17歳、僕たちの第一死望

「――それで、掲示板でも見つけたんだ」

 教室に戻った僕は、校舎で見つけたシロクマの絵を、絵川に見せていた。
 三枚目の絵があったのは、管理棟の一階廊下にある掲示板。
 生徒会の連絡や部員募集のポスターの脇に、ひっそりと画びょうで留められていた。

 シロクマはさらに大きくなり、周りにはウサギやキツネ、小鳥といった他の動物たちが集まっている。
 彼らはシロクマの描いた絵を見て、パチパチと拍手をして喜んでいた。
 シロクマは少し照れたように頭をかいている。

「こいつ。褒められるようになったみたいでさ」

 僕が笑っていると、絵川が眉間にしわを寄せているのに気づいた。
 彼女のノートは閉じられ、机の上はシロクマの絵で占領されている。
 僕は絵の中のシロクマのように、頭をかいた。

「……ごめん。邪魔したかな?」
「別に。ずいぶん、楽しそうって思っただけ」

 絵川が目をそらしながら言った。
 僕は苦笑する。

「探すもの、違うじゃんって話だよね」
「君がいいなら、いいんじゃない?」
「まあ、いいわけじゃないんだけど」

 僕はシロクマの絵を重ねる。
 それを机の上でトントンと叩き、綺麗にそろえた。

「つい、面白くなってさ。よく分からないものを探すより」
「ふうん」

 絵川は、特別興味がなさそうな口調で言った。
 彼女は僕が束ねた絵をもう一度見る。

「それ、そんなに良かったの?」
「まあね」
「うまいから?」
「全然」
「は?」

 絵川がめずらしく間の抜けた声を上げた。

「美術室にあった風景画の方が、うまかったよ」
「じゃあ……なんで?」

 僕は笑って、即答した。

「普通に気にならない? 続き」

 絵川は質問には答えず、僕をじっと見つめた。
 まるで、言っている意味が分からないとでもいうように。