【完結】騙され裏切られ婚約破棄された令嬢が死の偽装工作をして消えた結果のチェックメイト

海と山に囲まれた肥沃な王国、ルミネリア王国
名前の由来は王国で
夜に美しい流星群が見れることから。

今夜王城では、貴族学院の卒業生たちを祝福する
パーティーが開かれていた。
会場には煌びやかな装飾にそれをより一層輝かせる
大きなシャンデリア。
誰もを魅了させる優雅な音楽。

会場にいる卒業生の令嬢や公子達は
卒業を祝福しながらも互いの華やかな未来を語り合っていた。

そんな中
「皆に伝えたいことがある。」
壇上に現れてそう発し祝福のムードをかき消した
金髪の髪を束ね緑色の瞳を持つ一人の男。
彼の名はヴァレン・アリスト・グレイス
ルミネリア王国の王太子で王位継承権第一位である人物。そんな彼は黒色系統の髪に赤い瞳を持つ令嬢を引き寄せていた。その令嬢は肩に手を置かれながら口元を片手で隠していた。しかしその口元はニヒルに笑っていた。

「この時を持って、ヴァレン・アリスト・グレイスは
エレンシア・ルイナとの婚約を破棄する。」

そう王太子が言った瞬間
周囲に居るものはざわめき始める。
なぜ婚約破棄を?、王太子殿下の隣にいるお方って伯爵家令嬢の…。
婚約破棄についての話題になっていると
ふと壇上の近くに
白い肌に
月光のように美しい銀色の髪を腰まで伸ばし
水晶のような水色の瞳、ネイビーブルーの華やかなドレスを身に纏う一人の少女。エレンシア・ルイナ。
広大な領地とありったけの財力を持ち王国で2番目に権力があるとされるルイナ公爵家生まれの令嬢であり
貴族学院では常に成績優秀で三年間降格することなくSクラスに居続けそして生徒会会長も務めていた
非常に優れた人物である。彼女も卒業生のためこのパーティーに参列していた。本来であれば彼女は、王太子の隣にいるはずだった。しかし、壇上にいる王太子と
その下にいるエレンシア
見れば明らかに距離感があり
良好な関係ではなかったとされる。
エレンシアは壇上にいる王太子を水色の瞳で見つめる。
その瞳からは動揺などはなくただ無のような瞳。
「…婚約破棄とは一体どういうことでしょうか?」
声色も、怒りや悲しみなどなく
どんな感情なのか誰も読み取れない。
それが気に入らないのかヴァレンは
エレンシアを睨みつける。
「エレンシア、お前は本当に感情がない。
婚約破棄すると宣言したというのに動揺もしないとは…。さすが社交界の氷花と呼ばれる程でもある。」
完全にエレンシアに対して蔑む言葉を発したヴァレン。
しかし、それでもエレンシアは無のような表情をしておりそれが癇に障るのかまたヴァレンが何かを言おうとした時だった。
「やめてください…!」
割り込むようにヴァレンに話しかける
黒色系統の髪と瞳を持ち
勝利の意味を持つ赤色のドレスを身に纏う少女
ユミア・クラージュ。
クラージュ伯爵家の令嬢であり
エレンシアの親友であった人物だ。
今この時を持ってエレンシアとユミアの絆は完全に途絶えた。
彼女も、貴族学院を卒業しこのパーティーに参加していた。けれど、王太子の隣に立てるのは婚約者であったエレンシアだけというのに彼女は堂々とヴァレンの前に立っておりヴァレンの腕にしがみ付く。
「エレンシアにそんな言い方しないでちょうだい。
エレンシアがあまりにも可哀想だわ。」
「ユミア…君は本当に優しいな。」
仲慎ましい姿を見るなり驚く周りの人達。
エレンシアは表情は変わらなかったが微かに目を細めているのが王太子に見えた。
ユミアを蝶のように花のように優しくした後
すぐにエレンシアの方へ視線を向ける。
ユミアの時の優しさはどこへ行ったのかというほどに
鋭い視線だった。
「エレンシア、貴様は嫉妬を理由に
ユミアに俺に近づくなと威圧して平手打ちをそうだな。
そして大切なネックレスを壊したそうじゃないか。」
証拠はあるといってユミアから受け取り
そのまま床に突きつけられたのは銀のネックレス
その言葉に周りにいる者たちはエレンシアの方に視線を向ける。
エレンシア様がネックレスを壊した?
エレンシア様って確か…。とエレンシアが悪行をしていたとことに対して批判するようなこともなく寧ろ、エレンシアがそんなことができるのかという疑問で騒ついていた。
「…婚約破棄する理由はそれですか?」
「そうだ。そんな嫉妬が理由で威圧し人の物を壊すような卑劣な悪女であるお前が王妃など務まることなど到底無理だ。」
卑劣な悪女
ヴァレンの悪意ある言葉にエレンシアは
変わらず無表情であるが、少しだけだが目を伏せ
軽く息を吐き出した後。
「承知しました。」
とドレスの裾を軽く両手で持ち上げては
カーテシーをした。
「殿下との婚約破棄を了承します。
後は、ご自由に。」
そう言ってドレスの裾を離し
くるりと華麗に背を向けた後、早々と会場を去ろうとしていた。
そのエレンシアの姿に驚く人々、
無論ヴァレンも隣にいるユミアも驚いた様子。
「おい!エレンシア」
慌てて彼女を呼び止めるヴァレン
待てと言われピタリと進める足を止め
王太子のいる方を向くエレンシア。
「…何か?」
そう問いかけた際の
表情はまだあるのかと言うような表情をしていた。
「お前、何か言い分はないのか!?」
「いえ、ないですが。」
「なっ…!」
即答でそう返したエレンシアに頭の中が困惑で埋め尽くされるヴァレン。その隣でユミアも驚いた表情をしていた。
「それでは失礼します。」
そう言って、会場を去っていくエレンシア
ただ見ることしかできなかった。
こんなことになるとは
こんなはずじゃなかったのに。
「…クソッ!」
理不尽な怒りを募らせその怒りは強く握る拳から溢れていた。

盛大なパーティーの中で行われた
婚約破棄騒動は次の日大きな話題となっていた。
街の中では、エレンシア様がそんなことするお方だったのか…。と批判する声やエレンシア様がそんなことするわけないでしょ?と擁護する声も中にはあった。
しかし貴族界の中では
数多の貴族達は焦っていた。
「まずいぞ…!偉大なるルイナ公爵家の令嬢
エレンシア様が王太子に婚約破棄されたなら我々は…!」
不安をこぼすのと同時にヒア汗もかいていた。