病弱少年はいつかお姫さまに

「食事出来たぞ」

 リビングのテーブルには次々に料理が運ばれてくる。響魚が自宅で作って来たものはちらし寿司だった。あとはお吸い物と豆腐の白和え、ほうれん草のおひたしにデザートは小さな白いケーキ。

「うちはいつも祝い事にはちらし寿司なんだ。いまどき、って思うけどな。でも美味しく出来たよ。ケーキは本当は誕生日らしくデコレーションのホールケーキにしたかったがあいにく大きなものしかなくて……ふたりだしな。でもせっかくだし駅前の割と人気な店で買って来た。客が結構並んでいたから美味さは保証できるよ。ネットやテレビでもよく特集されているんだ。ケーキに詳しくないからとりあえず人気のイチゴのショートケーキとチーズタルトで迷ったけれど、ショートケーキで良かったか?」
「わあ、ありがとう! 僕、ちらし寿司もショートケーキも大好き。それにひとりだと普段ケーキなんて食べる機会がないから嬉しいよ」
「そうか、よかった」

 些細な食事のはずだった。でもそれは優凪にはもう覚えのないくらい幼い頃の誕生日パーティーを再現しているようで、嬉しさのあまり、胸が痛い。この部屋にきっともう両親がそろうことはないだろう。残された優凪、失った家族。でもこれからは響魚がそばにいるから。

「来年もこんな誕生日を過ごしたいな……」
「過ごせるよ、来年も再来年も」

 優凪の誕生日と響魚の誕生日、クリスマスだってイベントはまだいっぱいある。それを祝うのはふたりだ。これからさきもふたりでいたらいつも楽しい。

「優凪、食事の前にいいか」
「何?」
「……プレゼント」
「えっ」

 少し照れた表情で響魚はポケットに手を入れた。そして手のひらに入った小さなものを響魚は優凪の手のひらに優しく置く。