四季を巡って、恋し愛する僕たちは

「てか、会長おもしろいこと言いますね。光だ〜とかなんとか」
「雪那岐でいいよ。…昔読んだ本がすごく好きでね。そこの本棚に入ってるんだけど…」

深都が指を差す本棚から、志雫は紫色の分厚い本を引っ張り出した。
本のタイトルは『神さまの本』、下の方には明らかに怪しそうな宗教団体の名前が印字されていた。
触れてはいけない物だと確信し、志雫は笑顔は崩さなかったが、目からは光を失った。

「とてもいい本でね。この世界にある物は、全て神さまがお創りになられた綺麗な物なんだって。特に、花や草木、水や空気の自然は、神さまそのものだと言われていて、僕ら人間は、常に神さまと共に過ごし、神さまの中で生きているんだ。だから、自然を破壊することは、神さまを殺すことにつながるんだよ。その本の805ページに、作者が想像で描いた神さまの絵があるんだけど、それがとても君に似ているんだ」

ベッドの中で目を輝かせながらマシンガントークを始める深都。
志雫は『自然は神さま』というあたりからよく分からなくなってしまい、意識は宇宙へ飛んでしまった。
志雫は無意識に805ページを開いた。
そこには、美術が分からないタイプの人間が『俺でも描けそう笑』と言ってしまうような、ギリギリ人型のなにかの絵が載っていた。

「すっごく綺麗でしょ?性別は明記されていないんだけど、僕は男性に近いのかなって思ってるんだ…!それを見てから僕、女の人はあまり興味がなくて。学校で君の姿を見た時、『神さまがいる?!』ってすごく興奮したんだよ。……きっと君は、神さまに認められた存在なんだろうね。心優しくて、光のように眩しくて……君と僕が出会えたのは、奇跡であり運命なんだよ」
「は〜〜〜〜……そうですか……。雪那岐先輩のご家族も…神さま、をご崇拝されてて…?」
「ううん。それが全く僕の話を聞いてくれなくて。でも神さまは寛大なお方だから、そんな人間がいることもお許ししてくださるんだ。素晴らしい心の広さだよね…」

家族の反応はごもっともだろうと、志雫は心の中でツッコんだ。
なんとなく、深都に友達ができない理由が分かった気がした。
それでも続けて、楽しそうに『神さま』の話をする深都を見て、深く考えることをやめた。

気付けば、空からちらちらと雪が降っている。
深都の話をなんとなく聞きながら、『これも神さまの一部なのかな…』と、美しいはずの景色を遠い目をして眺めた。
もう何日もすれば寒さが一段とキツくなる、そんな予感がした。