元日の朝5時。
オレは家族を起こさないようにそっと玄関のドアを開けた。外はまだ真っ暗だ。
白い息をはきながら隣の家を見ると、モモがコートのポケットに手を入れてにこにこしながら立っていた。
「あけおめ!」
小さな声で言われて、なぜか心臓が止まる。
「……あけおめ」
顔を背けて歩き始める。
まわりにも、ちらほらと初詣に向かう人達がいる。家族連れ、カップル、オレたちみたいな友人同士。
「コンビニ寄りたい」
モモに言われてコンビニに入る。小さなお願いが心地よい。
モモはカイロを買っていた。店を出てからすぐに開けて「一ついる?」と聞かれたけど遠慮した。
そのまま暗い道を、バスケのことや冬休み中の宿題のこと…なんでもないことを話す。
神社近辺は少し人も増えて、新年らしい雰囲気になっていた。
「さっむ……」
「さすが早朝」
オレとモモも境内をくぐり抜け、参拝の列に並ぶ。
直ぐに先頭に着いて、さい銭を投げ手を合わせる。
モモがなにを願っているのか。
ーーバスケの選抜チーム入りかな?
モモの実力なら、中学に入ったらレギュラー確実だろうけど。
オレは、
「モモとずっと一緒にいられますように」
と、願った。
幼馴染で親友なんだから、ずっと一緒にいられるはず。……もし、お互いに彼女が出来ても。
いや、モモに彼女が出来るのは嫌かな。
そんなことを考えながら、モモと一緒にお参りを終えると、モモがオレを覗き込んで笑った。
「なに願った?」
「んーー」
言えるわけない。
オレが口ごもると、モモは「オレはね、バスケの選抜チーム入り!」と言った。
モモならそうだよな、と思ったら、
「あとは、山瀬とずっと一緒にいられますようにって願っといた」
「!」
どきん。
オレと同じ願い。そもそも、願いって二つ言ってもいいのかよ!
オレは照れ隠しでクールにモモに言った。
「じゃ、オレが願い叶えるから、さい銭くれ! 札でヨロシク」
「はは。これ、札の代わり」
モモがオレのポケットに何かをねじ込んできた。手をいれると、ほかほかのカイロ。
ちょうど手が冷たくて、お参りしたあと、こすっていた。
……見てたのかな。
モモは笑ってぴょんぴょん先に行ってしまう。小柄なのに歩くのが早くて嫌んなる。
ポケットの熱と胸の奥の熱とが、じんじんとオレを温める。
変な感じだ。その感情か何かはまだ分からないけどーー
モモ。
今年もよろしく。
オレは家族を起こさないようにそっと玄関のドアを開けた。外はまだ真っ暗だ。
白い息をはきながら隣の家を見ると、モモがコートのポケットに手を入れてにこにこしながら立っていた。
「あけおめ!」
小さな声で言われて、なぜか心臓が止まる。
「……あけおめ」
顔を背けて歩き始める。
まわりにも、ちらほらと初詣に向かう人達がいる。家族連れ、カップル、オレたちみたいな友人同士。
「コンビニ寄りたい」
モモに言われてコンビニに入る。小さなお願いが心地よい。
モモはカイロを買っていた。店を出てからすぐに開けて「一ついる?」と聞かれたけど遠慮した。
そのまま暗い道を、バスケのことや冬休み中の宿題のこと…なんでもないことを話す。
神社近辺は少し人も増えて、新年らしい雰囲気になっていた。
「さっむ……」
「さすが早朝」
オレとモモも境内をくぐり抜け、参拝の列に並ぶ。
直ぐに先頭に着いて、さい銭を投げ手を合わせる。
モモがなにを願っているのか。
ーーバスケの選抜チーム入りかな?
モモの実力なら、中学に入ったらレギュラー確実だろうけど。
オレは、
「モモとずっと一緒にいられますように」
と、願った。
幼馴染で親友なんだから、ずっと一緒にいられるはず。……もし、お互いに彼女が出来ても。
いや、モモに彼女が出来るのは嫌かな。
そんなことを考えながら、モモと一緒にお参りを終えると、モモがオレを覗き込んで笑った。
「なに願った?」
「んーー」
言えるわけない。
オレが口ごもると、モモは「オレはね、バスケの選抜チーム入り!」と言った。
モモならそうだよな、と思ったら、
「あとは、山瀬とずっと一緒にいられますようにって願っといた」
「!」
どきん。
オレと同じ願い。そもそも、願いって二つ言ってもいいのかよ!
オレは照れ隠しでクールにモモに言った。
「じゃ、オレが願い叶えるから、さい銭くれ! 札でヨロシク」
「はは。これ、札の代わり」
モモがオレのポケットに何かをねじ込んできた。手をいれると、ほかほかのカイロ。
ちょうど手が冷たくて、お参りしたあと、こすっていた。
……見てたのかな。
モモは笑ってぴょんぴょん先に行ってしまう。小柄なのに歩くのが早くて嫌んなる。
ポケットの熱と胸の奥の熱とが、じんじんとオレを温める。
変な感じだ。その感情か何かはまだ分からないけどーー
モモ。
今年もよろしく。

