幼馴染に恋を拗らせていたら、いつの間にか取り返しのつかないぐらい周りを巻き込んでいたらしい!

 ◇

 めでたしめでたし──じゃないよ全然。逆にバレたらバッドエンド一直線コースですよ神様。

 るりは優しいけど、流石に勇気出して言った相手に好きなものを知ったかぶりされてたら怒るし傷つくと思う。
 そして、知ったかぶりしたまま過ごしてたら、絶対バレる。

 ……ということで。

 夕方、るりが送ってくれたURLからもう一度フユアヤのチャンネルに飛んだ。

 覚悟を決めて、フユアヤを見よう。

 人気だから、動画がつまらないなんてことはないはず。でも……心配なのは、“同性カップル売り”だ。

 本当の同性カップルを見ても羨ましくなって何となく落ち込む自分は、ビジネス版を見たらどうなるだろうか。ノリとか遊びでやられたらムカついてスマホを殴りかけない。
 そばにストレス発散用のクッションを召喚し、椅子に座った。画面をスクロールすると、ライブと表示されたサムネイルが目に飛び込んでくる。

 ライブ……生放送ってこと?

【『雑談』質問答えます。今日はひとり】

 雑談、と大きく書かれた文字の隣に、フユのイラストが置いてある。

 ……フユひとり、アヤはいないのか。
 それなら二人じゃない分そういう売りも少ないのではないか。それにうち今日るりにフユ推しって言ったし、ちょうどいい。
 ごくっと唾を飲み込み、腹を括って画面をタップした。

『「今日は一人なの?」うん、アヤにたまには個人配信しろって言われてちゃってさ。今日は俺だけ』

 すると、即座にスマホから低音ボイスが流れてきて、思わず目を見開く。

『「アヤくんいなくて寂しくないですか」……さあ。寂しいとかはない、あぁでも、いつもより静かで少しだけ心細いかもな』

 うわ……本当だ、かっこいい。
 低い、よく響く声。大人びたフユのイラストとマッチしていて、普段アイドルとかにそういう感想を持たないうちでさえ思わずそう思った。るりの推しだけに、何だか負けたような気持ちになる。
 コメント欄を開くと、結構なスピードで動いていた。ぽんぽんとほぼ一定のペースで投下されている。

【つまり寂しいでは?】
【それを寂しいというのですよフユさん】
【今日も鈍くて助かる】
【心細いの可愛い〜】

 視聴者とこうやってコミュニケーションが取れるんだ……。
 新鮮で、少しだけコメントを読むのが楽しい。

『はい、始めるよ。まずは前来てた質問に答えていきます、たまにコメントから拾うかも』

【あ、逃げた】
【照れた】
【可愛い】

『別に照れてないし逃げてないから。……でもそうだね。寂しいのかも』

 あ、そこで認めるんだ。

【認めるんかーい】
【かわいい笑笑】
【フユアヤ尊】
【アヤくーん、フユくんが寂しがってるよ〜!!】
【素直に認めるとこだいすき】

 ちなみに画面はフユのイラストと、コメント、そして何やらイラストの部屋が背景にされてるのみだ。
 つまり完全に声だけで場を盛り上げなきゃいけない。いつもは二人でやってるって言うし、大丈夫なのだろうか。

 まあ面白くなかったらお気持ち程度の作業用BGMにさせてもらおう。そんなことを思いながら、フユの配信が始まった。