80年越しの君とあの蛍を忘れない

 資料館を出た俺はグループのやつらと離れ、断崖絶壁を眺める。

 当時わずか十四歳ぐらいで戦争へ動員された〝学徒隊〟が、ここから海へ身を投げたらしい。

 「同じくらいの年齢だった学徒隊の人たちは……。どんな思いだったんだろう」

 無気力で何となく生き続けている俺には、彼女たちの思いがどうしても分からないんだ。

 (すご)く辛い目にあっても生き抜いた。凄惨(せいさん)な最期を遂げた。

 そんな歴史を記した文章は読んだけど……。

 まるで博物館にある展示物の説明文を眺めているかの様に実感が湧かない。

 気持ちが分かるなんて無責任には言えない。

 知りたいけど、聞く相手もいないのが辛い。

 分からないのは……俺が心ない人間だから、なのかな?

 トラウマで燃え尽きたのか、情熱を失ってしまったのか……。

 何だか、世界が色()せて見える。

 いつか再び何かの目標を目指して、心躍らせながら生きる日がくるのかな――。