17歳の、刹那。

スタンドのバイトと、バーの手伝いと、それに遊ぶ時間と、

その頃の俺は、1日の時間が全然足らないくらいだった。

あれから、仲良くなった政嗣ともつるむようになって、俺の部屋や正夢の部屋をたまり場にして、いつも3人で盛り上がっていた。

「なぁ、政嗣ー。おまえ高校って行ってんの~?」

正夢が、酔っぱらいのちょっとロレツの回らなくなった声で尋ねる。

酒なんか、まだ飲む歳じゃなくてっていうのは、わかってるけどさ。バーのマスターが、ハメはずさない程度ならいいかって言ってくれたんで、まぁオトナの許可もらったしってことで、カンベンしてくれよな?

そんで正夢は、酒が入ったりすると、なんか学校の話をすることが多かった。

そんな話を正夢の口から聞くたんびに、こいつはまだ退学のこと気にしてるんだろうなと、思わずにはいられなかった。

「高校? 行ってるよ。だって、俺医者になるんだし」

「医者? おまえがかよ?」

思わず聞き返す。

「なんだよ。うんな驚くなって、涼。ってか、俺が実は一番驚いてるんだけどー」

政嗣がへらへらと笑いながら話す。

「ああ、だっておまえんち医者だもんなぁ。家継ぐのかよ?」

正夢がカラになったグラスに、トポトポと酒をつぎ足しながら話す。

「おいコラ、正夢。マスターに許しもらってるからって、飲みすぎんな」

正夢から、チューハイの缶を取り上げると、

「おっ、珍しいな。涼が正論とか」

言って正夢が、けらけらと笑った。

「まぁなー……。俺も、継がねぇといけないみたいでな……」

じゃれ合う俺と正夢の横で、政嗣が神妙な顔つきで呟いた。

「長男なんでな、俺これでも……。家を継げないんなら、勘当とか言われててさ……。うちは、じいちゃんの代から医院やってるから、逃れられねぇっつうか……」

政嗣が「へへ……」と、口の端に軽い笑いを浮かべて見せる。

「俺みたいなデキの悪いのが、医者になろうと思ったら、どんだけがんばっても足りネェって感じで……やってらんねぇよ、マジで」

「でもさ……」と、正夢が口をはさむ。

「おまえは、いい医者になると思うよ」

「俺も、思うぜ。おまえなら、きっといい医者になれるよ……」

正夢の言葉にうなづく。

「そっか……2人とも、ありがとな」

政嗣は、ちょっと気恥ずかしそうな笑顔で応えて、

「まぁ、がんばってみるし。なるべくな」

と、付け加えた。



俺たちは、俺たちなりにいろんなものを背負っていて、

そうしてそん中で、必死に足掻いていた……。


俺は、家を出て、少ししがらみから解放された気にもなってたけど、

仕事して、遊んで、寝て、ひとりで生きてくことがあたり前にもなってた俺に、


だけど急にまた、あの"家"を思い出させることが起きた……。