四季を巡って、恋し愛する僕たちは

「んじゃ〜帰るか」
「詠瀬くん、僕らは生徒会室に戻ろうか」
「はい」
「京翔、僕らも帰ろう。…………京翔?」

屋上をあとにしようとする4人だが、志雫はその場から動こうとしなかった。
顔を上げ、志雫は大きな深呼吸を1つした。

「……流李ッッ!!!!」
「ッ!!?」

大きな声で羽田本の名前を呼ぶ志雫に、他の3人も驚いて足を止めた。
羽田本は目を丸くして、パチパチと瞬きを繰り返した。
そのまま志雫は、無言でズカズカと羽田本の目の前までやってきて、持っていた花束を差し出した。

「流李ッ!好きだ!!!」
「………………えっ?」
「「「え?」」」

思いがけないその言葉に、関係ない3人も声が出てしまった。

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「き、京翔…?え?」

志雫の言葉に、羽田本は驚くことしかできなかった。
先程振られた想い人から、今度はなぜか告白されている。
真剣な表情から、志雫がふざけていないことは確かであることを感じ取った。

「この1年、いろんなことがあって、やっぱお前のことを1番大事にしたいって思った。……全員振ったのは、お前だけに向き合うために、ケジメを付けたかったからだ。……お前に決めてほしい。俺は、お前に選ばれるようなやつかどうか…!」

あぁ、そうだ…京翔はこういうやつだった、と羽田本は思った。
みんなに優しくて、優しすぎて嫉妬でイラつくくらい。
……でも最後には、いつも自分のことを選んでくれることに。

羽田本は、気付けば涙を零していた。
この気持ちが届くまで、長かったようにも、あっという間だったようにも感じた。
それでも諦めなかったことも、勇気を出して想いを伝えたことも、無意味ではなかったからだ。

「……京翔、僕も京翔が好きだよ」

花束を受け取りながら、羽田本は自分の方へ志雫を引き寄せ、強く抱き締めた。

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「……なぁんだそれ。一枚やられたなぁ〜」
「僕らは当て馬だったわけだね」
「…………え!?完全に振られたってことですか!!?ちょっと先輩、どういうこ…もががっ」
「行くな行くな、お前は空気読めるようになれ」

朱崎は、駆け寄ろうとする詠瀬を止め、嬉しそうに笑い合う2人を見守った。

「……朱崎くん」
「俺らはお邪魔だな。帰ろうぜ」
「むぐぅ〜ッ」

口元を抑えされた詠瀬を連れて、朱崎は屋上から去っていった。

「…あっさり引くんだね。1番ネチネチしてそうなのに」
「かわいい後輩が勇気出してんだ。見守ってやるのが、先輩の役目だろ?」
「はぁ〜……そういうことにしてあげようか」
「俺が1番年下ですよ!!?」
「そういうことじゃねーよ。そもそも、俺らと羽田本じゃ、積み重なったモンが違うんだ。……まぁでも、“今回は”諦めてやるよ」

深都は、朱崎のその目を知っている。
つられて、深都も不敵に微笑んだ。

「全く……負けず嫌いはお互い様かな」
「じゃあ来年は俺かもしれないってことですね。もっと先輩が目を離せなくなるようにならないと…!」

もうすぐ次の春がやってくる。
四季を巡って、彼らが恋し、愛する物語は、これからも続きそうだ。