季節はまた進み、辺りは真っ白な雪に覆われている。
学校に迎えに来たバスへ乗り込む。冬の間だけはバスが出るといった、この町ならではの仕組みだ。
学校にはとっくに慣れ、クラスメイトとも普通に話すようになった。十一月の初めに文化祭があって、そこで一気に距離が縮まった。それまでは、第一印象が最悪だったせいで、一定の距離を置かれていたけれど、文化祭という行事の力は凄かった。帰りは途中まで四、五人の女子と帰るのが当たり前になり、お正月には餅つきにも誘われている。年明けには誕生日会にも誘われていて、なにをプレゼントしようか今から頭を悩ませている。そんな日々を過ごせていることに感謝しながらも、なにをしても心の底からは楽しめないでいる。
バスに揺られ、鞄からスマホを取り出すと、連絡がないか確認した。楓になにかあったらすぐに連絡をすると約束してくれた理沙ちゃん。わたしは毎日、楓が目を覚ましたという連絡が来るのを待っていた。
***
季節は春になり、あぜ道には小さな草花が顔を出し始めた。風が吹くたび春の匂いが鼻をかすめ、桜の木の芽がほんのりと赤く色づいている。先週、病院の窓から見た桜の木は、ここよりもっと蕾が赤く染まり、今にも咲き出しそうに膨らんでいた。わたしは電話の向こうの理沙ちゃんに聞いた。最近では、なにもなくても電話で話すことが増えた。
「そっちは桜咲いた?」
「今日、開花の発表があったよ。明日から気温も上がるみたいだし、ちょうど今週の土曜日辺り満開になるかも」
今週の金曜日はお姉ちゃんの命日の為、土曜日に母親と一緒に電車で帰ることになっている。楓のところにはお墓参りが終わった後に行く予定だ。
「楽しみだな」
お姉ちゃんがいなくなってしまった悲しい季節。でも、だからといって桜を嫌いになったりしない。わたしが生まれた町では、だいたい毎年四月の上旬に桜が満開を迎える。お墓を見守るように静かに佇む満開の桜の下で手を合わせ、今年はお姉ちゃんに話したいことがたくさんある。
学校に迎えに来たバスへ乗り込む。冬の間だけはバスが出るといった、この町ならではの仕組みだ。
学校にはとっくに慣れ、クラスメイトとも普通に話すようになった。十一月の初めに文化祭があって、そこで一気に距離が縮まった。それまでは、第一印象が最悪だったせいで、一定の距離を置かれていたけれど、文化祭という行事の力は凄かった。帰りは途中まで四、五人の女子と帰るのが当たり前になり、お正月には餅つきにも誘われている。年明けには誕生日会にも誘われていて、なにをプレゼントしようか今から頭を悩ませている。そんな日々を過ごせていることに感謝しながらも、なにをしても心の底からは楽しめないでいる。
バスに揺られ、鞄からスマホを取り出すと、連絡がないか確認した。楓になにかあったらすぐに連絡をすると約束してくれた理沙ちゃん。わたしは毎日、楓が目を覚ましたという連絡が来るのを待っていた。
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季節は春になり、あぜ道には小さな草花が顔を出し始めた。風が吹くたび春の匂いが鼻をかすめ、桜の木の芽がほんのりと赤く色づいている。先週、病院の窓から見た桜の木は、ここよりもっと蕾が赤く染まり、今にも咲き出しそうに膨らんでいた。わたしは電話の向こうの理沙ちゃんに聞いた。最近では、なにもなくても電話で話すことが増えた。
「そっちは桜咲いた?」
「今日、開花の発表があったよ。明日から気温も上がるみたいだし、ちょうど今週の土曜日辺り満開になるかも」
今週の金曜日はお姉ちゃんの命日の為、土曜日に母親と一緒に電車で帰ることになっている。楓のところにはお墓参りが終わった後に行く予定だ。
「楽しみだな」
お姉ちゃんがいなくなってしまった悲しい季節。でも、だからといって桜を嫌いになったりしない。わたしが生まれた町では、だいたい毎年四月の上旬に桜が満開を迎える。お墓を見守るように静かに佇む満開の桜の下で手を合わせ、今年はお姉ちゃんに話したいことがたくさんある。

