陸上部が校庭を走っている。
響魚が委員会活動で一緒に帰れない放課後に、優凪は少し勇気を出してみることにした。少し怖いが、ここでひるんでいたら何も変わらない。
「あの、庄司さんいますか?」
一年生と思われるジャージ姿の少年に声をかける。優凪が知らないその少年は優凪のことを知っているようで、少し身構えてから体育倉庫前を指さす。庄司真実、すっかりたくましくなって。
一年生に礼を言って、優凪は庄司のもとに向かった。ひとりストレッチをしていた庄司は優凪に気づき、驚いた表情をしながら途端ににらみつけた。怖い、でも今日は話があるのだ。
「何の用だよ、お姫さま」
「お久しぶりです、あの、今日はお願いがあって来ました」
「願い? 何、おれに何かしろっていうの?」
「響魚くんのことです」
「あいつはもう部活には来ないんだろ? 幽霊部員も迷惑なんだよな、辞めるならさっさと辞めたらいいのに」
「その、響魚くんが部活に戻るのに力を貸してくれませんか」
「はあ?」
「僕のせいで迷惑をかけてしまったのはわかっています。でも、響魚くんの実力はきっと衰えていいない。今年は無理だったけれど、来年はきっと活躍するって信じてます。だから、また部活に復帰させてあげてください!」
「……そんなの、おれが決めることじゃないし」
「響魚くんとは中学からの知り合いなんでしょう? じゃあ庄司さんの方が僕よりも彼の実力を知ってるはずだ。僕は彼の才能をこのままつぶしたくない」
「お前が言うかよ」
「だから、庄司さんにお願いしてるんです!」
優凪の言葉に戸惑う庄司。でも今年の県大会の代表に選ばれた彼なら、いまからでも部長なり顧問なりに口添えできるはずだ。響魚の部活の復帰への道を。
「じゃあどうすればいいわけ? こんな長期間さぼっておいてさ、トレーニングもろくにしてないやつを復帰させてやれるほど、うちの部甘くないんだけど」
「今年のマラソン大会、響魚くんはきっと十位以内に入ります。もしその結果が出せたら、また部活に彼を」
「十位以内? ふざけるな、陸上部だけじゃない、運動部は皆毎日特訓しているんだぜ? なめたこと言ってるんじゃねえよ」
「響魚くんは才能があるから、それにきっとまだ彼も走ることをあきらめていない」
じっと目を見つめて語る優凪に庄司は戸惑っていた。しかし彼も本当は響魚に復帰して欲しい人間の一人だった。憧れ、ライバルとして再びともに走ることを願っている。
「……十位以内だぞ。それ以下だったら認めないし、この話はなかったことにする」
「はい」
庄司と約束をした。あとは響魚の本心を聞く。彼が自ら言わない走ることへの情熱を。
響魚が委員会活動で一緒に帰れない放課後に、優凪は少し勇気を出してみることにした。少し怖いが、ここでひるんでいたら何も変わらない。
「あの、庄司さんいますか?」
一年生と思われるジャージ姿の少年に声をかける。優凪が知らないその少年は優凪のことを知っているようで、少し身構えてから体育倉庫前を指さす。庄司真実、すっかりたくましくなって。
一年生に礼を言って、優凪は庄司のもとに向かった。ひとりストレッチをしていた庄司は優凪に気づき、驚いた表情をしながら途端ににらみつけた。怖い、でも今日は話があるのだ。
「何の用だよ、お姫さま」
「お久しぶりです、あの、今日はお願いがあって来ました」
「願い? 何、おれに何かしろっていうの?」
「響魚くんのことです」
「あいつはもう部活には来ないんだろ? 幽霊部員も迷惑なんだよな、辞めるならさっさと辞めたらいいのに」
「その、響魚くんが部活に戻るのに力を貸してくれませんか」
「はあ?」
「僕のせいで迷惑をかけてしまったのはわかっています。でも、響魚くんの実力はきっと衰えていいない。今年は無理だったけれど、来年はきっと活躍するって信じてます。だから、また部活に復帰させてあげてください!」
「……そんなの、おれが決めることじゃないし」
「響魚くんとは中学からの知り合いなんでしょう? じゃあ庄司さんの方が僕よりも彼の実力を知ってるはずだ。僕は彼の才能をこのままつぶしたくない」
「お前が言うかよ」
「だから、庄司さんにお願いしてるんです!」
優凪の言葉に戸惑う庄司。でも今年の県大会の代表に選ばれた彼なら、いまからでも部長なり顧問なりに口添えできるはずだ。響魚の部活の復帰への道を。
「じゃあどうすればいいわけ? こんな長期間さぼっておいてさ、トレーニングもろくにしてないやつを復帰させてやれるほど、うちの部甘くないんだけど」
「今年のマラソン大会、響魚くんはきっと十位以内に入ります。もしその結果が出せたら、また部活に彼を」
「十位以内? ふざけるな、陸上部だけじゃない、運動部は皆毎日特訓しているんだぜ? なめたこと言ってるんじゃねえよ」
「響魚くんは才能があるから、それにきっとまだ彼も走ることをあきらめていない」
じっと目を見つめて語る優凪に庄司は戸惑っていた。しかし彼も本当は響魚に復帰して欲しい人間の一人だった。憧れ、ライバルとして再びともに走ることを願っている。
「……十位以内だぞ。それ以下だったら認めないし、この話はなかったことにする」
「はい」
庄司と約束をした。あとは響魚の本心を聞く。彼が自ら言わない走ることへの情熱を。
