【完結】騙され裏切られ婚約破棄された令嬢が死の偽装工作をして消えた結果のチェックメイト

次の日、ルイナ公爵は王太子派の貴族達全員に
通達した。同盟を解除させると。

それから
「ルイナ公爵家との同盟が切れてしまった…!」
「このままでは…領地が破産してしまう…!」
今までルイナ公爵家を当てにしてきた
王太子派の貴族達は騒ぎ始める。

そして、王室にても

王太子ヴァレンの執務室で
机の上には沢山の資料が積み上げられていた。
「何だこれは!」
ヴァレンは苛立ったように紙を机に叩きつけた。
側近の貴族達は青ざめ震える。
「申し訳ございません。殿下。しかし、
ルイナ公爵が取引を止めたのは本当です。」
ヴァレンは苛立ちながら言う。
「公爵が取引を止めただけで
こんなにも混乱するのか!?」
側近は震えながらも答えた。
「殿下…取引だけではありません。」
ヴァレンは眉をつり上げる。
側近は震える手で机にある1枚の紙を置く。
「公爵家系列の商会が、王太子派の領地から
全て撤退していきました。」
撤退したことにより、領地では融資の回収が始まり
輸送路も封鎖されたことを聞き
ヴァレンの顔には余裕がなくなっていく。
「何だと…?」
側近は続けた。
「既に、三つの伯爵家が資金難に陥っております。」
「そして領地の鉱山、農地、港も差押られております。」
「ふざけるな!!」
ヴァレンは勢いよく机を叩いた。
「公爵は何を考えている!」
ヴァレンは、気づいてないが側近は察しており
恐る恐る口にした。
「おそらく、エレンシア様の件であると…。」
ふと、脳裏に浮かぶ
葬儀の日に安らかに棺の中に眠るエレンシア。
しかし、ヴァレンはすぐに我に返る。
「くだらない。
1人の娘が死んだからと言ってこんなことをするとは…。」
どうせ一時的な感情
時が経てばすぐに戻るだろうという自信と裏腹に
王太子の胸の中では不安が芽生え始めていた。


一方王宮の庭にて
色とりどりの花が咲き誇り
貴族の令嬢達が談笑していた。
そんな令嬢達の中心にいるのは
伯爵家の令嬢ユミアであった。
優雅に紅茶を飲みつつも震えながらも口にした。
「本当に辛かったです…。」
「エレンシアに虐げられて…。」
「まあ…可哀想に。」
「王太子殿下が優しいお方ですね。」
ユミアは口元を手で隠している。
令嬢達には見えない笑みを浮かべていた。
(これでやっと…)
(あの女は消えた。)
王家主催のお茶会で一目見た時から恋したヴァレン。
親友だったエレンシアが婚約者であると知って以降
エレンシアをヴァレンの元から引きずり下ろすことを考え続けてようやくエレンシアが消えてヴァレンが自分のものになることをどれだけ待ちわびていたか
ユミアにしか分からない。
(まさか、死んでしまったのは
予想外だったけれど。)
(まあ、いいわ。
これでヴァレン様は私のものになるのだから。)
エレンシアが消えてようやく
ヴァレンと一緒にいられる。
それがどれだけ嬉しいものか。
と余韻に浸っていた時だった。
「でも…聞きました?」
「最近、ルイナ公爵の動きがおかしい事に。」
ユミアは首を傾げた。
「それはどういうことですか?」
その令嬢は周囲を気にしながらも言う。
「ルイナ公爵が王太子派の貴族達との同盟を、切ったそうなんです。」
「それで父が頭を悩ませおりましたわ。」
一瞬にしてユミアの笑顔が固まる。
公爵家との同盟は自分の家でもある伯爵家も含まれていた。ふと嫌な予感がよぎる。
(同盟を切った…?
そうなればうちの家は…。)
そして別の令嬢も言った。
「最近では、輸送路の封鎖と
公爵家の商会が一斉に撤退したようなんです。」
その言葉を聞いてユミアはティーカップの握る力が
こもる。
「エレンシア様の葬儀後すぐに動いたそうなんです。」
「やはり、娘であるエレンシア様のことがきっかけで…」
胸がざわつく。
(エレンシアが死んだ後…?)
(死んだのよ?
エレンシアが死んだくらいで公爵がそこまで…。)

「王太子派の三つの侯爵家も崩壊寸前ですって。」
「公爵が資金を引き上げて早急に借金即払いを求めたとか。」
「そこまでやるなんてルイナ公爵恐ろしいですわ。」
ユミアの顔が段々と青ざめていく。
エレンシアが居なくなったことで
これから幸せな日々が来るのだと思っていた。
なのに、危機に陥っている状態となっていることに
気づくユミア。
その時、庭園から一人の侍女がやってきた。
「ユミア様!王太子殿下がお呼びです!」
ユミアは立ち上がり侍女と一緒にヴァレンのいる
執務室に行くことに。
向かっている最中に
ユミアの胸の中は不安で覆い尽くされていた。
(どうして…?)
(あの幸せな日々が来るんじゃ…ないの?)