綺麗な薔薇には棘がある

「嬉しそうですね、御門会長。」
「ふふっ。だって、いくら契約とは言え、あの奏一朗と恋人になれたんだよ?嬉しくないわけがないよ」

そう。何を隠そう、生徒会メンバーは華月が奏一朗に片想いをしているのを知っている。その想いを隠すための"犬猿の仲"というわけだ。...まぁ、風紀委員会は本気で生徒会を嫌っているようだが。

「しかし、運がよかったですね。襲われているところを助けてくれたのが風紀委員長で」
「ホントだよ。まぁ、これからが僕にとって勝負だからね。気は抜いてられないよ」

......だが、世の中はそう甘くはなかった。次の日には二人の関係が学園中に広まっていた。そのためか、告白は減った。告白は。その代わり、奏一朗に恨みを持つ者達が華月に近寄ろうと画策しているようであった。

「......まただ」
「華月?どうかしたか?」
「いや、どう考えても告白じゃない手紙が下駄箱に入ってるんだよね......」

奏一朗は華月が手にしている手紙を覗き見ると、そこには「放課後、体育館裏で待つ」と書かれていた。

「行く必要はない。どうせ、オレに勝てないから華月に危害を加えれば、勝てるとでも思っているんだろう」

......なんとも愚かである。相手にしないのが吉だ。

「もしあれなら、警備を増やすか?」
「大丈夫。僕一人になる事は無いから」
「だが......」
「あれあれぇ?もしかして心配してくれてるの?」

華月は奏一朗を揶揄うように笑みを浮かべながら奏一朗の顔を覗き込んだ。すると、奏一朗は顔を真っ赤にしていた。華月はただ揶揄ったつもりだったので、まるでハトが豆鉄砲を食らったかのように目をまん丸くした。

「え、えぇ?!ちょっと!本気だったの?!」
「し、仕方ないだろう?!いくら契約とは言え"恋人"なんだから!心配はするだろう!!」

華月は奏一朗のその言葉に胸をキュンキュンさせた。そして、奏一朗に勝気な笑みを向けた。

「心配してくれてありがと!でもホントに大丈夫だからね」
「......まぁ、そこまでいうなら」
「僕の彼氏は優しーな♡」

華月はおちょくるように奏一朗の周りをくるくると回る。するっと奏一朗が「うざい」と言いながら華月の頭に軽くチョップをかました。

「酷い!デートDVはよくないよ?!」
「何がデートDVだ。揶揄い始めたのはお前の方だろう」

華月は"ぶー"っと頬を膨らませて奏一朗を見つめた。うん、やっぱり今日もかっこいい。そうしていると、奏一朗が華月の頭にポンと手をのせてきた。

「だが、本当に困った時は必ず言う事。いいな?」
「わ、分かった。......ありがとう。奏一。」

本当に"恋人契約"か?というほど甘ったるい空気が二人の周りを包み込んだ。