「優凪、いるか?」
お祝いの日。今日の優凪はめずらしく体調がいい、朝から少し部屋を片付けて掃除機をかけた。いつもはこんなことも響魚にまかせてしまっていたから今日くらいは、と。
「いらっしゃい、響魚くん! わあ、作って来てくれたの?」
右手はお重を風呂敷に包んで、反対の手には小さな箱。誕生日のお祝い、もう覚えていないくらいの子供のとき以来で喜び方も忘れてしまった。だけど本当は響魚がただ来てくれただけで嬉しい。
「冬が来ているな、外は風が冷たかったよ。お前はこんな寒い日に生まれたのか」
「はは、覚えていないよ」
「台所使うぞ、主役はテーブルで待ってろ」
「何か手伝うよ」
「いいから」
響魚はお湯を沸かしてなにやら料理を始めた。楽しみな優凪はその様子をのぞいていたかったけれど響魚に追い払われてしぶしぶリビングへ。台所からは何やらいい香りがただよってくる。すべて響魚が優凪のために作ってくれている料理だ。誰かに大切にされることのを幸せを噛みしめながら、優凪は静かに目を閉じる。
「ねえ、響魚くんの誕生日はいつなの?」
「もう終わった、四月だよ」
「えっ、もう十六歳になってたの?」
「そうだが」
「お祝いしたかったのになあ! 言ってくれたらよかったのに」
「まだ出会って間もない頃だ、お祝いも何もないだろう」
「まあ、それはそうだけど……僕だけお祝いしてもらうなんて申し訳ないよ」
「じゃあ十七歳の誕生日は優凪が祝ってくれ。そばにいてくれるだけでいいから」
「うん、響魚くんのために一日を使おう」
半年ほど、年の差があった。いまさらながらその事実に驚いて、でもようやくその年の差が追い付いた今日の日。多分きっとこれからも優凪はこうして彼を追い続けるのだろう。成人するのも響魚が先で、お酒やたばこも。でもやがていつか何も気にならない日が来る、二十歳すぎてしまえばお互い自由だ。
思えばいまこうして形だけでも守られた生活をしているのも期間限定なことで、いつかは自分の足で歩いていかねばならない。この病弱な体質とももっと上手く付き合って、でもそんなことが出来る日はくるのだろうか。誰かに迷惑をかけない自分になりたい、それが多分優凪にとって大人になると言うこと。いま優凪を守ってくれる響魚を今度は優凪が守るのだ。
お祝いの日。今日の優凪はめずらしく体調がいい、朝から少し部屋を片付けて掃除機をかけた。いつもはこんなことも響魚にまかせてしまっていたから今日くらいは、と。
「いらっしゃい、響魚くん! わあ、作って来てくれたの?」
右手はお重を風呂敷に包んで、反対の手には小さな箱。誕生日のお祝い、もう覚えていないくらいの子供のとき以来で喜び方も忘れてしまった。だけど本当は響魚がただ来てくれただけで嬉しい。
「冬が来ているな、外は風が冷たかったよ。お前はこんな寒い日に生まれたのか」
「はは、覚えていないよ」
「台所使うぞ、主役はテーブルで待ってろ」
「何か手伝うよ」
「いいから」
響魚はお湯を沸かしてなにやら料理を始めた。楽しみな優凪はその様子をのぞいていたかったけれど響魚に追い払われてしぶしぶリビングへ。台所からは何やらいい香りがただよってくる。すべて響魚が優凪のために作ってくれている料理だ。誰かに大切にされることのを幸せを噛みしめながら、優凪は静かに目を閉じる。
「ねえ、響魚くんの誕生日はいつなの?」
「もう終わった、四月だよ」
「えっ、もう十六歳になってたの?」
「そうだが」
「お祝いしたかったのになあ! 言ってくれたらよかったのに」
「まだ出会って間もない頃だ、お祝いも何もないだろう」
「まあ、それはそうだけど……僕だけお祝いしてもらうなんて申し訳ないよ」
「じゃあ十七歳の誕生日は優凪が祝ってくれ。そばにいてくれるだけでいいから」
「うん、響魚くんのために一日を使おう」
半年ほど、年の差があった。いまさらながらその事実に驚いて、でもようやくその年の差が追い付いた今日の日。多分きっとこれからも優凪はこうして彼を追い続けるのだろう。成人するのも響魚が先で、お酒やたばこも。でもやがていつか何も気にならない日が来る、二十歳すぎてしまえばお互い自由だ。
思えばいまこうして形だけでも守られた生活をしているのも期間限定なことで、いつかは自分の足で歩いていかねばならない。この病弱な体質とももっと上手く付き合って、でもそんなことが出来る日はくるのだろうか。誰かに迷惑をかけない自分になりたい、それが多分優凪にとって大人になると言うこと。いま優凪を守ってくれる響魚を今度は優凪が守るのだ。
