孤児院の食堂には、たくさんの子供たちがやってきて
今日のおやつを待ち侘びていた。
院長先生とカリナが食堂にやってくる。
院長先生は、子供たちのコップに
お手製のオレンジジュース注いでいき、
カリナはアンティーク調のトレイを運んでくる。
トレイの上にあるのは
リリアーナが子供たちの為にと
作ったチョコチップクッキー。
リリアーナの作るチョコチップクッキーは
子供たちには大好評で、トレイの上にのる
チョコチップクッキーを見てみれば子供たちは察して
大喜びしていた。
その一方でエレンシアとユリアスは。
ユリアスは、子供たちの
木製の剣をまとめながら口にする。
「今日は、子供たち前よりも強くなってたね。」
エレンシアも手伝うように木製の剣をまとめながら
静かに言う。
「子供たち、ユリアスさんに勝てて嬉しそうでした。」
ユリアスは、照れながらも笑う。
「あの子達は、騎士になる素質があるかも。」
そう言うユリアスに対して、
エレンシアは静かに眺めてから目を伏せて
覚悟を決めたかのような目をしてからユリアスに
あることを聞いてみることにする。
孤児院へ度々訪れるようになってからずっと
聞きたいことであった。
「ユリアスさん。」
「ん?」
「どうして、孤児院へ来てくれるのですか?」
エレンシアがそう問いかけた瞬間
木製の剣を纏める手がピタリと止まる。
暫しの間、沈黙が訪れるのと同時に
風が草を揺らす音が流れる。
それからユリアスは木製の剣を箱にしまった後
立ち上がり、空を見上げながら呟いた。
「…ここにね、」
「昔、救ってくれた人がいるんだ。」
その言葉にエレンシアは目を丸くする。
「救ってくれた人…ですか?」
「うん。」
ユリアスはゆっくりと話し始めた。
「子供の頃、お忍びで街に出かけた時盗賊に囲まれていた女性を助けようとして」
「盗賊たちと戦ったんだ。」
「当然、圧倒的に盗賊たちの方が力が強いから」
「俺は怪我したんだ。」
その話を聞いて、エレンシアの瞳が僅かに揺れる。
頭の片隅にあった記憶と似たような気がした。
ユリアスは話を続ける。
「怪我の手当てをする物を持ってなくて
動けなくなっていた時に」
「一人の女の子が現れたんだ。」
「その女の子はね俺に恐れず、何も聞かずに
優しく接してくれて、診療所にまで連れていってくれたんだ。」
エレンシアの呼吸が少しだけ止まる。
頭の中で何か引っかかる。
ユリアスは静かに微笑んでエレンシアの方を向いて
告げた。
「その子は優しかった。」
「ずっと不吉だと言われ続けたこの赤い瞳を綺麗と言ってくれて…最後に笑って」
「お大事にね!って言ってくれたんだ。」
その言葉にエレンシアの忘れていた記憶が蘇る。
五歳の頃、父であるルイナ公爵と一緒に
街へと出かけていた時。
夕暮れぐらいの頃
ふと、路地裏へとゆっくりと歩いていく少年がいた。
気になって着いていくと、少年は座り込み
腕と足を強く抑えていた。
見てみれば、腕も足もどちらとも血で滲んでいた。
心配して近くに公爵家の主治医の診療所があることを思い出して、咄嗟に少年に声をかけて
診療所へと連れていった。
それから、治療を受けた少年にお大事にねと言った。
当時その少年は、ローブを羽織っていて
容姿は分からなかったけれど
瞳がルビーのように美しかった。
その瞬間、エレンシアは目を見開く。
ユリアスを見る。
少年と同じように瞳がルビーのよう。
エレンシアは震えながらも聞く。
「あなた…」
「あの時の…?」
ユリアスは静かに頷く。
「…覚えていてくれていたんだね。」
エレンシアは言葉を失う。
まさか彼が、幼い頃に会っていた少年だったとは…。
泣きそうな表情をして、エレンシアは呟く。
「あの子…」
「あなただったんですね…。」
ユリアスは照れながらも笑う。
しかし彼も、泣きそうな表情をしていた。
彼女が自分のことを思い出して嬉しいあまりに。
「そうだよ…」
「あの時の少年だよ。」
エレンシアは彼を見つめる。
胸の奥がざわめく。
けれどそれは嬉しいのか、悲しいのか分からない。
「ごめんなさい…私、忘れてしまっていて…。」
「…いいんだよ。思い出してくれただけで
俺は嬉しいから…。」
ユリアスはエレンシアに近づき優しく手を握る。
「ありがとう…。」
「君が俺を救ってくれたから…。」
「今の俺がいるからっ…。」
その優しさのある言葉と微笑みで
エレンシアから涙が一滴零れ落ちるのと
同時に優しく笑った。
それはずっと戻ってこないだろうと思っていた感情。
今日のおやつを待ち侘びていた。
院長先生とカリナが食堂にやってくる。
院長先生は、子供たちのコップに
お手製のオレンジジュース注いでいき、
カリナはアンティーク調のトレイを運んでくる。
トレイの上にあるのは
リリアーナが子供たちの為にと
作ったチョコチップクッキー。
リリアーナの作るチョコチップクッキーは
子供たちには大好評で、トレイの上にのる
チョコチップクッキーを見てみれば子供たちは察して
大喜びしていた。
その一方でエレンシアとユリアスは。
ユリアスは、子供たちの
木製の剣をまとめながら口にする。
「今日は、子供たち前よりも強くなってたね。」
エレンシアも手伝うように木製の剣をまとめながら
静かに言う。
「子供たち、ユリアスさんに勝てて嬉しそうでした。」
ユリアスは、照れながらも笑う。
「あの子達は、騎士になる素質があるかも。」
そう言うユリアスに対して、
エレンシアは静かに眺めてから目を伏せて
覚悟を決めたかのような目をしてからユリアスに
あることを聞いてみることにする。
孤児院へ度々訪れるようになってからずっと
聞きたいことであった。
「ユリアスさん。」
「ん?」
「どうして、孤児院へ来てくれるのですか?」
エレンシアがそう問いかけた瞬間
木製の剣を纏める手がピタリと止まる。
暫しの間、沈黙が訪れるのと同時に
風が草を揺らす音が流れる。
それからユリアスは木製の剣を箱にしまった後
立ち上がり、空を見上げながら呟いた。
「…ここにね、」
「昔、救ってくれた人がいるんだ。」
その言葉にエレンシアは目を丸くする。
「救ってくれた人…ですか?」
「うん。」
ユリアスはゆっくりと話し始めた。
「子供の頃、お忍びで街に出かけた時盗賊に囲まれていた女性を助けようとして」
「盗賊たちと戦ったんだ。」
「当然、圧倒的に盗賊たちの方が力が強いから」
「俺は怪我したんだ。」
その話を聞いて、エレンシアの瞳が僅かに揺れる。
頭の片隅にあった記憶と似たような気がした。
ユリアスは話を続ける。
「怪我の手当てをする物を持ってなくて
動けなくなっていた時に」
「一人の女の子が現れたんだ。」
「その女の子はね俺に恐れず、何も聞かずに
優しく接してくれて、診療所にまで連れていってくれたんだ。」
エレンシアの呼吸が少しだけ止まる。
頭の中で何か引っかかる。
ユリアスは静かに微笑んでエレンシアの方を向いて
告げた。
「その子は優しかった。」
「ずっと不吉だと言われ続けたこの赤い瞳を綺麗と言ってくれて…最後に笑って」
「お大事にね!って言ってくれたんだ。」
その言葉にエレンシアの忘れていた記憶が蘇る。
五歳の頃、父であるルイナ公爵と一緒に
街へと出かけていた時。
夕暮れぐらいの頃
ふと、路地裏へとゆっくりと歩いていく少年がいた。
気になって着いていくと、少年は座り込み
腕と足を強く抑えていた。
見てみれば、腕も足もどちらとも血で滲んでいた。
心配して近くに公爵家の主治医の診療所があることを思い出して、咄嗟に少年に声をかけて
診療所へと連れていった。
それから、治療を受けた少年にお大事にねと言った。
当時その少年は、ローブを羽織っていて
容姿は分からなかったけれど
瞳がルビーのように美しかった。
その瞬間、エレンシアは目を見開く。
ユリアスを見る。
少年と同じように瞳がルビーのよう。
エレンシアは震えながらも聞く。
「あなた…」
「あの時の…?」
ユリアスは静かに頷く。
「…覚えていてくれていたんだね。」
エレンシアは言葉を失う。
まさか彼が、幼い頃に会っていた少年だったとは…。
泣きそうな表情をして、エレンシアは呟く。
「あの子…」
「あなただったんですね…。」
ユリアスは照れながらも笑う。
しかし彼も、泣きそうな表情をしていた。
彼女が自分のことを思い出して嬉しいあまりに。
「そうだよ…」
「あの時の少年だよ。」
エレンシアは彼を見つめる。
胸の奥がざわめく。
けれどそれは嬉しいのか、悲しいのか分からない。
「ごめんなさい…私、忘れてしまっていて…。」
「…いいんだよ。思い出してくれただけで
俺は嬉しいから…。」
ユリアスはエレンシアに近づき優しく手を握る。
「ありがとう…。」
「君が俺を救ってくれたから…。」
「今の俺がいるからっ…。」
その優しさのある言葉と微笑みで
エレンシアから涙が一滴零れ落ちるのと
同時に優しく笑った。
それはずっと戻ってこないだろうと思っていた感情。

