僕は中庭のステージに仰向けになり、流れる雲をぼんやりと見ていた。
相変わらず、時間感覚がおかしい。
もう夜になっていてもおかしくないはずなのに、太陽はまだ沈んでいなかった。
「――何も、聞こえない」
周囲には、絵川も五十嵐もおらず、半透明の生徒の姿もない。
幻死の世界に来て、一人になったのは初めてだった。
そもそも、現実世界でも学校で一人になったことはあっただろうか。
よく、思い出せない。
あれから、僕たちは別々に過ごすことにした。
五十嵐が一人にしてほしいと言ったわけでも、絵川が気を利かせたわけでもない。
ただ、自然とそうなった。
五十嵐はその場に留まり、絵川はノートを抱えて教室に戻っていった。
僕は校舎をぶらぶらと見て回り、気づいたら中庭に戻ってきていた。
「……十二年、か」
僕は五十嵐のやってきたことを『無駄』だと言い切ることも、『違う』と簡単に笑い飛ばすこともできなかった。
階段の踊り場で、上ることも下りることもできなくなったみたいだ。
この気持ちは、どんな言葉で表せるのだろうか。
きっとそれは。
――僕がまだ知らない言葉。
だから今は、これ以上考えても仕方ない。
僕は両手で自分の頬を強く叩き、立ち上がった。
僕の手のひらは、もう十分に――。
温まっている。
相変わらず、時間感覚がおかしい。
もう夜になっていてもおかしくないはずなのに、太陽はまだ沈んでいなかった。
「――何も、聞こえない」
周囲には、絵川も五十嵐もおらず、半透明の生徒の姿もない。
幻死の世界に来て、一人になったのは初めてだった。
そもそも、現実世界でも学校で一人になったことはあっただろうか。
よく、思い出せない。
あれから、僕たちは別々に過ごすことにした。
五十嵐が一人にしてほしいと言ったわけでも、絵川が気を利かせたわけでもない。
ただ、自然とそうなった。
五十嵐はその場に留まり、絵川はノートを抱えて教室に戻っていった。
僕は校舎をぶらぶらと見て回り、気づいたら中庭に戻ってきていた。
「……十二年、か」
僕は五十嵐のやってきたことを『無駄』だと言い切ることも、『違う』と簡単に笑い飛ばすこともできなかった。
階段の踊り場で、上ることも下りることもできなくなったみたいだ。
この気持ちは、どんな言葉で表せるのだろうか。
きっとそれは。
――僕がまだ知らない言葉。
だから今は、これ以上考えても仕方ない。
僕は両手で自分の頬を強く叩き、立ち上がった。
僕の手のひらは、もう十分に――。
温まっている。

