夏と冬が重なれば。番外編


「か、かくかくしかじかでね……!」

咲夏は真っ赤な顔のまま、必死に両手をぶんぶん振った。

「知華と那智に制服を取られちゃって!それで……冬弥くんにこの格好を見られるのが恥ずかしくて……っ!だから怜くんにカッターシャツを借りたの!本当にそれだけなの!ごめんなさいっ!」

言葉は焦るほど絡まり、息も切れ切れになる。

「ちょっと、この格好じゃ後夜祭なんて行けないなって思って……それで――」

そこまで言いかけた、その瞬間だった。

「……そう。」

低く落ち着いた声が、静かな教室に響く。
次の瞬間、冬弥は咲夏の細い手首をそっと掴んだ。

「え……?」

驚く間もなく、ぐいっと引き寄せられる。
バランスを崩した咲夏の身体は、そのまま教室の机へと倒れ込んだ。

「きゃっ……!」

カタン、と机が小さく音を立てる。

月の光に照らされる教室。
窓から吹き込む夏の風がカーテンを揺らし、二人だけの時間を優しく包み込む。
目の前には、真剣な表情の冬弥がいて、その瞳はどこか切なく、そして少しだけ嫉妬を滲ませていた。

鼓動がうるさいほど鳴り響く。
逃げたいのに、視線だけは逸らせない。