◆◇◆
と、ほんまになんやかんやあったが、何とか無事にコラボ配信が終わった。
フユアヤ流石に鈍感すぎ問題からゲームを再開したが全然頭に入んなかったわ……きっとそれは視聴者も同じやろ。
『お疲れ様でしたー!』
いつもの倍疲れて脱力していると、すかさず大声が耳に飛び込んできた。思わず顔をしかめる。
なんでそんな元気なん……?
『今回は本当にコラボありがとう、圭』
「いや、こちらこそ。ありがとうな、フユ、アヤ」
正直超〜疲れたけど、でも。
俺は自然とはにかむ。
「楽しかったわ」
そんな言葉がスルッと出てきて、自分で驚いた。
……不思議やな、つい一ヶ月前はライバル視してた相手やのに。
今ではすっかり親密な仲だ。ほんまに人生いつ何があるか、変わるかわからない。
『俺も。楽しかった』
『も、もちろん俺も! ……ふは、改めて言われると恥ずいな』
照れたような、配信中とは少し違うアヤの声。今までは羨ましかった年齢も、後輩だと捉えた瞬間可愛く見えてくる。
でもそれを口にするとフユが拗ねてしまいそうなので、笑い返すだけにした。
と、ふと、ひとつのことを思い出す。そういえば、俺、謝罪しないといけないことがあるんやった。
「中間の休憩。あれ、ちょっと俺踏み込みすぎたわ。ごめん」
配信でも一応謝ったけど、流されてたから。もう一度謝ると、一瞬考える間のような静寂が挟まれた。
『……へ? あぁ、あれ? 何で圭が謝るの、全然大丈夫!』
『配信でも言ったろ、別に怒ってない』
「ほんま優しいな、お前ら……」
安堵の息をつく。でも、本人たちの間で解決したとしてもファンの間で炎上する可能性もある。気をつけよう。
それに俺の活動は、笑顔を届けるためであって、傷つけるためではない。
自分で確認しなぞった。最近は他の活動者とか動画の伸びとかばかりが頭を占領していたが、せや。
俺の原点はそれやった。
『じゃそろそろ、俺抜けるかも……時間が』
『俺も。……じゃあな、圭』
大事なことを思い出してじわじわと胸が温かくなる。それに浸っていたら、少し低いような細いような二人の声に我に返った。
……そうか、コラボ配信は終わったさかいに、俺たちが集まるのもこれで終わりか。
もうまたね、ではなくて、さようならだ。そう思うと、俺にしては珍しく寂しくなった。
そして、自惚れかもしれないけど、二人も寂しがっているような……気がする。
「あ、あぁ。またいつか話す機会があったら、」
そこまで言って、ふと止める。
……俺、なんか仕事とか理由がないと全く連絡せぇへんタイプなんよな。
相手から連絡がないとそもそもメール自体開かなくて、「連絡取り合おうな」って約束を交わし合った高校の友人とはもう一年以上話してない。
何だか、フユアヤともそうなる未来が簡単に想像できて、言葉を詰まらせた。
『圭?』
『どうかした?』
「いや……んー」
これからも仲良うしたいのでできたらそっちから頻繁に連絡が欲しい──とか言えるかあほっ!
それじゃただのわがままやないか。思考し、不意に壁に貼っていたポスターが目に飛び込んだ。
あぁ──そういえば、俺の初投稿、このイラストを使った歌ってみたやったっけ。
歌ってみた。cover曲。……全然違うことを考えていたのに、呑気にそんなことを思い。
ひとつのことを思いついた。
「あ、あのな! ──歌ってみた、投稿せぇへん? 三人で」
フユアヤは声がええから、結構な名案だと思った。別に配信でもええねんけど、──どうせなら。
けれど今の時点で歌系を一つも投稿してへんってことはNGなのかもしれないと言った後に気づき、断られる覚悟をしている、と。
『えっ、また圭とコラボできるってこと!? やった、もちろん!』
『今日は歌い手の圭が俺らのゲーム配信に付き合ってくれたしな。一肌脱ぐか』
とんでもなくあっさり了承された。
目をゆっくりと瞬く。そんな簡単に、即座に。
けれどここで「ええん?」とか言うてやっぱり無理とか言われたら困る。ええ返事だったのだから、素直に受け止めて喜ぼうじゃないか。
ふ、と力が抜け、その代わり笑顔が弾けた。
「……おおきに! ほな、また、この三人できばろう」
『うん! ……そういえば前も気になったんだけど、そのきばろうってなに?』
『確かに、関西弁だよな? どういう意味だ?』
「あぁ、これな。頑張ろうとか、そういう意味やねん」
『へえ〜! ちょっと可愛い!』
『きばろう……頑張ろうか。ん、頑張ろう』
う、ほんまにええ子たちでええ声や。そしてそういえば千とフユ兄弟何やんな、フユの兄ならあいつが声いいのも遺伝の問題か。
……今日の配信見てたかいな、千。
『じゃ、そろそろほんとに抜ける! また一緒にきばろ〜、圭!』
『またな、改めて今日はありがとう』
「こちらこそ! ほんまにおおきに!」
歌ってみたについてのミーティングはまた後で空いとる日程送っとくな、と付け加え、俺は通話を切った。
ヘッドホンを外し、一人コラボ配信の余韻に浸る。どっと疲れと高揚感が襲ってきた。
特に、休憩時間のあのトークで神経が削られた気がする。
『本気で好きです。俺は、アヤのこと』
『お、俺も好きだよ、大好き! 多分、フユ以上に好き……です』
あれさあ、……俺からはどっちもただの親友としての好き、には聴こえなかったんやけど。
ビジネスやただの親友なら、あの声は出ぇへんよ。
千がにやにやしていたのはこれかと苦笑する。なるほど、……確かにこれがビジネスは有り得へんな。
鈍感天然同士の両片想いか、ほんまに付き合ってるか。その二択や。
いつか教えてくれるだろうか。教えてくれるとええなと思いながら、微笑を零した。
まあ……一応人生の先輩から一言。
高校生活や青い春は長いように感じて一瞬やで。後悔のないようにきばり、フユアヤ。
と、ほんまになんやかんやあったが、何とか無事にコラボ配信が終わった。
フユアヤ流石に鈍感すぎ問題からゲームを再開したが全然頭に入んなかったわ……きっとそれは視聴者も同じやろ。
『お疲れ様でしたー!』
いつもの倍疲れて脱力していると、すかさず大声が耳に飛び込んできた。思わず顔をしかめる。
なんでそんな元気なん……?
『今回は本当にコラボありがとう、圭』
「いや、こちらこそ。ありがとうな、フユ、アヤ」
正直超〜疲れたけど、でも。
俺は自然とはにかむ。
「楽しかったわ」
そんな言葉がスルッと出てきて、自分で驚いた。
……不思議やな、つい一ヶ月前はライバル視してた相手やのに。
今ではすっかり親密な仲だ。ほんまに人生いつ何があるか、変わるかわからない。
『俺も。楽しかった』
『も、もちろん俺も! ……ふは、改めて言われると恥ずいな』
照れたような、配信中とは少し違うアヤの声。今までは羨ましかった年齢も、後輩だと捉えた瞬間可愛く見えてくる。
でもそれを口にするとフユが拗ねてしまいそうなので、笑い返すだけにした。
と、ふと、ひとつのことを思い出す。そういえば、俺、謝罪しないといけないことがあるんやった。
「中間の休憩。あれ、ちょっと俺踏み込みすぎたわ。ごめん」
配信でも一応謝ったけど、流されてたから。もう一度謝ると、一瞬考える間のような静寂が挟まれた。
『……へ? あぁ、あれ? 何で圭が謝るの、全然大丈夫!』
『配信でも言ったろ、別に怒ってない』
「ほんま優しいな、お前ら……」
安堵の息をつく。でも、本人たちの間で解決したとしてもファンの間で炎上する可能性もある。気をつけよう。
それに俺の活動は、笑顔を届けるためであって、傷つけるためではない。
自分で確認しなぞった。最近は他の活動者とか動画の伸びとかばかりが頭を占領していたが、せや。
俺の原点はそれやった。
『じゃそろそろ、俺抜けるかも……時間が』
『俺も。……じゃあな、圭』
大事なことを思い出してじわじわと胸が温かくなる。それに浸っていたら、少し低いような細いような二人の声に我に返った。
……そうか、コラボ配信は終わったさかいに、俺たちが集まるのもこれで終わりか。
もうまたね、ではなくて、さようならだ。そう思うと、俺にしては珍しく寂しくなった。
そして、自惚れかもしれないけど、二人も寂しがっているような……気がする。
「あ、あぁ。またいつか話す機会があったら、」
そこまで言って、ふと止める。
……俺、なんか仕事とか理由がないと全く連絡せぇへんタイプなんよな。
相手から連絡がないとそもそもメール自体開かなくて、「連絡取り合おうな」って約束を交わし合った高校の友人とはもう一年以上話してない。
何だか、フユアヤともそうなる未来が簡単に想像できて、言葉を詰まらせた。
『圭?』
『どうかした?』
「いや……んー」
これからも仲良うしたいのでできたらそっちから頻繁に連絡が欲しい──とか言えるかあほっ!
それじゃただのわがままやないか。思考し、不意に壁に貼っていたポスターが目に飛び込んだ。
あぁ──そういえば、俺の初投稿、このイラストを使った歌ってみたやったっけ。
歌ってみた。cover曲。……全然違うことを考えていたのに、呑気にそんなことを思い。
ひとつのことを思いついた。
「あ、あのな! ──歌ってみた、投稿せぇへん? 三人で」
フユアヤは声がええから、結構な名案だと思った。別に配信でもええねんけど、──どうせなら。
けれど今の時点で歌系を一つも投稿してへんってことはNGなのかもしれないと言った後に気づき、断られる覚悟をしている、と。
『えっ、また圭とコラボできるってこと!? やった、もちろん!』
『今日は歌い手の圭が俺らのゲーム配信に付き合ってくれたしな。一肌脱ぐか』
とんでもなくあっさり了承された。
目をゆっくりと瞬く。そんな簡単に、即座に。
けれどここで「ええん?」とか言うてやっぱり無理とか言われたら困る。ええ返事だったのだから、素直に受け止めて喜ぼうじゃないか。
ふ、と力が抜け、その代わり笑顔が弾けた。
「……おおきに! ほな、また、この三人できばろう」
『うん! ……そういえば前も気になったんだけど、そのきばろうってなに?』
『確かに、関西弁だよな? どういう意味だ?』
「あぁ、これな。頑張ろうとか、そういう意味やねん」
『へえ〜! ちょっと可愛い!』
『きばろう……頑張ろうか。ん、頑張ろう』
う、ほんまにええ子たちでええ声や。そしてそういえば千とフユ兄弟何やんな、フユの兄ならあいつが声いいのも遺伝の問題か。
……今日の配信見てたかいな、千。
『じゃ、そろそろほんとに抜ける! また一緒にきばろ〜、圭!』
『またな、改めて今日はありがとう』
「こちらこそ! ほんまにおおきに!」
歌ってみたについてのミーティングはまた後で空いとる日程送っとくな、と付け加え、俺は通話を切った。
ヘッドホンを外し、一人コラボ配信の余韻に浸る。どっと疲れと高揚感が襲ってきた。
特に、休憩時間のあのトークで神経が削られた気がする。
『本気で好きです。俺は、アヤのこと』
『お、俺も好きだよ、大好き! 多分、フユ以上に好き……です』
あれさあ、……俺からはどっちもただの親友としての好き、には聴こえなかったんやけど。
ビジネスやただの親友なら、あの声は出ぇへんよ。
千がにやにやしていたのはこれかと苦笑する。なるほど、……確かにこれがビジネスは有り得へんな。
鈍感天然同士の両片想いか、ほんまに付き合ってるか。その二択や。
いつか教えてくれるだろうか。教えてくれるとええなと思いながら、微笑を零した。
まあ……一応人生の先輩から一言。
高校生活や青い春は長いように感じて一瞬やで。後悔のないようにきばり、フユアヤ。
