幼馴染に恋を拗らせていたら、いつの間にか取り返しのつかないぐらい周りを巻き込んでいたらしい!

 雨が降っていた。しとしとと、静かに、遠慮がちに。

「ふーゆーきー!」

 何となくぼーっとそれを窓越しに眺めていると、ぴょこんっと後ろのドアの隙間から顔を出した人物がひとり。
 ──綾斗は、俺を見つけると、嬉しそうに笑みを浮かべた。

「もうちょっとだよ、配信」

 サラッと揺れる明るい茶髪に、キラキラと煌めく赤い瞳。
 俺より頭ひとつ分低い彼は、隣に並んで顔を覗き込んでくる。

「……うん。今日は何だっけ」
「ホラゲ配信と、最後に圭との歌ってみた告知!」
「あぁ」

 確かに……やるって言ってたか。

 ホラーゲーム。デビュー当時にやって、綾斗がビビりまくって置いていたお茶をひっくり返した以来封印していたジャンル。
 真っ先に来る感情は、やはり、心配。その一言に尽きる。

「本当に大丈夫?」
「何回訊く気? 大丈夫だよ、ちゃんと去年から成長してるから!」

 ビッとピースをして、試してすらないのに何故か得意げな綾斗。

 ……そんな姿が、可愛くて。
 俺は頬を緩ますと、息をついた。

「そう。……じゃあ、行こっか」
「うん、今日も頑張ろ! フユ」
「ん、頑張ろう、アヤ」

 いつも通りアヤとハイタッチを交わした。

 フユアヤは相思相愛、一心同体だ。

 本人の俺でも、胸を張ってそう言える。
 でも。

 では、所謂「中の人」の冬輝と綾斗がどうか、と訊かれると。

 どうしても喉がつかえて、上手く言葉に出来ない。