【完結】騙され裏切られ婚約破棄された令嬢が死の偽装工作をして消えた結果のチェックメイト

雲ひとつない青い空。
エトランテ王国の王都にある大聖堂。

そこでは今日
王太子ユリアスとエレンシアの結婚式が行われる。

二人の結婚式に招待された貴族達が続々と
入っていき、祝福する声と同時に
を待ちわびていた。

大聖堂の奥の控え室に
エレンシアは、鏡の前に立っていた。

純白のドレスに繊細なレースのデザイン
美しく長いベール。

そして左のくすり指にはめられた指輪。
重度の金属アレルギーである自分のために
様々なジュエリー職人を集めて丹精を込めて
作られた金属を使っていない指輪。
ユリアスの瞳の色である赤い石が組み込まれていた。


こんな日が来るとは想像していなかった
そのためか手が僅かに震えていた。

ノックされ控え室の扉が開く。
振り向くと、母がいた。その後ろには父と兄がいる。

母は、エレンシアに近寄る。
頬に触れる。瞳からは涙が零れそうになっていた。

「とても綺麗よ…エレンシア。」
「お母様…ありがとう。」
母は堪えることができなかったのか、涙を流し始める。
父はそれを見て、母に寄り添う。
「こらこら、まだ式前だ。
早すぎるぞ。」
そう言いながらハンカチを差し出す。
母は、受け取り涙を拭った。

父は、エレンシアの方へ視線を向けて静かに言う。
「…立派になったな。」
短い言葉であるが
その中には今までのことがあった。
兄は、エレンシアの方へ近寄り
優しく頭をポンと置いた後微笑んだ。
「…幸せになるんだぞ。」
「はい…!」
エレンシアは涙を流しながらも
小さく笑った。

花束を持ちながら大きな扉の前に立つ。
そして開かれると光が差し込んだ。

席には自分達を祝うために来てくれた貴族達
そして国王と王妃が座っていた。

バージンロードの先にはユリアスが。
エレンシアをまっすぐ見ていた。

一歩ずつ、歩いてきながらも
今までの事を思い返す。

一度、命を落としたいと考えてしまう程に
苦しく辛かった記憶。

忘れられない、あの日全て失ったことも。

そして今、
出会った人たち、そして手に入れたもの

その全ては過去から繋がっている。

ユリアスの前へ辿り着く。

彼が優しく手を差し伸べる。
迷わずエレンシアはその手を取る。

彼の手は初めて触れた時と同じでとても温かい。

神官の声が響く
誓いの言葉で
エレンシアははっきりと伝えた。
「…誓います。」
そしてユリアスも迷うことなく
「誓います。」

それから、ユリアスに優しくベールをあげる。
互いに目が合った瞬間、ふふっと笑い合う。

そして優しく口付け合う。

同時に祝福の鐘と拍手が響きあった。

その中でエレンシアは思う。
ああ…私は幸せになったんだと。