「王太子殿下をお連れ致しました。」
重い扉が開き、謁見の間へと足を踏み入れるヴァレン。
ヴァレンの先には2つの玉座があり
父である国王と母である王妃が並んで座っていた。
普段は穏やかな空気のある空間だが
今回は異なり張り詰めた空気であった。
ヴァレンは片膝をつく。
「お呼びですか。父上。」
「立て。」
国王は低い声で言う。
冷めた視線を向ける2人に
ヴァレンは耐えられない。
「最近の報告は聞いているな?」
ルイナ公爵が王太子派との同盟を切ったことにより
様々な問題が起こり始めているのを
国王の耳にも入っていたよう。
「はい。」
「ルイナ公爵が同盟を切ったことが原因で今
王太子派の貴族たちが…」
バンッ!
ヴァレンの言葉を遮るように国王が勢いよく
玉座の手すりを叩いた。
広い謁見の間に音が響き渡る。
ヴァレンはビクリと体を揺らし目を見開く。
国王は鬼の形相でヴァレンに怒鳴る。
「貴様はまだ、そんなことを言っているのか!!」
国王の怒声に、ヴァレンは言葉が出ない
ただ目を見開き口をパクパクとさせていた。
国王はヴァレンを睨みつけながら言う。
「同盟を切った?」
「原因は貴様だろう!!」
「で、ですが…あれはルイナ公爵が感情的になるあまり…」
「黙りなさい愚か者が。」
ヴァレンが何かを言おうとする前に
王妃が冷めた声で抑制する。
王妃も国王同様、ヴァレンを見る目があまりにも冷たい
「ヴァレン」
「あなたは本当にそう思っているの?」
その言葉にヴァレンはたじろぐ。
王妃はゆっくりと口にした。
「考えてみなさい。」
「あなたはルイナ公爵家令嬢を公の場で断罪した」
「そして断罪された彼女はその後自ら命を絶った。」
「ですが…彼女は罪を犯していました。」
「証拠は?」
王妃は即座に問いかける。
ヴァレンは言葉に詰まる。
「証拠がないというのに
あなたは伯爵家令嬢の言葉だけを信じて断罪し
卑劣な悪女と糾弾した。」
王妃の発言にはどこか鋭い棘があり
ヴァレンの心に食い込む。
「そして、彼女の葬儀で笑った。」
「…っ!」
ヴァレンの喉が詰まる。
「どうしてそれを…っ!」
国王は答える。
「多数の貴族たちから報告を受けている。」
「お前が伯爵家令嬢と一緒に笑っていたと。」
国王と王妃の言葉にヴァレンは何も言えなった。
悔しげに拳を強く握る。
王妃は静かに告げる。
「ヴァレン、あなたは政治を理解していないわ。」
その言葉はどことなく冷酷。
「王太子派の貴族が次々と離れている」
「ほとんどの商会も撤退していった。」
「民からも不満の声が聞こえてくる。」
そして追い討ちをかけるように国王は言う。
「このままでは帝国の威信が崩れる。」
ヴァレンは顔をあげる
「父上…!」
焦りの表情をしたヴァレンを見ながらも
国王は口にした。
「ヴァレン」
「お前は、次期国王としての資質を疑う。」
その言葉は何も見えないように見えて
事実上の警告だった。
ヴァレンは分かっているからこそ
顔を青ざめていた。
王妃が最後に言う
「ヴァレン」
「あなたは、1人の女性の人生を台無しにした。」
「その結果が、これよ。」
謁見の間が沈黙がする。
ヴァレンは初めて
焦りと同時に恐怖を感じていた。
一方、伯爵家にて
執務室の机の上には大量の書類が置かれている。
その前に伯爵が頭を抱えている。
顔は青ざめているのを通り越していた。
そんな姿の伯爵にユミアは不安そうに声をかけた。
「お父様…?」
伯爵は顔をあげる
表情はお終いだというような表情をしていた。
「…終わりだ。」
「え…?」
ユミアの心臓がドクンと鳴る
伯爵は1枚の書類を強く握る
「商人が全員、引き上げた。」
「融資も止められてしまった。」
ユミアは何を言っているのか分からず
オドオドとしていた。
「ど、どういうこと…?」
そう言うユミアに対して伯爵は声を荒らげる。
「ルイナ公爵だ!!」
同時に机を叩く。
「ルイナ公爵がうちとの同盟を完全に切り捨てた!!」
「うちだけではない!!」
「他に同盟を組んでいた家もうちと同じようになっている!!」
「そんな…っ」
ユミアは言葉が出なかった。
ただ伯爵と同様青ざめていた。
「どうして…ルイナ公爵がそんなことを…
悪いのはそっちのほう…」
「黙れ!!」
伯爵は怒りを混じえた声で言う。
ユミアがビクリと震える。
「お前は何をした!?」
「ルイナ公爵令嬢を自殺に追い込んだんだぞ!!」
「…っ」
ユミアは図星で何も言えなかった。
「で、ですが…それは…!」
「あの女が勝手に…!」
反論しようとするユミアには伯爵は冷たく言う。
「世間はそう思っていない。」
そして重い言葉を落とした。
「このままでは伯爵家が破産する。」
その言葉にユミアはガクリと膝から崩れ落ちた。
互いにまだ理解していない
これは偶然なる不運ではない
チェックメイトに向かっているのだと。
そして、時すでに中盤まで
行っているということを。
重い扉が開き、謁見の間へと足を踏み入れるヴァレン。
ヴァレンの先には2つの玉座があり
父である国王と母である王妃が並んで座っていた。
普段は穏やかな空気のある空間だが
今回は異なり張り詰めた空気であった。
ヴァレンは片膝をつく。
「お呼びですか。父上。」
「立て。」
国王は低い声で言う。
冷めた視線を向ける2人に
ヴァレンは耐えられない。
「最近の報告は聞いているな?」
ルイナ公爵が王太子派との同盟を切ったことにより
様々な問題が起こり始めているのを
国王の耳にも入っていたよう。
「はい。」
「ルイナ公爵が同盟を切ったことが原因で今
王太子派の貴族たちが…」
バンッ!
ヴァレンの言葉を遮るように国王が勢いよく
玉座の手すりを叩いた。
広い謁見の間に音が響き渡る。
ヴァレンはビクリと体を揺らし目を見開く。
国王は鬼の形相でヴァレンに怒鳴る。
「貴様はまだ、そんなことを言っているのか!!」
国王の怒声に、ヴァレンは言葉が出ない
ただ目を見開き口をパクパクとさせていた。
国王はヴァレンを睨みつけながら言う。
「同盟を切った?」
「原因は貴様だろう!!」
「で、ですが…あれはルイナ公爵が感情的になるあまり…」
「黙りなさい愚か者が。」
ヴァレンが何かを言おうとする前に
王妃が冷めた声で抑制する。
王妃も国王同様、ヴァレンを見る目があまりにも冷たい
「ヴァレン」
「あなたは本当にそう思っているの?」
その言葉にヴァレンはたじろぐ。
王妃はゆっくりと口にした。
「考えてみなさい。」
「あなたはルイナ公爵家令嬢を公の場で断罪した」
「そして断罪された彼女はその後自ら命を絶った。」
「ですが…彼女は罪を犯していました。」
「証拠は?」
王妃は即座に問いかける。
ヴァレンは言葉に詰まる。
「証拠がないというのに
あなたは伯爵家令嬢の言葉だけを信じて断罪し
卑劣な悪女と糾弾した。」
王妃の発言にはどこか鋭い棘があり
ヴァレンの心に食い込む。
「そして、彼女の葬儀で笑った。」
「…っ!」
ヴァレンの喉が詰まる。
「どうしてそれを…っ!」
国王は答える。
「多数の貴族たちから報告を受けている。」
「お前が伯爵家令嬢と一緒に笑っていたと。」
国王と王妃の言葉にヴァレンは何も言えなった。
悔しげに拳を強く握る。
王妃は静かに告げる。
「ヴァレン、あなたは政治を理解していないわ。」
その言葉はどことなく冷酷。
「王太子派の貴族が次々と離れている」
「ほとんどの商会も撤退していった。」
「民からも不満の声が聞こえてくる。」
そして追い討ちをかけるように国王は言う。
「このままでは帝国の威信が崩れる。」
ヴァレンは顔をあげる
「父上…!」
焦りの表情をしたヴァレンを見ながらも
国王は口にした。
「ヴァレン」
「お前は、次期国王としての資質を疑う。」
その言葉は何も見えないように見えて
事実上の警告だった。
ヴァレンは分かっているからこそ
顔を青ざめていた。
王妃が最後に言う
「ヴァレン」
「あなたは、1人の女性の人生を台無しにした。」
「その結果が、これよ。」
謁見の間が沈黙がする。
ヴァレンは初めて
焦りと同時に恐怖を感じていた。
一方、伯爵家にて
執務室の机の上には大量の書類が置かれている。
その前に伯爵が頭を抱えている。
顔は青ざめているのを通り越していた。
そんな姿の伯爵にユミアは不安そうに声をかけた。
「お父様…?」
伯爵は顔をあげる
表情はお終いだというような表情をしていた。
「…終わりだ。」
「え…?」
ユミアの心臓がドクンと鳴る
伯爵は1枚の書類を強く握る
「商人が全員、引き上げた。」
「融資も止められてしまった。」
ユミアは何を言っているのか分からず
オドオドとしていた。
「ど、どういうこと…?」
そう言うユミアに対して伯爵は声を荒らげる。
「ルイナ公爵だ!!」
同時に机を叩く。
「ルイナ公爵がうちとの同盟を完全に切り捨てた!!」
「うちだけではない!!」
「他に同盟を組んでいた家もうちと同じようになっている!!」
「そんな…っ」
ユミアは言葉が出なかった。
ただ伯爵と同様青ざめていた。
「どうして…ルイナ公爵がそんなことを…
悪いのはそっちのほう…」
「黙れ!!」
伯爵は怒りを混じえた声で言う。
ユミアがビクリと震える。
「お前は何をした!?」
「ルイナ公爵令嬢を自殺に追い込んだんだぞ!!」
「…っ」
ユミアは図星で何も言えなかった。
「で、ですが…それは…!」
「あの女が勝手に…!」
反論しようとするユミアには伯爵は冷たく言う。
「世間はそう思っていない。」
そして重い言葉を落とした。
「このままでは伯爵家が破産する。」
その言葉にユミアはガクリと膝から崩れ落ちた。
互いにまだ理解していない
これは偶然なる不運ではない
チェックメイトに向かっているのだと。
そして、時すでに中盤まで
行っているということを。

