向日葵は彩る君に恋をした

「うーん……」

机に突っ伏す。机がひんやり冷たい。

「なにー? 悩み事?」

山田がプリントを置きながら、ひょいっと顔をのぞかせる。

「山田は進路どうすんの?」

千夏が腕を組みながら

「あー、俺? 消防士目指す」

「え、そうなの?」

千夏が目を丸くする。

「うん。従兄弟の兄ちゃんが消防士でさ。めっちゃかっこよくて、ずっと憧れてんの。だから俺もなりたいなって」

山田は耳の後ろをかきながら、少し照れたように笑った。何も考えていないようにみえて、ちゃんと考えているんだな。その言葉を代弁するように千夏が口を開く。

「山田もちゃんと考えてるんだね」

「おい、なんだよそれ」

山田がむくれると、私と千夏はくすっと笑う。

「で、日向は何に悩んでんの? 花屋になるんかと思ってたわ」

「いや、そうなんだけどさ……」

私は両手で頭を抱えた。前髪がふわりと揺れる。

「“好き”を仕事にするって、難しいこともあるのかなーって。
そういえば千夏はどうするの?」

私は顔をあげる。

「私? 専門学校行くかなー」

頬杖をつきながら言う。

「何になるんだ?」

山田が身を乗り出す。

「そこは未定。でも資格取れるとこ。ほら、女の人って結婚とかで退職したりするじゃん? その保険」

「資格ねー」

山田が伸びをし、椅子がぎしっと鳴った。

「麻美は?」

私が聞くと、麻美は眼鏡をグイッと押し上げた。

「私はパソコンが得意なのでIT系です。好きというより、向いている方が仕事として続けられるかと思いまして」

そういう考え方もあるのか…。三人の声が重なり、教室の片隅に小さな輪ができる。私はその中心で、胸の奥のモヤモヤをそっと抱えたまま、ため息をひとつ落とした。すると勢いよく扉が開く。