「じゃーん、すごいでしょ?元々は図書室だったんだ」
深都に連れてこられた教室の表札には、掠れた文字で確かに図書室と書かれていた。
しかし、中は本棚の多い自室のような空間になっており、生活感が滲み出ていた。
「本棚はほとんどそのままにして、机とか椅子は他の教室にあった物をDIYで新しくしてみたんだ」
「…これ全部、会長1人で?」
「そうだよ。この夏休みで、ようやくここまで完成したんだ」
「すげぇ〜……」
確かにここは、秘密基地と呼ぶに相応しい場所だった。
完成度の高さに、志雫は純粋に感心していた。
「よく居るんですか?ここに」
「たまにね。今日みたいな休み時間とか、放課後とか。休日も、家にいるのが退屈になったら来ることもあるよ」
「へぇ〜、いいですね。でも、もうこれ以上は何も置かなくていいくらいに整っているように見えますけど…」
「うん、ここはね。…僕が今作っているのは、屋上の方なんだ」
「屋上…?」
___
ひたすら薄暗い階段を上る。
深都が錆び付いて甲高い音を出す扉を開けると、この古びた旧校舎には合わない、真っ白なコンクリートの屋上に辿り着いた。
その真ん中には、まだ何も咲いていない1つの大きな花壇が、屋上のほとんどを埋めつくしていた。
「すごいでしょ」
「この花壇も…会長が作ったんですか?」
「ううん。これは元々あったんだ。少し修繕はしたけどね」
志雫は、花壇の前にしゃがみ込む深都の隣に、同じように座った。
その花壇は雑草1つなにも生えておらず、綺麗に土が敷き詰められていた。
「この学校の創設者が、自然好きの人だったんだって。この花壇は、まだここが校舎として使われていた頃、生徒会の人たちが作って、季節ごとのいろんな花を植えていたんだ」
まるで、自分の思い出のように深都は楽しそうに語り始めた。
柔らかい青空の背景に、優しい陽だまりの自然光。
ここまで大きな花壇が一面、色とりどりの花で埋まったら、どんなに壮大な景色だろうか。
「…僕ね、ここを昔のような綺麗な花壇に戻したいんだ。…できれば、そんな綺麗な伝統を、またこの学校に戻したい」
「………」
「……まぁ、恥ずかしくて、他の生徒会メンバーにも言えてないんだけどね。だから僕だけでずっと、生徒会に入った時からやってるんだけど……こんなに時間がかかっちゃった…。あ!そうだ!!」
「…ッ?」
「志雫くん、せっかくここまで来てくれたんだし、僕を手伝ってくれないかな?ねッ、いいでしょ?僕の秘密基地に案内してあげたんだから、それくらいしてくれてもいいんじゃないかな?」
「え……あ、あぁ……はい」
「ほんとっ?!ありがとう、志雫くん!」
深都の少し引っかかる言い方と止まらない勢いに、志雫は押されっぱなしになる。
なんとなくした返事を受け、深都は無邪気な笑顔で志雫の手を取り喜んだ。
「良かったー。ここで君が『うん』って言ってくれなかったら、規則違反で罰しないといけないところだったよ」
「……えッ??」
なんだか不穏な言葉が聞こえ、思わず志雫は目を丸くした。
「だってここ、立ち入り禁止区域だもん。志雫くん、堂々と入っちゃってるし」
「え………それは、深都会長も……」
「僕はいいの。生徒会長の権限だから」
続けて深都は、『生徒会長って便利でしょー』とにこやかに話した。
堂々とした権力の濫用に、志雫は驚きが隠せない。
屋上を通る少し強い風が、先程までほっこり温まっていた心を冷ましていくような感覚だった。
深都に連れてこられた教室の表札には、掠れた文字で確かに図書室と書かれていた。
しかし、中は本棚の多い自室のような空間になっており、生活感が滲み出ていた。
「本棚はほとんどそのままにして、机とか椅子は他の教室にあった物をDIYで新しくしてみたんだ」
「…これ全部、会長1人で?」
「そうだよ。この夏休みで、ようやくここまで完成したんだ」
「すげぇ〜……」
確かにここは、秘密基地と呼ぶに相応しい場所だった。
完成度の高さに、志雫は純粋に感心していた。
「よく居るんですか?ここに」
「たまにね。今日みたいな休み時間とか、放課後とか。休日も、家にいるのが退屈になったら来ることもあるよ」
「へぇ〜、いいですね。でも、もうこれ以上は何も置かなくていいくらいに整っているように見えますけど…」
「うん、ここはね。…僕が今作っているのは、屋上の方なんだ」
「屋上…?」
___
ひたすら薄暗い階段を上る。
深都が錆び付いて甲高い音を出す扉を開けると、この古びた旧校舎には合わない、真っ白なコンクリートの屋上に辿り着いた。
その真ん中には、まだ何も咲いていない1つの大きな花壇が、屋上のほとんどを埋めつくしていた。
「すごいでしょ」
「この花壇も…会長が作ったんですか?」
「ううん。これは元々あったんだ。少し修繕はしたけどね」
志雫は、花壇の前にしゃがみ込む深都の隣に、同じように座った。
その花壇は雑草1つなにも生えておらず、綺麗に土が敷き詰められていた。
「この学校の創設者が、自然好きの人だったんだって。この花壇は、まだここが校舎として使われていた頃、生徒会の人たちが作って、季節ごとのいろんな花を植えていたんだ」
まるで、自分の思い出のように深都は楽しそうに語り始めた。
柔らかい青空の背景に、優しい陽だまりの自然光。
ここまで大きな花壇が一面、色とりどりの花で埋まったら、どんなに壮大な景色だろうか。
「…僕ね、ここを昔のような綺麗な花壇に戻したいんだ。…できれば、そんな綺麗な伝統を、またこの学校に戻したい」
「………」
「……まぁ、恥ずかしくて、他の生徒会メンバーにも言えてないんだけどね。だから僕だけでずっと、生徒会に入った時からやってるんだけど……こんなに時間がかかっちゃった…。あ!そうだ!!」
「…ッ?」
「志雫くん、せっかくここまで来てくれたんだし、僕を手伝ってくれないかな?ねッ、いいでしょ?僕の秘密基地に案内してあげたんだから、それくらいしてくれてもいいんじゃないかな?」
「え……あ、あぁ……はい」
「ほんとっ?!ありがとう、志雫くん!」
深都の少し引っかかる言い方と止まらない勢いに、志雫は押されっぱなしになる。
なんとなくした返事を受け、深都は無邪気な笑顔で志雫の手を取り喜んだ。
「良かったー。ここで君が『うん』って言ってくれなかったら、規則違反で罰しないといけないところだったよ」
「……えッ??」
なんだか不穏な言葉が聞こえ、思わず志雫は目を丸くした。
「だってここ、立ち入り禁止区域だもん。志雫くん、堂々と入っちゃってるし」
「え………それは、深都会長も……」
「僕はいいの。生徒会長の権限だから」
続けて深都は、『生徒会長って便利でしょー』とにこやかに話した。
堂々とした権力の濫用に、志雫は驚きが隠せない。
屋上を通る少し強い風が、先程までほっこり温まっていた心を冷ましていくような感覚だった。
