「テスト、前よりも点数上がってた! 平均点以上とるのなんて初めてだよ」
「そうか、頑張ったもんな」
「響魚くんはどうだった?」
「俺は別に、いつも通り」
いつも通り、と言うことは今回も成績上位なのだろう。初めて平均点以上とれて喜んでいる優凪はなんだか恥ずかしい。でも響魚の実力はわかっているつもりだし、テスト勉強を一緒にして色々教えてもらっているときには感じていた。響魚は優秀な生徒だ、優凪にはもったいないほどに。
「響魚くん、文化祭は何か参加するの?」
「いや、クラスでは有志がバンドやったりするみたいだけど、俺はとくには」
「じゃあ一日一緒に回れるね! 僕も特に参加しないけど見て回るのは楽しみなんだ。お祭りとか、小さい頃あまり行けなかったから」
「じゃあ当日は存分に見て回らないとな」
優凪にとっては皆の普通が普通じゃなかった。病弱な幼少期、親も育児には積極的じゃなかったから、遊びに連れて行ってもらえることなんて滅多になくて、いつも遠くから楽しんでいる同年代の子供たちを見ていた。いまだって普通の生活にはまだ遠いところもあるが、でも少しずつ世間の楽しみを知ることが出来るようになって来た。それは響魚とそばにいるようになってから特に感じている。
もうすぐ文化祭がある。テストも終わって開放的な雰囲気の学校で、生徒たちが思いっきり楽しむことのできるイベント。お姫さまなのにイベントごとで目立つことはなく、ただ優凪は高校で初めての文化祭を楽しみにしている。なにしろ響魚と一日中、お祭り騒ぎのなか一緒にいられるのだ。いつもは自宅でふたりでいるばかりだから、たまにはそういった人の多い新鮮な場所で行事を楽しむのも悪くない。
「これ、配られた文化祭のパンフレットなんだけどさあ、どこに行こうか? 計画立てようよ!」
「……」
「響魚くん?」
中庭で昼休み、食事を終えて優凪と響魚が一緒に文化祭のパンフレットを眺めていると突然響魚が黙り込んだ。不思議に思った優凪が響魚の視線の先を見ると、そこにいたのは陸上部の庄司だった。二人は何も言わずににらみ合っている。優凪は戸惑った、響魚はあれからもう部活には行っていなかった。
「き、響魚くん……」
「行こう、優凪」
こちらをにらみ続けている庄司を無視して、響魚は中庭から去って行く。慌てて優凪もその背中を追う。去り際にちらりと庄司を伺うと、彼はまだ何も言わずにこちらをにらんで立ち尽くしていた。
きっとこれは良くないことだと思う。なにしろ響魚と庄司は優凪と出会う前の知り合いだ。どこまで仲が良かったのかは詳しく知らないが、それでもともに部活で走った仲だ。楽しい時も苦しい時もそれは多分普通の友人よりも絆は深かったはずだ。でもこうして仲違いしてしまったいま、彼らはもう口も利かない。
優凪に何か出来ることがあったら良かったのだが、いま出て行ったらますますふたりの仲には亀裂が入ってしまのは間違いない。だから、何も出来ない、優凪は自分がどうしたら良いのかわからなかった。
「そうか、頑張ったもんな」
「響魚くんはどうだった?」
「俺は別に、いつも通り」
いつも通り、と言うことは今回も成績上位なのだろう。初めて平均点以上とれて喜んでいる優凪はなんだか恥ずかしい。でも響魚の実力はわかっているつもりだし、テスト勉強を一緒にして色々教えてもらっているときには感じていた。響魚は優秀な生徒だ、優凪にはもったいないほどに。
「響魚くん、文化祭は何か参加するの?」
「いや、クラスでは有志がバンドやったりするみたいだけど、俺はとくには」
「じゃあ一日一緒に回れるね! 僕も特に参加しないけど見て回るのは楽しみなんだ。お祭りとか、小さい頃あまり行けなかったから」
「じゃあ当日は存分に見て回らないとな」
優凪にとっては皆の普通が普通じゃなかった。病弱な幼少期、親も育児には積極的じゃなかったから、遊びに連れて行ってもらえることなんて滅多になくて、いつも遠くから楽しんでいる同年代の子供たちを見ていた。いまだって普通の生活にはまだ遠いところもあるが、でも少しずつ世間の楽しみを知ることが出来るようになって来た。それは響魚とそばにいるようになってから特に感じている。
もうすぐ文化祭がある。テストも終わって開放的な雰囲気の学校で、生徒たちが思いっきり楽しむことのできるイベント。お姫さまなのにイベントごとで目立つことはなく、ただ優凪は高校で初めての文化祭を楽しみにしている。なにしろ響魚と一日中、お祭り騒ぎのなか一緒にいられるのだ。いつもは自宅でふたりでいるばかりだから、たまにはそういった人の多い新鮮な場所で行事を楽しむのも悪くない。
「これ、配られた文化祭のパンフレットなんだけどさあ、どこに行こうか? 計画立てようよ!」
「……」
「響魚くん?」
中庭で昼休み、食事を終えて優凪と響魚が一緒に文化祭のパンフレットを眺めていると突然響魚が黙り込んだ。不思議に思った優凪が響魚の視線の先を見ると、そこにいたのは陸上部の庄司だった。二人は何も言わずににらみ合っている。優凪は戸惑った、響魚はあれからもう部活には行っていなかった。
「き、響魚くん……」
「行こう、優凪」
こちらをにらみ続けている庄司を無視して、響魚は中庭から去って行く。慌てて優凪もその背中を追う。去り際にちらりと庄司を伺うと、彼はまだ何も言わずにこちらをにらんで立ち尽くしていた。
きっとこれは良くないことだと思う。なにしろ響魚と庄司は優凪と出会う前の知り合いだ。どこまで仲が良かったのかは詳しく知らないが、それでもともに部活で走った仲だ。楽しい時も苦しい時もそれは多分普通の友人よりも絆は深かったはずだ。でもこうして仲違いしてしまったいま、彼らはもう口も利かない。
優凪に何か出来ることがあったら良かったのだが、いま出て行ったらますますふたりの仲には亀裂が入ってしまのは間違いない。だから、何も出来ない、優凪は自分がどうしたら良いのかわからなかった。
