四季を巡って、恋し愛する僕たちは

「夜はまだ寒ぃな」
「昼はあんなにあったかくなったのにね。風邪引かないようにしないと」

すっかり外は暗くなってしまい、2人は真っ直ぐ自宅を目指す。
体に受ける風は、少し前までいた冬の存在を思い出させるかのように冷たかった。

「今日のアレで学校行くのダリぃ〜……。なぁ、明日も一緒に……あ」
「ごめん。明日塾の日」
「そうだったわ〜……。今年から増やしたって言ってたな」

頼りの羽田本に縋れないことに、志雫はため息をついた。
高校2年生にもなれば、早い者はすでに次のステップについて考えている。
羽田本もその1人で、大学受験に向け、一足早く動き出していることを志雫も知っていた。

「お前、大学決めてるんだっけ?」
「まだ候補挙げてるくらいだけど、行くことは決定…って感じかな」
「お前ん家(ち)はそうだよなー。もう受験のこと考えねぇといけねぇとか嫌すぎるだろ」
「京翔は……結局どうするの?」
「ん〜〜……まだ分かんね。でも…」

志雫はふいに歩みを止め、羽田本の顔をしっかり見たあと、めいいっぱいの笑顔で続けた。

「流李とは、ずっとこうやって話したり遊んだりしてぇなって思ってる!」

ドクッと、羽田本の心臓が大きく鳴った。
そんな羽田本の心境も知らず、志雫は再び歩き出しながら、1人話し続けた。

「あーでも、大学生って結構忙しそうだよな。仮に俺が大学行かず就職するにして…もしかしてあんまり時間合わねぇのか…?あ゛〜ン、そしたら俺も大学行った方がいいのか……?でも俺、勉強ダメだしなぁ〜。まぁでも!流李と一緒に勉強すればいいか!テストのときもいっつも流李大先生に助けてもら……」
「京翔ッ!!」
「ッ……!?」

羽田本の大きな声が背後から飛んできた。
驚いて振り返ると、先程足を止めた場所から、羽田本は1歩も動いていないようだった。
突然大声を出されたことに唖然としていると、真剣な表情の羽田本が志雫に近付いてくる。

「る、流李……?」
「…………」

羽田本が志雫の前に立つ。

「僕、京翔のことが好き」