二〇二五年八月二十九日。
もうすぐ、夏休みが終わる。
相変わらず作文は手つかずのままだ。
図書館で衝撃の歴史を目にしてから、とてもじゃないけれど机に向かう気にはなれない。
あれから、家に帰ってもネットで美花の辿ったであろう運命とか戦争について調べては目を逸らしてを繰り返してる。
結果的に、美花が辿らずに済んだ悲劇よりも、今後のことを考えるべき。
そう結論づけた。
この夏休みの間に――いや、今日。
彼女に自分を曝け出して気持ちを確かめたい。
「綺麗な場所ですね。凄く心が安らぎます」
「ムーミンバレーパークって言うぐらいだからね」
美花を誘い、埼玉県飯能市にあるテーマパークへ遊びにきた。
デートに誘うなんて初めてで、計画を考える段階から緊張が止まらなかった。
今も胸がバクバクだ。
パークに入る手前、湖沿いにある北欧風のメッツァビレッジという緑と湖畔を望む綺麗な道を散歩してるけど……。
美花を女性として意識したら、何を話していいのか分からない。
俺の気持ちのこともだけど、彼女の身の上話とか……。
ここへの移動にも時間がかかったし長居はできない。
俺の中で立てた計画のイベントばかりに気が行ってしまう。
ゆっくり散歩という状況が本当に楽しんでもらえてるのかな?
堪らず、楽しめるものが多い有料エリアに向かうことにした。
案内を見る限り、アトラクションとか色々と話題にできるもので溢れてるはずだ。
「チケット買うから待って――……。あ、まただ」
「それ、飴玉ですね! お婆様、優しい」
鞄や服の中だとバレると思ったのか、今度は財布の中に入ってた。
これじゃあ財布が膨らんでかさばるじゃないか……。お節介だなぁ。
着てたシャツのポケットへ二個の飴玉を無造作に入れる。
有料エリアへ入場する料金を払うと、いきなり幻想的な世界へ吸い込まれた。
「護流さん、大っきな本の枠が並んでますよ!? 中に人が入れる様になってます!」
「うん。記念撮影とかできるみたいなんだけど、撮る?」
「はい! この時代で写真を撮られるのは初めてなので、緊張しちゃいますね」
「じゃあ最高に綺麗に撮らないとね」
絵本をくり抜いた様なスペースに美花が立ち、手を前に組んで俺の方へ微笑む。
「何か……。ポーズが十四歳らしくないな」
思わず苦笑してしまう。
堅苦しい場での集合写真みたいだけど、彼女がやると自然体に見える。
「はい、オッケー。良いの撮れたよ」
「見せてください。うわぁ……。本当に不思議な気持ちです」
彼女は戦時中なら絶対にできない体験だとか生活の違いに不思議な気持ちになってるんだろうな。
俺は、もっと違う理由で不思議な気持ちだ。
歴史の教科書に載っていてもおかしくない彼女が、現代のフォトスポットに立って写真に写ってるんだから。
「めっちゃ綺麗だね」
「ほ、褒めてくれるのは嬉しいですが、綺麗とか気軽に口にするのは……」
徐々に声が小さくなっていく美花の様子に、どう言葉を繋げればいいのか分からなくなった。
もうすぐ、夏休みが終わる。
相変わらず作文は手つかずのままだ。
図書館で衝撃の歴史を目にしてから、とてもじゃないけれど机に向かう気にはなれない。
あれから、家に帰ってもネットで美花の辿ったであろう運命とか戦争について調べては目を逸らしてを繰り返してる。
結果的に、美花が辿らずに済んだ悲劇よりも、今後のことを考えるべき。
そう結論づけた。
この夏休みの間に――いや、今日。
彼女に自分を曝け出して気持ちを確かめたい。
「綺麗な場所ですね。凄く心が安らぎます」
「ムーミンバレーパークって言うぐらいだからね」
美花を誘い、埼玉県飯能市にあるテーマパークへ遊びにきた。
デートに誘うなんて初めてで、計画を考える段階から緊張が止まらなかった。
今も胸がバクバクだ。
パークに入る手前、湖沿いにある北欧風のメッツァビレッジという緑と湖畔を望む綺麗な道を散歩してるけど……。
美花を女性として意識したら、何を話していいのか分からない。
俺の気持ちのこともだけど、彼女の身の上話とか……。
ここへの移動にも時間がかかったし長居はできない。
俺の中で立てた計画のイベントばかりに気が行ってしまう。
ゆっくり散歩という状況が本当に楽しんでもらえてるのかな?
堪らず、楽しめるものが多い有料エリアに向かうことにした。
案内を見る限り、アトラクションとか色々と話題にできるもので溢れてるはずだ。
「チケット買うから待って――……。あ、まただ」
「それ、飴玉ですね! お婆様、優しい」
鞄や服の中だとバレると思ったのか、今度は財布の中に入ってた。
これじゃあ財布が膨らんでかさばるじゃないか……。お節介だなぁ。
着てたシャツのポケットへ二個の飴玉を無造作に入れる。
有料エリアへ入場する料金を払うと、いきなり幻想的な世界へ吸い込まれた。
「護流さん、大っきな本の枠が並んでますよ!? 中に人が入れる様になってます!」
「うん。記念撮影とかできるみたいなんだけど、撮る?」
「はい! この時代で写真を撮られるのは初めてなので、緊張しちゃいますね」
「じゃあ最高に綺麗に撮らないとね」
絵本をくり抜いた様なスペースに美花が立ち、手を前に組んで俺の方へ微笑む。
「何か……。ポーズが十四歳らしくないな」
思わず苦笑してしまう。
堅苦しい場での集合写真みたいだけど、彼女がやると自然体に見える。
「はい、オッケー。良いの撮れたよ」
「見せてください。うわぁ……。本当に不思議な気持ちです」
彼女は戦時中なら絶対にできない体験だとか生活の違いに不思議な気持ちになってるんだろうな。
俺は、もっと違う理由で不思議な気持ちだ。
歴史の教科書に載っていてもおかしくない彼女が、現代のフォトスポットに立って写真に写ってるんだから。
「めっちゃ綺麗だね」
「ほ、褒めてくれるのは嬉しいですが、綺麗とか気軽に口にするのは……」
徐々に声が小さくなっていく美花の様子に、どう言葉を繋げればいいのか分からなくなった。



