幼馴染に恋を拗らせていたら、いつの間にか取り返しのつかないぐらい周りを巻き込んでいたらしい!

 ◆◇◆

 恋愛をすると、まるで人が変わる。
 ……とどこかで聞いたことがあるが、どうやら俺の彼氏はそのタイプだったらしい。

「綾斗、あーやーと。起きて」
「まって、あと五分……」

 今日休日じゃん。朝食の時間もまだじゃん。目を閉じたまま掠れた声でそう返せば、すぐ近くでゴソゴソと動く音が聞こえてくる。
 諦めてくれたか、と思えば。

「……キスする」
「うわーごめんなさい起きます!」

 無駄に色気のある声で囁かれた。慌てて起き上がる、というよりかは飛び起きる。よしまだ未遂。

「お、おは、よう」
「……そんな嫌?」

 目覚め一番に飛び込んできたのは、冬輝の拗ねたような顔だった。

「い、嫌じゃない、けど」
「ならいい」

 ぐいっと顔を強引に引っ張られ、そのまま慣れた手つきで当然のようにキスが落とされていく。

 ……心臓に、悪いんですけど……。

 それに、羞恥心とか、同じ男(しかも色気とか雰囲気とか何もない)にキスをするという抵抗心とかさ。
 その他もろもろ、どこに置いてきたのだろう、この男は。

 じわじわと顔を赤くした俺に満足そうに目を細め、冬輝は立ち上がる。

「好き、綾斗」

 その言葉を残して。
 ひとり部屋に置いてかれ、俺は枕に顔を埋める。

「あ〜……もう」

 思わずこちらが戸惑ってしまうような甘い青い瞳、前以上に豊かになった表情、溶けるような優しい声。

 ……冬輝のこと全部わかっていたつもりなのに、最近は全然そんなことなかったことを突きつけられてばっかりだ。
 まあ、これから知っていければ、いいんだけど……。

 ちなみに、ずっと俺たちが結ばれるように立ち回ってくれてたらしい圭と千くんに付き合ったことを報告すれば、まるで自分のことのように喜んでくれた。

『てことは、公表するん? 付き合ったってこと』

 その時の圭の言葉を思い出す。うーん……公表か。

 でも、フユアヤと俺たちは、あくまで別物だし。

 考え込んでいると、冬輝が戻ってきた。そして、持ってきてくれたらしい水が差し出される。

「ありがと」

 それをぐいっと飲み干してから、何となく「冬輝」と口に出してみた。あざとく上目遣いで、目を合わせて。

「好き」

 小さく呟いてみる。
 俺は冬輝を見て、密かに口角を持ち上げる。途端にじわっと火照った耳、泳ぐ瞳、口元を左手で隠す癖。

「……、俺も」

 照れてるの、バレバレ。