4月。
桜が満開に咲く、あたたかな出会いの季節。
俺は、今日から高校生になる。
入学式へと向かう車には、二家族分乗っている。子どもだからという理由だけで一番後ろの座席に押し込まれたわけだが、さすがに狭い。
なんでも、入学式なんて駐車場に困るだろうから、同じ学校なら一緒に行こうと母親の間で話がまとまったらしく、幼馴染の藍沢愛弥とその両親も共に車に乗せて向かうことになったのだ。
「もう高校生なんて早いよねぇ」
「そうよね、もうあっという間で……」
学生時代からの友人だという母親たちが談笑する声だけが車内に響いている。
いつまで経っても仲が良い友人がいるなんて、羨ましい限りだ。
「そういえば、蓮くんならもっと頭の良い高校に行けたんじゃないの?」
「そんなことないそんなことない!
それに、なぜかここに進学するって言って聞かなくて……」
「母さん、もうその話いいでしょ!」
思わず、母さんの言葉を遮った。
できるなら、その話は愛弥に聞かれたくないのだ。
愛弥のお母さんの言う通り、本来なら市内で一番偏差値の高い高校に入学できる程度に勉強はできた。しかし、どうしても俺は愛弥と同じ高校に行きたかったのだ。
母さんたちには、勉強漬けになるところじゃなくて、イベントが多くて楽しそうな高校に行きたいとか言ったけど、よく許してもらえたものだ。
共に狭い座席に押し込められた幼馴染の方を見る。どうやら、夢の中のようだ。
相変わらず、綺麗な顔をしている。
癖のない黒い髪、スッと通った鼻筋、大きな瞳と長い睫毛。かっこいいより綺麗という方が似合うような、どこか女性的な顔立ちだ。
それに加えて、同じ年とは思えない大人っぽさ。これに関しては、正直羨ましい。ほぼ同じ環境で育っているのに、どうしてこんなにも違うのか。
物心ついたときからほぼ毎日顔を合わせているというのに、飽きることなく何度でも見惚れてしまう。
こんなの、本人にバレたらおしまいだ。
「そろそろ着くよ」
「あれ、もしかして愛弥寝てる?」
「あー、うん。寝てるよ」
「蓮、愛弥くん起こして~」
「はーい」
母さんに頼まれて、愛弥の肩に手を伸ばす。そのまま、小さく揺らして声をかけると、薄く目を開けた。
「もうそろ着くのか?」
「そう。起きて」
彼は眩しそうに眉間に皺を寄せて、パチパチと何度か瞬きを繰り返す。低い車の天井に手をぶつけながら伸びをして、背もたれに預けていた体を起こした。
「おはよ」
「あぁ、はよ……」
彼が目を覚ましてすぐ、車は高校周辺のコインパーキングへと駐車し、皆で降りて高校へと向かった。
桜が満開に咲く、あたたかな出会いの季節。
俺は、今日から高校生になる。
入学式へと向かう車には、二家族分乗っている。子どもだからという理由だけで一番後ろの座席に押し込まれたわけだが、さすがに狭い。
なんでも、入学式なんて駐車場に困るだろうから、同じ学校なら一緒に行こうと母親の間で話がまとまったらしく、幼馴染の藍沢愛弥とその両親も共に車に乗せて向かうことになったのだ。
「もう高校生なんて早いよねぇ」
「そうよね、もうあっという間で……」
学生時代からの友人だという母親たちが談笑する声だけが車内に響いている。
いつまで経っても仲が良い友人がいるなんて、羨ましい限りだ。
「そういえば、蓮くんならもっと頭の良い高校に行けたんじゃないの?」
「そんなことないそんなことない!
それに、なぜかここに進学するって言って聞かなくて……」
「母さん、もうその話いいでしょ!」
思わず、母さんの言葉を遮った。
できるなら、その話は愛弥に聞かれたくないのだ。
愛弥のお母さんの言う通り、本来なら市内で一番偏差値の高い高校に入学できる程度に勉強はできた。しかし、どうしても俺は愛弥と同じ高校に行きたかったのだ。
母さんたちには、勉強漬けになるところじゃなくて、イベントが多くて楽しそうな高校に行きたいとか言ったけど、よく許してもらえたものだ。
共に狭い座席に押し込められた幼馴染の方を見る。どうやら、夢の中のようだ。
相変わらず、綺麗な顔をしている。
癖のない黒い髪、スッと通った鼻筋、大きな瞳と長い睫毛。かっこいいより綺麗という方が似合うような、どこか女性的な顔立ちだ。
それに加えて、同じ年とは思えない大人っぽさ。これに関しては、正直羨ましい。ほぼ同じ環境で育っているのに、どうしてこんなにも違うのか。
物心ついたときからほぼ毎日顔を合わせているというのに、飽きることなく何度でも見惚れてしまう。
こんなの、本人にバレたらおしまいだ。
「そろそろ着くよ」
「あれ、もしかして愛弥寝てる?」
「あー、うん。寝てるよ」
「蓮、愛弥くん起こして~」
「はーい」
母さんに頼まれて、愛弥の肩に手を伸ばす。そのまま、小さく揺らして声をかけると、薄く目を開けた。
「もうそろ着くのか?」
「そう。起きて」
彼は眩しそうに眉間に皺を寄せて、パチパチと何度か瞬きを繰り返す。低い車の天井に手をぶつけながら伸びをして、背もたれに預けていた体を起こした。
「おはよ」
「あぁ、はよ……」
彼が目を覚ましてすぐ、車は高校周辺のコインパーキングへと駐車し、皆で降りて高校へと向かった。
