︎︎◇以下、一部ダイレクトでお送りさせてもらうな!◆
「今日はコラボちゅうことでね!」
『じゃっじゃーん! 奇跡的に俺と圭のゲームの趣味が似ていたので、これ!』
『ばりばりな協力ゲーです』
「アスレチックをこなしながら星とかを集めていくっちゅうルールや!」
『うわー落ちたー!』
『意外と難しくなってきたな……って、圭今どこにいる?』
「お前らにとっくのとうに置いてかれとるわ! 俺本業歌い手やねん、少しは気遣え〜!」
『助けて二人とも、なんか戻れなくなっちゃった〜!』
「俺に助けられる技術があると思うか?」
『そこで待っててアヤ、助けに行く』
『ありがとうー! フユ騎士……』
「尚、アヤ専用」
『コメント、フユアヤと圭くんはいつから仲良いのですか……いつからだっけ、圭?』
「初めて話したのがつい数週間前やな」
『えっうそ!? もっと昔からの友達の感覚だったんだけど……確かに、思い出してみればそっか』
『すごい相性が良かったのかもな、俺ら』
『ほんとそれ! 良ければこれからもよろしく!』
『よろしく、圭。俺らで良ければだけど』
「フユアヤ前世少女漫画のヒーローとかなんかやった?」
『へ?』
『え?』
「一旦きゅうけ〜い……」
配信開始からもう一時間。セーブできるところについて、俺はコントローラーから手を離した。
すかさず、アヤとフユの笑い声が飛んでくる。
『お疲れ様、圭!』
『大丈夫か?』
「お前らに付いていくだけで精一杯やわ……ちょっと水飲みたいんでミュートするな?」
『おけ!』
『了解』
二人に伝えミュートにした。水を口に含みチェアにだらんと背中を預けて、目の前のモニターを見つめる。
そういえば、同時接続者数いつものほぼ倍や……すご。
俺のチャンネルのフォロワーも増え続けてるし、改めてコラボの影響──そしてコラボ相手のフユアヤの影響力は凄いんだと実感させられた。
『俺もめっちゃ叫んだ〜。水飲もっ』
『圭はミュートするタイプなんだな』
『飲む音めっちゃ拾っちゃういいマイク使ってるとかじゃない?』
『あぁ、なるほど』
『そういえばさ……俺ら珍しく今日別々の部屋で配信してるじゃん?』
『ん。何かあった?』
『いや、隣にフユがいないとなんか落ち着かないな、なーんて思って』
『……俺も。コラボだからって遠慮しないでいつも通りにすれば良かったな』
『な、相手は圭だし!』
……なんか俺がおらん間にいちゃいちゃ始まってるんやけど?
すんっと半眼になる。ここに今から俺割って入るん? え無理無理無理気まずい。
【コラボでもやるんかこのいちゃいちゃ】
【他の人のチャンネルだぞ笑笑】
【尊〜】
【最初の圭くんそういうノリだったから許可出されてるんじゃない?】
【許可とかそういう問題……?笑】
【フユアヤ多分私たちが尊いとか言ってるのも気づいてない】
【自然とってこと?】
【今日初めて見たけど推します】
【圭くん戻ってきずらいって笑笑】
コメント欄も大盛り上がりだ。俺は苦笑いし、……ぐっと拳を握った。
一活動者として、──これは乗るしかあらへんか?
咳払いをして声を整え、ミュートを外した。
「なーにいちゃいちゃしてんの、お二人さん。ちなみに確認、フユアヤってほんまに付き合ってたりする?」
『え、……つきあ?』
『なんで急に』
「直前の会話を思い出そうや」
【うおおお!】
【直球でいった圭!】
【よくやった】
【ありがとう圭様】
【気になるー!】
【どっちの返答が返ってきても気失う自信があるんだけどどうしたらいいですか】
【今まではぐらされてきたからね〜】
【どう返すフユアヤ……!】
うわ、コメント早……。ギリギリ読めるか読めないかの速度で流れていくコメントたち。
どれだけはぐらかして来たんや、フユアヤ。
思わず苦笑が零れた。これは後で千に「なんてこと聞いてるの」って怒られるかもなー。
「で、どうなん?」
『い、いや、どうって、てかなんで!?』
「普通にキスの一つ二つしてそうな距離感だから」
『キっ、はあ!? 女子ともしたことないんですけど!』
思いっきり動揺してるアヤを見て、なんだかほんまに面白くなって来た。
身を乗り出す。にやにやと満面の笑みで「えー?」と声を漏らすと、マイクがフユの息遣いを拾った。
『……いや。キスっていうか、そもそも付き合ってないから、俺ら』
──ひんやりとした声が入って、一瞬時が止まったような感覚に陥る。
感情を押し殺したような低音。それはフユの通常運転のトーンに聞こえて、でも、その先で苦しんでるような──こっちまで胸が凍った。
目を丸くし固まる。息を呑む。……やばい、からかいすぎたか。
首を突っ込んではダメなラインやったかもしれない。……確かに冷静に考えたら、ほんまに付き合っていて二人の判断で秘密にしとんのやったら、踏み込まれたくないに決まっている。
頭が冷え、数秒前の自分を叱りたい衝動に駆られた。撮れ高よりも、優先するのは二人の気持ちやろうが。
謝罪の言葉を言いかけて、『でも』と続けられたフユの声に遮られた。
『本気で好きです。俺は、アヤのこと』
澄み透った冬。
思わずそんな言葉が浮かんでくる、まっすぐな声だった。
ストレートに言い切ったフユに、今度は息が詰まる。別の空気感でまた静寂が訪れた。
え、は、それ……、え?
言葉を向けられてるのは俺じゃないのに、理解し受け止めるまで数秒かかった。
……それ、もう告白やん。
いや、告白なのか。何故かこちらの胸にまで甘く響き、謎の緊迫感が訪れる。
呆然とモニターを見つめ、これが配信だと思い出し慌てて声を出した。
「え、えーと、……ごめんな? 俺からかいすぎたわ」
『いや? 圭は悪くないだろ。悪いのは、……いや。なんでもない』
「う、うん? ほんで、その、好きっちゅうのは」
モニターに向き合っていると、コメント欄がひとつも動いてないことに気づいた。
──ほんまに驚いた時、集中して見たい時って、コメントも打てなくなるんやなあ。
動揺してる空山蛍やのうて、活動者の圭としてふとそんな呑気な言葉が浮かんだ。新たな発見だ。滅多にならないとは思うけども。
『そのままだけど……? 俺はアヤが好きだ』
「だからその好きの種類……っ!」
焦らされて悶えていると、『え、えとっ』とただいま公開告白されたアヤが声を上げた。
その声はいつも以上に高く、上擦っている。
『お、俺も好きだよ、大好き! 多分、フユ以上に好き……です』
まじかよ。思わず素で零れそうになって、慌てて抑えた。
今俺が割って入ったらフユアヤファンに末代まで祟られる!
『え、いや、俺の方がアヤのこと好きだけど』
いやいやフユさん反応するのはそこやないと思うんですよね。
『は!? 俺の方が好きだしー!』
『絶対俺』
『俺フユの口癖もかっこいいとこも誰より知ってるんだからな!』
『俺だって、アヤのかわいいとこも凄いとこも、全部知ってる』
『なっ……でも俺の方が好き!』
『いや俺の方が』
『俺!』
『俺』
『俺!』
『俺』
『俺〜!』
『絶対俺』
な、何このマウント合戦。
ぽかんと見つめて、ずり落ちそうになったヘッドフォンを元の位置に戻す。そろそろ口挟まないと、こいつらこれ一生続けるつもりや。
まだ理解が追いつかず混乱しているが、なんとか言葉を紡いだ。
「えっとー……カップル誕生、おめでとさん?」
俺、恋のキューピットになったってこと? フユアヤの背中を押した人物ってこと? てか、フユアヤが付き合うなんて、大ニュースやん?
首を傾げると、『は!?』『え』と二人の驚く声が。
……ん? なんか嫌な予感。
眉をひそめると、続けて『そ』とアヤの震えたような声が聴こえた。
『そっちの好きなの……?』
『……アヤこそ』
「は?」
『親友としてだよな?』
『友情の方の好きで受け取ったけど、あってる?』
「はあ?」
俺の取り繕わないマジの「は?」に、やっと視聴者もコメントを打つ余裕が出て来たらしく、コメント欄が動いてきた。
いやいやいや……嘘やろ? 完全に恋情の方の流れやったやん、絶対親友としての流れやなかったやん。
お互い頭に「?」を浮かべているフユアヤに、わなわなと唇が震えてくる。
【まさかの?】
【そうくる……?】
【付き合う流れだったじゃん……!】
【皆さん、これがフユアヤです、しょうがない。……ってなるかーい!】
【流石にあるある〜とはなれないよ】
【わざとじゃなく、本当に……?】
【正気か?】
ざわつくコメ欄。きっと今これを見ている皆と俺は同じことを考えているだろう。
すっと息を吸った。
「鈍感天然もたいがいにしぃ、フユアヤーッ!」
「今日はコラボちゅうことでね!」
『じゃっじゃーん! 奇跡的に俺と圭のゲームの趣味が似ていたので、これ!』
『ばりばりな協力ゲーです』
「アスレチックをこなしながら星とかを集めていくっちゅうルールや!」
『うわー落ちたー!』
『意外と難しくなってきたな……って、圭今どこにいる?』
「お前らにとっくのとうに置いてかれとるわ! 俺本業歌い手やねん、少しは気遣え〜!」
『助けて二人とも、なんか戻れなくなっちゃった〜!』
「俺に助けられる技術があると思うか?」
『そこで待っててアヤ、助けに行く』
『ありがとうー! フユ騎士……』
「尚、アヤ専用」
『コメント、フユアヤと圭くんはいつから仲良いのですか……いつからだっけ、圭?』
「初めて話したのがつい数週間前やな」
『えっうそ!? もっと昔からの友達の感覚だったんだけど……確かに、思い出してみればそっか』
『すごい相性が良かったのかもな、俺ら』
『ほんとそれ! 良ければこれからもよろしく!』
『よろしく、圭。俺らで良ければだけど』
「フユアヤ前世少女漫画のヒーローとかなんかやった?」
『へ?』
『え?』
「一旦きゅうけ〜い……」
配信開始からもう一時間。セーブできるところについて、俺はコントローラーから手を離した。
すかさず、アヤとフユの笑い声が飛んでくる。
『お疲れ様、圭!』
『大丈夫か?』
「お前らに付いていくだけで精一杯やわ……ちょっと水飲みたいんでミュートするな?」
『おけ!』
『了解』
二人に伝えミュートにした。水を口に含みチェアにだらんと背中を預けて、目の前のモニターを見つめる。
そういえば、同時接続者数いつものほぼ倍や……すご。
俺のチャンネルのフォロワーも増え続けてるし、改めてコラボの影響──そしてコラボ相手のフユアヤの影響力は凄いんだと実感させられた。
『俺もめっちゃ叫んだ〜。水飲もっ』
『圭はミュートするタイプなんだな』
『飲む音めっちゃ拾っちゃういいマイク使ってるとかじゃない?』
『あぁ、なるほど』
『そういえばさ……俺ら珍しく今日別々の部屋で配信してるじゃん?』
『ん。何かあった?』
『いや、隣にフユがいないとなんか落ち着かないな、なーんて思って』
『……俺も。コラボだからって遠慮しないでいつも通りにすれば良かったな』
『な、相手は圭だし!』
……なんか俺がおらん間にいちゃいちゃ始まってるんやけど?
すんっと半眼になる。ここに今から俺割って入るん? え無理無理無理気まずい。
【コラボでもやるんかこのいちゃいちゃ】
【他の人のチャンネルだぞ笑笑】
【尊〜】
【最初の圭くんそういうノリだったから許可出されてるんじゃない?】
【許可とかそういう問題……?笑】
【フユアヤ多分私たちが尊いとか言ってるのも気づいてない】
【自然とってこと?】
【今日初めて見たけど推します】
【圭くん戻ってきずらいって笑笑】
コメント欄も大盛り上がりだ。俺は苦笑いし、……ぐっと拳を握った。
一活動者として、──これは乗るしかあらへんか?
咳払いをして声を整え、ミュートを外した。
「なーにいちゃいちゃしてんの、お二人さん。ちなみに確認、フユアヤってほんまに付き合ってたりする?」
『え、……つきあ?』
『なんで急に』
「直前の会話を思い出そうや」
【うおおお!】
【直球でいった圭!】
【よくやった】
【ありがとう圭様】
【気になるー!】
【どっちの返答が返ってきても気失う自信があるんだけどどうしたらいいですか】
【今まではぐらされてきたからね〜】
【どう返すフユアヤ……!】
うわ、コメント早……。ギリギリ読めるか読めないかの速度で流れていくコメントたち。
どれだけはぐらかして来たんや、フユアヤ。
思わず苦笑が零れた。これは後で千に「なんてこと聞いてるの」って怒られるかもなー。
「で、どうなん?」
『い、いや、どうって、てかなんで!?』
「普通にキスの一つ二つしてそうな距離感だから」
『キっ、はあ!? 女子ともしたことないんですけど!』
思いっきり動揺してるアヤを見て、なんだかほんまに面白くなって来た。
身を乗り出す。にやにやと満面の笑みで「えー?」と声を漏らすと、マイクがフユの息遣いを拾った。
『……いや。キスっていうか、そもそも付き合ってないから、俺ら』
──ひんやりとした声が入って、一瞬時が止まったような感覚に陥る。
感情を押し殺したような低音。それはフユの通常運転のトーンに聞こえて、でも、その先で苦しんでるような──こっちまで胸が凍った。
目を丸くし固まる。息を呑む。……やばい、からかいすぎたか。
首を突っ込んではダメなラインやったかもしれない。……確かに冷静に考えたら、ほんまに付き合っていて二人の判断で秘密にしとんのやったら、踏み込まれたくないに決まっている。
頭が冷え、数秒前の自分を叱りたい衝動に駆られた。撮れ高よりも、優先するのは二人の気持ちやろうが。
謝罪の言葉を言いかけて、『でも』と続けられたフユの声に遮られた。
『本気で好きです。俺は、アヤのこと』
澄み透った冬。
思わずそんな言葉が浮かんでくる、まっすぐな声だった。
ストレートに言い切ったフユに、今度は息が詰まる。別の空気感でまた静寂が訪れた。
え、は、それ……、え?
言葉を向けられてるのは俺じゃないのに、理解し受け止めるまで数秒かかった。
……それ、もう告白やん。
いや、告白なのか。何故かこちらの胸にまで甘く響き、謎の緊迫感が訪れる。
呆然とモニターを見つめ、これが配信だと思い出し慌てて声を出した。
「え、えーと、……ごめんな? 俺からかいすぎたわ」
『いや? 圭は悪くないだろ。悪いのは、……いや。なんでもない』
「う、うん? ほんで、その、好きっちゅうのは」
モニターに向き合っていると、コメント欄がひとつも動いてないことに気づいた。
──ほんまに驚いた時、集中して見たい時って、コメントも打てなくなるんやなあ。
動揺してる空山蛍やのうて、活動者の圭としてふとそんな呑気な言葉が浮かんだ。新たな発見だ。滅多にならないとは思うけども。
『そのままだけど……? 俺はアヤが好きだ』
「だからその好きの種類……っ!」
焦らされて悶えていると、『え、えとっ』とただいま公開告白されたアヤが声を上げた。
その声はいつも以上に高く、上擦っている。
『お、俺も好きだよ、大好き! 多分、フユ以上に好き……です』
まじかよ。思わず素で零れそうになって、慌てて抑えた。
今俺が割って入ったらフユアヤファンに末代まで祟られる!
『え、いや、俺の方がアヤのこと好きだけど』
いやいやフユさん反応するのはそこやないと思うんですよね。
『は!? 俺の方が好きだしー!』
『絶対俺』
『俺フユの口癖もかっこいいとこも誰より知ってるんだからな!』
『俺だって、アヤのかわいいとこも凄いとこも、全部知ってる』
『なっ……でも俺の方が好き!』
『いや俺の方が』
『俺!』
『俺』
『俺!』
『俺』
『俺〜!』
『絶対俺』
な、何このマウント合戦。
ぽかんと見つめて、ずり落ちそうになったヘッドフォンを元の位置に戻す。そろそろ口挟まないと、こいつらこれ一生続けるつもりや。
まだ理解が追いつかず混乱しているが、なんとか言葉を紡いだ。
「えっとー……カップル誕生、おめでとさん?」
俺、恋のキューピットになったってこと? フユアヤの背中を押した人物ってこと? てか、フユアヤが付き合うなんて、大ニュースやん?
首を傾げると、『は!?』『え』と二人の驚く声が。
……ん? なんか嫌な予感。
眉をひそめると、続けて『そ』とアヤの震えたような声が聴こえた。
『そっちの好きなの……?』
『……アヤこそ』
「は?」
『親友としてだよな?』
『友情の方の好きで受け取ったけど、あってる?』
「はあ?」
俺の取り繕わないマジの「は?」に、やっと視聴者もコメントを打つ余裕が出て来たらしく、コメント欄が動いてきた。
いやいやいや……嘘やろ? 完全に恋情の方の流れやったやん、絶対親友としての流れやなかったやん。
お互い頭に「?」を浮かべているフユアヤに、わなわなと唇が震えてくる。
【まさかの?】
【そうくる……?】
【付き合う流れだったじゃん……!】
【皆さん、これがフユアヤです、しょうがない。……ってなるかーい!】
【流石にあるある〜とはなれないよ】
【わざとじゃなく、本当に……?】
【正気か?】
ざわつくコメ欄。きっと今これを見ている皆と俺は同じことを考えているだろう。
すっと息を吸った。
「鈍感天然もたいがいにしぃ、フユアヤーッ!」
