【完結】騙され裏切られ婚約破棄された令嬢が死の偽装工作をして消えた結果のチェックメイト

数日後
エトランテ王国の王城にて。

大広間にはたくさんの貴族達が集められていた。

静粛に。と国王が口にした瞬間空間は静まり返る。

国王がゆっくりと玉座から立ち上がる。
「本日、皆に知らせる。」
そうして国王の隣へと立つユリアス
全ての貴族達が彼へと視線を向ける。

そんなユリアスの一歩後ろにエレンシアが
緊張した表情をしながら立っていた。

国王は続けた。
「我が息子、ユリアスは」
「ここにいるエレンシア・ルイナ嬢と」
「正式に婚約を結ぶこととなった。」
その言葉にざわつき始める。
しかし、それは驚きでも否定でもなく
祝福していた。
祝福するように微笑む貴族達に
エレンシアの胸の中が暑くなる。

ユリアスがエレンシアを
優しく前へと連れてから一歩前へと出る。

「彼女は俺の大切な人だ。」
「この世で一番。」
短いけれど重みのある言葉に
エレンシアの瞳が揺れた。

ユリアスはエレンシアの方を振り向き
優しく手を差し伸べる。

エレンシアは躊躇うことなく
彼の手を優しくその手を取った。

その瞬間、祝福するように
盛大の拍手がその空間に響き渡った。

エレンシアは心の中で呟いた。

もう否定されない
心を押し殺す必要はないと。
ここにいていいのだと。


その後
エトランテ王国の王城の離れにある離宮にて。
心優しい国王と王妃とユリアスから与えられた自室で

エレンシアは机の上に置いてある手紙に
言葉を綴っていた。

勿論、送り先はルイナ公爵家。
『お父様、お母様、お兄様へ』
『突然の事で驚かれるかもしれませんが』
頬を僅かに赤らめ途中手が止まるが
すぐに動き出す。
『エトランテ王国の王太子ユリアス様と婚約しました。』
『今は、とても穏やかな場所で過ごしております。』
『あの時、かけてくれた言葉』
次に綴ろうとした言葉を書く前に少しだけ涙が滲む。
『心から感謝しております。』
綴った後
堪えて、涙が紙に浸透しないように
一度手紙から視線を外して涙を拭う。
『どうか皆様も、お体に気をつけてお過ごしください。』
『エレンシア・ルイナより。』
最後に名前を綴り
封筒に手紙を入れた後
引き続きエレンシアの専属侍女を勤めている
カリナに渡した。



そうしてその手紙が届けられたルイナ公爵家にて。
重厚な扉の先にある執務室で
公爵が召使からエレンシアからの手紙を受け取る。
その隣には母と兄が。

公爵が無言で封を切り、目を通す。
全てを読んだ公爵は手紙を持つ手紙震えていた。
「…そうか。」
静かに告げる公爵に対して母が不安そうに問いかける。
「あなた…あの子は?」
公爵はゆっくりと顔を上げる
そして優しく微笑む。
がしかし、瞳からは涙が零れそうになっていた。
「元気だそうだ。」
そうして渡された手紙を読んだ母と兄。
全てを読み、エレンシアが元気であることが分かった
瞬間、母の瞳から涙が溢れる。
「良かった…っ」
その隣で兄も涙が溢れそうな表情をして
「ちゃんと生きているんですね…っ」と呟く。
手紙を見返して公爵は頷いた。
「ああ…」
「エレンシアはもう大丈夫だ。」
その声には確実に安堵があった。