17歳の、刹那。

「……ねぇ、そこで何してるの?」

誰かが、うずくまっている俺の顔を、下からのぞき込んできた。

「……誰、あんた?」

目だけ上げて、そいつの顔を見た――なんか、ケバそうなオンナ――

「あたし? あたしはアサミっていうの。ねぇ、あなたちょっとイイ感じだし、なんならウチ来る?」

「ああ……」

ぼんやりと肯定の返事をする。

こいつがどこの誰でも、ふらふらの俺はとにかく休ませてくれれば、どこでもよかった。


だけど、俺の意識があったのは、そこまで……。

……目が覚めたら、オンナが素っ裸で横に寝てた。


「あ……れ?」

思考がついていかなくて、呆然と目の前裸を見てたら、

「起きたの?」

と、オンナが目をあけた。

「ああ……ってか、ゆうべって……」

「したでしょ。何、覚えてないの?」

「した、のか?」

SEXをしたとか言われても、何の感情もわかなかった。

「やだ……もう。覚えてないなんて、わりとショックなんだけど……」

そう笑いながら、オンナが口づけを迫る。

よける気もおきず、キスを受け入れた。

「ねぇ、覚えてないなら……もう一回しよっか?」

そのまま俺の上に覆いかぶさろうとするオンナの体を、片手で押しのけた。

「したくねぇから……」

「何よ〜いいじゃない」

まだオンナはやりたそうに、潤んだ目で俺を見つめた。

「もう帰るから」

視線をそらし、吐き捨てるように言う。

「そうなの? じゃあ、連絡先交換しない? また、しよ?」

「いいけど……」

別に断るのもめんどくさかった。

番号を交換して、オンナと別れた。


「おまえさぁ、昨日の夜どこ行ってたんだよ? 連絡しても全然つながらねぇし」

聞いてくる正夢に、「別に……」と、生返事をする。

「またオンナかよ……?」

「どうでもいいじゃん、そんなん」

と、正夢の顔に、覚えたてのタバコの煙を、いきって吹きかけた。

「う……げほっ! おまえホントいい加減にしとかないと、痛い目合ってもしらねぇぞ!」

正夢が大げさに煙を手で払いのける。

「関係ねぇだろ、正夢には」

「関係ねぇとか、どうしてそういうこと……!」

「うるせぇんだよ! いちいち!」

勢いにまかせて殴りつけようと、正夢の襟首をつかんだところで、思いもかけなかった涙にたじろいだ。

「……なんで、泣いてんだよ……おまえ」

「えっ……」と、正夢があわてたようにこぶしで目をぬぐう。

「泣いてなんか……いねぇよ……」

あからさまな泣き顔をそむけて、正夢がうそぶく。

「ふん、そうかよ……」

殴る気も失せて、襟首から手を放す。

「……。……心配なんだよ。本気で、おまえのことが……」

首をさすりながら、ぼそりと正夢が言う。




わかんねぇ……。

なんでおまえは、そんなに俺なんかのことが、心配になるんだよ……。

俺のことなんて、どうでもいいだろ……。

おまえは、自分の心配だけしてればいいだろうが……。

本気で心配するとか……わかんねぇよ、俺……。