そっと教室の窓を覗くが、長年こびりついた汚れで中は全く見えなかった。
仕方なく、志雫はそっとドアを開けた。
教室だと思っていた部屋は物置で、奥には明らかに使い物にならない木製の棚、その付近にダンボールや椅子が無造作に床に落ちている。
おそらく、このタイミングで棚が壊れ、置いてあった荷物が雪崩のように落ちてきたのだろう。
「…なんだ、誰もいねぇじゃん」
志雫が部屋に足を踏み入れた瞬間、床に落ちた荷物から何かがゴソゴソと動き出した。
「ぎゃーッッ!!!!なにぃぃぃッッッ!!??」
ゆらぁっと立ち上がったのは、志雫と同じ制服を身に着け、頭がダンボールになった人型のなにか。
尻もちをついてしまった志雫に向かって、ふらふらとした足取りで近付いてくる。
「まってッ、え、えっ…やだぁぁッ!!」
「……志雫くん?」
「………えっ?」
なぜか自分の名前を知っているその生き物。
どこかで聞いたことがある声のような気もした。
その生き物はゆっくりと頭のダンボールを取ると、雪のように白い肌の中性的な人物が現れた。
「深都会長ッ!?」
「あぁ、やっぱり。君に似た声だなと思ったんだ。……くしゅッ」
小汚いダンボールから現れたのは、生徒会長の深都。
どこか儚い笑顔を見せたあと、顔にかかった埃を払うと、小さいくしゃみをした。
「うわぁ、大惨事。ずっと掃除されてなかったから埃もすごいね」
「な、何してるんですか…?」
「たまに来るんだ。オバケがいるなんて噂が立ってるせいか、誰も来ないから。1人になりたい時にはちょうど良くて」
自分と同じことを考えるのだということに、志雫は少し親近感が湧いた。
「なにか使えるものがないか漁っていたら、隣から人の声が聞こえてビックリしてね。椅子から転げ落ちて、このあり様だよ。まさか志雫くんだったとは」
「え、あ…すみません…。俺のせいで…」
「いいんだ。勝手に驚いたのは僕なんだから。でも……ふふふっ、すごく怖がってる声がしたけど…オバケ、怖いんだ?」
同じ人間、ましてや男とは思えないほど、綺麗な笑顔。
まじまじと深都の顔を見たのは初めてで、志雫は思わず見つめてしまった。
「志雫くん?…志雫くんは、ここで何してるのかな?」
「えっ、あぁ…。ちょっと考え事を……。深都会長こそ、ここで何を?探してる…って言いましたっけ?」
深都は志雫に聞きながら、床に落ちた荷物を漁り始めた。
物を動かすたびに埃が舞い上がり、志雫の方まで埃臭さが漂ってくる。
「うん。実は僕ね…」
深都は荷物を漁る手を止め、再び志雫へ近付くと、志雫の耳元でコソッと喋った。
「この旧校舎に、秘密基地を作ってるんだ」
「……え?」
「ふふっ♪こういう倉庫に、意外とまだ使える物があってね。今日はそれを物色してたんだ。……あ。この話、秘密にしてね?」
深都は人差し指を口元に当て、困ったように、けれどどこか楽しそうに笑った。
その姿は、冷静沈着で凛としたいつもの雰囲気とは真逆。
むしろ、どこか子どもっぽさを感じた。
「あ!見ていく?僕の秘密基地」
仕方なく、志雫はそっとドアを開けた。
教室だと思っていた部屋は物置で、奥には明らかに使い物にならない木製の棚、その付近にダンボールや椅子が無造作に床に落ちている。
おそらく、このタイミングで棚が壊れ、置いてあった荷物が雪崩のように落ちてきたのだろう。
「…なんだ、誰もいねぇじゃん」
志雫が部屋に足を踏み入れた瞬間、床に落ちた荷物から何かがゴソゴソと動き出した。
「ぎゃーッッ!!!!なにぃぃぃッッッ!!??」
ゆらぁっと立ち上がったのは、志雫と同じ制服を身に着け、頭がダンボールになった人型のなにか。
尻もちをついてしまった志雫に向かって、ふらふらとした足取りで近付いてくる。
「まってッ、え、えっ…やだぁぁッ!!」
「……志雫くん?」
「………えっ?」
なぜか自分の名前を知っているその生き物。
どこかで聞いたことがある声のような気もした。
その生き物はゆっくりと頭のダンボールを取ると、雪のように白い肌の中性的な人物が現れた。
「深都会長ッ!?」
「あぁ、やっぱり。君に似た声だなと思ったんだ。……くしゅッ」
小汚いダンボールから現れたのは、生徒会長の深都。
どこか儚い笑顔を見せたあと、顔にかかった埃を払うと、小さいくしゃみをした。
「うわぁ、大惨事。ずっと掃除されてなかったから埃もすごいね」
「な、何してるんですか…?」
「たまに来るんだ。オバケがいるなんて噂が立ってるせいか、誰も来ないから。1人になりたい時にはちょうど良くて」
自分と同じことを考えるのだということに、志雫は少し親近感が湧いた。
「なにか使えるものがないか漁っていたら、隣から人の声が聞こえてビックリしてね。椅子から転げ落ちて、このあり様だよ。まさか志雫くんだったとは」
「え、あ…すみません…。俺のせいで…」
「いいんだ。勝手に驚いたのは僕なんだから。でも……ふふふっ、すごく怖がってる声がしたけど…オバケ、怖いんだ?」
同じ人間、ましてや男とは思えないほど、綺麗な笑顔。
まじまじと深都の顔を見たのは初めてで、志雫は思わず見つめてしまった。
「志雫くん?…志雫くんは、ここで何してるのかな?」
「えっ、あぁ…。ちょっと考え事を……。深都会長こそ、ここで何を?探してる…って言いましたっけ?」
深都は志雫に聞きながら、床に落ちた荷物を漁り始めた。
物を動かすたびに埃が舞い上がり、志雫の方まで埃臭さが漂ってくる。
「うん。実は僕ね…」
深都は荷物を漁る手を止め、再び志雫へ近付くと、志雫の耳元でコソッと喋った。
「この旧校舎に、秘密基地を作ってるんだ」
「……え?」
「ふふっ♪こういう倉庫に、意外とまだ使える物があってね。今日はそれを物色してたんだ。……あ。この話、秘密にしてね?」
深都は人差し指を口元に当て、困ったように、けれどどこか楽しそうに笑った。
その姿は、冷静沈着で凛としたいつもの雰囲気とは真逆。
むしろ、どこか子どもっぽさを感じた。
「あ!見ていく?僕の秘密基地」
