四季を巡って、恋し愛する僕たちは

「京翔、ご飯食べよ」
「おー。今日どこ行く?」
「天気もいいし、屋上か中庭かな〜」
「んー、じゃあ……」
「お兄ちゃ〜ん!ねえねえ!映画のポスターできたの、見て〜!!」
「へーへー……うるせーなお前」

昼食に誘いに来た畠本と、まだコンクールの準備で忙しい京羽が、志田のもとにやって来る。
いつも通りの日常に戻ったはずなのに、この顔ぶれを見ていると、まだ撮影をしているような感覚になる。

「志田〜、いるか〜?」
「ん?赤崎…?なんか用かよ」
「そうそう。お前に用があって…ってお前らホントに仲良いのな。一緒にいない時ってないの?」
「…京翔とはずっと一緒だよ。ね?京翔」
「え……?おう?」
「志田く〜ん。あ、なんで畠本くんと赤崎くんもいるの?」
「いちゃ悪いかよ」
「う〜ん……いない方がよかったかなぁ」
「な…なんだよ深見………ん?長瀬?」
「え?…お、ホントだ。どうしたんだよ、2年の教室まで来て」
「別に……。志田先ぱ…京翔先輩にちょっと」

志田を訪ねて、いつものメンバーが次々と集まってきた。
志田はなぜか、3人から取り囲まれているような状況になる。

「えー?みんな、なになに?もう撮影じゃないんだよー?」
「いやー、そうなんだよな。もうあの映画は関係ないんだよな〜。でも……なんかな〜」
「え〜?赤崎くんもなの?それはないよ〜…」
「は?深見も…?勘弁しろよ……え、長瀬は?」
「…………」
「え〜っ!!?長瀬くんは1番関係ないでしょ〜?!」
「は?…俺だって関係してていいだろ…」
「マジかよ…。じゃあ三つども…いや、四つ巴か……。結局そうなんのか〜」

勝手に話を進める3人に、志田はさっぱりついていけなかった。
だが、なんだか良くないことが起こる。
そんな雰囲気だけは察していた。

「な、なあ……なんの話してんの?」
「……まあ、単刀直入に言うと!俺ら、お前のことガチで気になりだしてるってこと」
「「……え?」」
「…………はぁ」

志田兄妹の困惑の声がピッタリ重なった。
その横で畠本は冷ややかな目をして、小さなため息を零した。

「は……え?じょ、冗談だろ…?」
「これが冗談に見えるか〜?」
「なんか志田くんのこと、独り占めしたくなっちゃったんだよね〜」
「俺は京翔先輩と、もう少し…遊んでみたいと思っただけです……」
「え……えぇ〜……??」
「な〜志田、いいだろ?なんならここで、誰がいいのかハッキリ決めるか?」
「いいね〜。本当のハッピーエンドは何なのか、ってことだね〜。……志田くん、僕だけの神さまになってほしいな」
「は?それアリ?…………先輩っ、俺が1番かわいいですよね?夏だけじゃなくて、年中俺と一緒にいてくださいっ」
「あっ、ずりぃぞ長瀬。ホントに志田は後輩に弱いんだから」

3人は各々好き勝手喋り、もはや志田すらも置き去りにしていた。
しかし、1番驚いていたのは、この作品の作者である京羽だった。
こんなことになるなんて…と取り囲まれる兄を見て、冷や汗をかいた。

「…………京羽ちゃん」
「はッ、はいッ…!」
「……こんなことになるなんて、聞いてないけど?」
「あ……あは、えっとぉ……」

こういう詰めの甘さと、焦った時の表情は本当に兄にそっくりだと、畠本は呆れながら感心した。

畠本の恋は無事に実るのか。

京羽監督による次回作に乞うご期待、なんて。