夏休みだ。朝から部活に行っている響魚を昼過ぎに優凪が自宅で迎える。料理を勉強し始めていた。汗だくの響魚のために風呂も沸かして、彼が自宅から持ってきたルームウエアも用意しておく。
それから遅めの昼食を食べてあとは昼寝をしたり、ゲームや漫画を読む。たまに嫌々ながらも勉強もして、優凪はたまってしまった欠席した授業のレポートを響魚にチェックしてもらって何とか書き上げた。まるで同棲しているみたいな、そんな夏が過ぎている。
「夏休みだしどこか旅行に行けたらよかったのにねえ、まあ時間も小遣いもないけどさ」
「体力はあるのか?」
「うーん、ない……」
「いつかな、大学生にでもなったら俺がバイトするから、好きなところに連れて行ってやるよ。免許もとってそのうち車も買う」
「僕、大学生になれると思う?」
「なれるよ、優凪はやれば出来るんだから」
「はは、褒め上手ー」
ごろり、と転がっていた優凪の隣に響魚がやって来た。突然の距離のつめ方に思わず緊張してしまう。それに気が付いた響魚は困ったように眉を寄せ、そして苦笑した。
「なにもするかよ、ただ一緒に昼寝したいだけだ」
「ひ、昼寝だけ?」
「そうだよ、だからそう構えるな」
「ごめん」
「なんで謝るんだよ」
「だって、その―……」
「……そういう関係だけが恋愛じゃないって、思うけどな。俺から言っておいてなんだけど」
「僕は隣にいるだけでもいい?」
「あたりまえだよ、そういう時間が良い」
それからすぐに響魚から寝息が聞こえて来た。午前中は部活のトレーニングをやっていたらしいから疲れているのだろう。すっかり眠ってしまった響魚の頬に優凪は触れた。しっかりとした肌、少し汗ばんで、でもそれなりに手入れはされているようでつやつやとした張りがあった。
まつ毛は、長い。男らしい顔をしていると思っていたからそれは少し意外だった。彫りの深さが彼の顔のパーツを目立たせているのだろう。優凪とは正反対だ。彼のようにもっと男らしく生まれたらよかった。
うん、でもこうしてふたりで過ごす時間も悪くない。
誰にも邪魔をされず響魚は優凪だけを見ていた。幼い頃の親だって、優凪の思うままにそばにいてくれたわけじゃないのに。
「優凪? 泣いているのか」
目を覚ました響魚がそっと優凪の頬に触れた。寂しかった今までの優凪の人生を振り返っていたらいたたまれなくなって涙が止まらなくなってしまって。
「まったく、お姫さまは泣き虫で困ったな」
「そ、その呼び方やめてよ……ッ」
「そうか? お似合いだけどな」
「僕、男だし」
「ああ、知ってる」
そう言って響魚は優しく優凪の頬を撫でてから抱きしめる。
「俺たちは一緒だ、これからもずっと一緒にいよう。優凪」
まったくもう、そんな言葉、優しく言うから涙だって止まらないのだ。
それから遅めの昼食を食べてあとは昼寝をしたり、ゲームや漫画を読む。たまに嫌々ながらも勉強もして、優凪はたまってしまった欠席した授業のレポートを響魚にチェックしてもらって何とか書き上げた。まるで同棲しているみたいな、そんな夏が過ぎている。
「夏休みだしどこか旅行に行けたらよかったのにねえ、まあ時間も小遣いもないけどさ」
「体力はあるのか?」
「うーん、ない……」
「いつかな、大学生にでもなったら俺がバイトするから、好きなところに連れて行ってやるよ。免許もとってそのうち車も買う」
「僕、大学生になれると思う?」
「なれるよ、優凪はやれば出来るんだから」
「はは、褒め上手ー」
ごろり、と転がっていた優凪の隣に響魚がやって来た。突然の距離のつめ方に思わず緊張してしまう。それに気が付いた響魚は困ったように眉を寄せ、そして苦笑した。
「なにもするかよ、ただ一緒に昼寝したいだけだ」
「ひ、昼寝だけ?」
「そうだよ、だからそう構えるな」
「ごめん」
「なんで謝るんだよ」
「だって、その―……」
「……そういう関係だけが恋愛じゃないって、思うけどな。俺から言っておいてなんだけど」
「僕は隣にいるだけでもいい?」
「あたりまえだよ、そういう時間が良い」
それからすぐに響魚から寝息が聞こえて来た。午前中は部活のトレーニングをやっていたらしいから疲れているのだろう。すっかり眠ってしまった響魚の頬に優凪は触れた。しっかりとした肌、少し汗ばんで、でもそれなりに手入れはされているようでつやつやとした張りがあった。
まつ毛は、長い。男らしい顔をしていると思っていたからそれは少し意外だった。彫りの深さが彼の顔のパーツを目立たせているのだろう。優凪とは正反対だ。彼のようにもっと男らしく生まれたらよかった。
うん、でもこうしてふたりで過ごす時間も悪くない。
誰にも邪魔をされず響魚は優凪だけを見ていた。幼い頃の親だって、優凪の思うままにそばにいてくれたわけじゃないのに。
「優凪? 泣いているのか」
目を覚ました響魚がそっと優凪の頬に触れた。寂しかった今までの優凪の人生を振り返っていたらいたたまれなくなって涙が止まらなくなってしまって。
「まったく、お姫さまは泣き虫で困ったな」
「そ、その呼び方やめてよ……ッ」
「そうか? お似合いだけどな」
「僕、男だし」
「ああ、知ってる」
そう言って響魚は優しく優凪の頬を撫でてから抱きしめる。
「俺たちは一緒だ、これからもずっと一緒にいよう。優凪」
まったくもう、そんな言葉、優しく言うから涙だって止まらないのだ。
