物置令嬢の契約結婚 ~旦那様が健康になっていくのが楽しいだけだったのに、いつの間にか溺愛されています〜

 朝食の席。
 恭しく運ばれてきた皿を見るなり、冬真様は訝しげな顔をして、熱でふっくらと膨らんだ紙包みを睨みつけた。

「朝からまた妙なものを……」
「本日はお魚料理でございます」

 私がにっこりと告げると、冬真様は露骨に眉を寄せた。

「……私はあまり、魚は好きではないのだが。朝はもっと腹にたまるものがいい」
「まあまあ、そう仰らずに。まずは開けてみてくださいな」

 私がにっこりと促すと、冬真様は不満げに紙を開いた。途端に、閉じ込められていた熱い湯気とともに、香草と濃厚なソースの芳醇な香りがふわりと広がる。
 添えられたカボスをキュッと絞ってから、冬真様は恐る恐る一口分を切り分け、口に運んだ。
 その瞬間、彼の気難しげな顔からふっと力が抜け、思わずといった様子で口元が綻んだ。カリッと焼けたパン粉の食感、鮭の旨味、そして何より、複雑なコクが絡み合ったソースが、見事に彼の舌に合ったのだろう。

「旦那様、いかがですか?」
「……まあ、食えなくはない」

 美味しいと表情に出ているのに、わざとらしく咳払いをして誤魔化す姿が少しおかしくて、私は思わずふふっと笑ってしまった。
 文句を言いながらも、結局冬真様はその日の朝食を、綺麗に平らげてくださった。