい医者になると思うよ」
「俺も、思うぜ。おまえなら、きっといい医者になれるよ……」
正夢の言葉にうなづく。
「そっか……2人とも、ありがとな」
政嗣は、ちょっと気恥ずかしそうな笑顔で応えて、
「まぁ、がんばってみるし。なるべくな」
と、付け加えた。
俺たちは、俺たちなりにいろんなものを背負っていて、
そうしてそん中で、必死に足掻いていた……。
俺は、家を出て、少ししがらみから解放された気にもなってたけど、
仕事して、遊んで、寝て、ひとりで生きてくことがあたり前にもなってた俺に、
だけど急にまた、あの"家"を思い出させることが起きた……。
その頃の俺は、1日の時間が全然足らないくらいだった。
あれから、仲良くなった政嗣ともつるむようになって、俺の部屋や正夢の部屋をたまり場にして、いつも3人で盛り上がっていた。
「なぁ、政嗣ー。おまえ高校って行ってんの~?」
正夢が、酔っぱらいのちょっとロレツの回らなくなった声で尋ねる。
酒なんか、まだ飲む歳じゃなくてっていうのは、わかってるけどさ。バーのマスターが、ハメはずさない程度ならいいかって言ってくれたんで、まぁオトナの許可もらったしってことで、カンベンしてくれよな?
そんで正夢は、酒が入ったりすると、なんか学校の話をすることが多かった。
そんな話を正夢の口から聞くたんびに、こいつはまだ退学のこと気にしてるんだろうなと、思わずにはいられなかった。
「高校? 行ってるよ。だって、俺医者になるんだし」
「医者? おまえがかよ?」
思わず聞き返す。
「なんだよ。うんな驚くなって、涼。ってか、俺が実は一番驚いてるんだけどー」
政嗣がへらへらと笑いながら話す。
「ああ、だっておまえんち医者だもんなぁ。家継ぐのかよ?」
正夢がカラになったグラスに、トポトポと酒をつぎ足しながら話す。
「おいコラ、正夢。マスターに許しもらってるからって、飲みすぎんな」
正夢から、チューハイの缶を取り上げると、
「おっ、珍しいな。涼が正論とか」
言って正夢が、けらけらと笑った。
「まぁなー……。俺も、継がねぇといけないみたいでな……」
じゃれ合う俺と正夢の横で、政嗣が神妙な顔つきで呟いた。
「長男なんでな、俺これでも……。家を継げないんなら、勘当とか言われててさ……。うちは、じいちゃんの代から医院やってるから、逃れられねぇっつうか……」
政嗣が「へへ……」と、口の端に軽い笑いを浮かべて見せる。
「俺みたいなデキの悪いのが、医者になろうと思ったら、どんだけがんばっても足りネェって感じで……やってらんねぇよ、マジで」
「でもさ……」と、正夢が口をはさむ。
「おまえは、いい医者になると思うよ」
「俺も、思うぜ。おまえなら、きっといい医者になれるよ……」
正夢の言葉にうなづく。
「そっか……2人とも、ありがとな」
政嗣は、ちょっと気恥ずかしそうな笑顔で応えて、
「まぁ、がんばってみるし。なるべくな」
と、付け加えた。
俺たちは、俺たちなりにいろんなものを背負っていて、
そうしてそん中で、必死に足掻いていた……。
俺は、家を出て、少ししがらみから解放された気にもなってたけど、
仕事して、遊んで、寝て、ひとりで生きてくことがあたり前にもなってた俺に、
だけど急にまた、あの"家"を思い出させることが起きた……。

