「……てか、良かったんですか?俺、レギュラーに入れなかったから、先輩とは付き合えないですけど…」
「あー、それな。まぁいいんじゃないか?今回はそれで」
「えぇ〜……?」
案外あっさりと諦めようとする朱崎に、拍子抜けしてしまった。
「ちょっとお前の遊びに付き合ってみた、それだけだ」
「……じゃあ、俺のこともおちょくってただけ……?」
「………」
まだ拗ねている志雫は、わざとらしく子犬のような目で朱崎に訴えかけた。
目が合った一瞬、爽やかな笑顔から光が消えたように見えた。
「……ま!そういうことにしとくか!」
「えぇ〜……」
「じゃあ俺はもう帰るから!はぁ〜、長かった部活生活もホントに最後か〜。しばらく暇になるなぁ…」
「……ッ先輩!」
「…?なんだ?」
その場から離れようとする朱崎を引き止めた。
「…………俺、部活は続けます。そこんとこの義理くらいは、最後まで通させてください」
「……やっぱお前、好きだわ」
去り際に見せた朱崎の笑顔は、今までで1番嬉しそうだった。
___
「え…?結局京翔、補欠のままなの…?」
「そーそー。マジで、あの熱くなった時間なんだったんだよ〜」
「で、部活は続けるって言ったんだ」
「うん。先輩いなくなったし、レギュラーにもなれなかったので辞めました〜なんて、なんかかっこ悪いだろ?」
「……そうだね。京翔らしいや」
朝の通学路を歩く、志雫と羽田本。
以前のような生活が戻ってきたようで、2人はそれぞれに安心感を持っていた。
「でも、朝練は行かないんだ?」
「行かねーよ、めんどくせぇ。ガチで野球好きなやつだけ頑張ってりゃいいんだよ」
「京翔、ほぼ無理やり入らされたもんね〜」
「なんなんだろうな〜…。あの人の、あの変に安心感のある笑顔は……」
2人の脳裏に、全く同じ笑顔をした朱崎が思い浮かんだ。
___
「……こぉら。なにさっそくサボってんだよ」
「…ッ朱崎先輩!?」
「昨日の誓いはなんだったんだよ〜。俺を熱くさせておいて、ヒドイぜ志雫〜?」
「……べ、別にいいでしょ。そもそも、俺がいなくても、補欠のやることなんて十分回ってたし」
「確かにな!いや〜、俺らがいる間にマネージャー入れたかったんだけどな〜…って、また話が逸れたな」
「……なんかあるんスか?」
志雫と目が合った朱崎は、秋空みたいな清々しい笑顔を見せた。
けれど志雫は、その笑顔は、裏に秘めたものがあることを知っている。
「うんッ!やっぱ、お前を俺のモンにしたくて、正式に告りに来た!今度は部活、関係無しで!」
「……え?……えッ??」
「は?」
靴を履き替えた羽田本もちょうど居合わせ、なんだか以前にも同じような状況になったことを、志雫は思い出した。
「お前やっぱかわい〜なぁ。ホントは俺に構ってほしかったんだろ〜?じゃなきゃ、あんなこと言えないよな〜」
「……京翔、なに言ったの?」
「え、な…なにも……」
「え〜〜ッ!!?昨日、あんなかわいい顔して、『俺のことおちょくってたんですか?』って言っただろ〜!?」
「そんなこと言ったの……?」
「言ッ……た、けど……。そ、そんなッ…かわいい顔なんかしてな、」
「あれは唆られたわ〜。……あれがあの夜だったら、間違いなく手ェ出てた」
「ひっ………!」
獲物を捕らえようとする肉食獣のような瞳に見下ろされ、志雫は思わず、か弱い声を出した。
「ちょっと待ってください。選ぶのは京翔ですよ」
「それはお前も同じだろ?めんどくせぇけど、相手がいる方が試合は面白いからな。……こればっかりは、後輩だろうと譲れないな」
「こっちこそ……」
朱崎と羽田本のぶつかる視線は、火花どころか、天変地異が起こりそうな恐ろしさだった。
「えっ…け、喧嘩すんのか?!やめろよ!!?」
「せんぱぁぁい、おはようございまぁぁぁす!!!」
少し離れた所から、またしても何も知らない詠瀬が駆け寄ってくる。
「ほら、ワンコが好きならアレとかどうです?」
「ありゃダメだ。あれは首輪付けても、付けられてるって理解できないタイプだからかわいくない」
「なんの話ですか!」
朝から騒がしい周りに、志雫は大きなため息をついた。
外から入り込む風の冷たさが体を冷やす。
次の季節とともに、志雫の決断の時も近付いてくる…。
「あー、それな。まぁいいんじゃないか?今回はそれで」
「えぇ〜……?」
案外あっさりと諦めようとする朱崎に、拍子抜けしてしまった。
「ちょっとお前の遊びに付き合ってみた、それだけだ」
「……じゃあ、俺のこともおちょくってただけ……?」
「………」
まだ拗ねている志雫は、わざとらしく子犬のような目で朱崎に訴えかけた。
目が合った一瞬、爽やかな笑顔から光が消えたように見えた。
「……ま!そういうことにしとくか!」
「えぇ〜……」
「じゃあ俺はもう帰るから!はぁ〜、長かった部活生活もホントに最後か〜。しばらく暇になるなぁ…」
「……ッ先輩!」
「…?なんだ?」
その場から離れようとする朱崎を引き止めた。
「…………俺、部活は続けます。そこんとこの義理くらいは、最後まで通させてください」
「……やっぱお前、好きだわ」
去り際に見せた朱崎の笑顔は、今までで1番嬉しそうだった。
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「え…?結局京翔、補欠のままなの…?」
「そーそー。マジで、あの熱くなった時間なんだったんだよ〜」
「で、部活は続けるって言ったんだ」
「うん。先輩いなくなったし、レギュラーにもなれなかったので辞めました〜なんて、なんかかっこ悪いだろ?」
「……そうだね。京翔らしいや」
朝の通学路を歩く、志雫と羽田本。
以前のような生活が戻ってきたようで、2人はそれぞれに安心感を持っていた。
「でも、朝練は行かないんだ?」
「行かねーよ、めんどくせぇ。ガチで野球好きなやつだけ頑張ってりゃいいんだよ」
「京翔、ほぼ無理やり入らされたもんね〜」
「なんなんだろうな〜…。あの人の、あの変に安心感のある笑顔は……」
2人の脳裏に、全く同じ笑顔をした朱崎が思い浮かんだ。
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「……こぉら。なにさっそくサボってんだよ」
「…ッ朱崎先輩!?」
「昨日の誓いはなんだったんだよ〜。俺を熱くさせておいて、ヒドイぜ志雫〜?」
「……べ、別にいいでしょ。そもそも、俺がいなくても、補欠のやることなんて十分回ってたし」
「確かにな!いや〜、俺らがいる間にマネージャー入れたかったんだけどな〜…って、また話が逸れたな」
「……なんかあるんスか?」
志雫と目が合った朱崎は、秋空みたいな清々しい笑顔を見せた。
けれど志雫は、その笑顔は、裏に秘めたものがあることを知っている。
「うんッ!やっぱ、お前を俺のモンにしたくて、正式に告りに来た!今度は部活、関係無しで!」
「……え?……えッ??」
「は?」
靴を履き替えた羽田本もちょうど居合わせ、なんだか以前にも同じような状況になったことを、志雫は思い出した。
「お前やっぱかわい〜なぁ。ホントは俺に構ってほしかったんだろ〜?じゃなきゃ、あんなこと言えないよな〜」
「……京翔、なに言ったの?」
「え、な…なにも……」
「え〜〜ッ!!?昨日、あんなかわいい顔して、『俺のことおちょくってたんですか?』って言っただろ〜!?」
「そんなこと言ったの……?」
「言ッ……た、けど……。そ、そんなッ…かわいい顔なんかしてな、」
「あれは唆られたわ〜。……あれがあの夜だったら、間違いなく手ェ出てた」
「ひっ………!」
獲物を捕らえようとする肉食獣のような瞳に見下ろされ、志雫は思わず、か弱い声を出した。
「ちょっと待ってください。選ぶのは京翔ですよ」
「それはお前も同じだろ?めんどくせぇけど、相手がいる方が試合は面白いからな。……こればっかりは、後輩だろうと譲れないな」
「こっちこそ……」
朱崎と羽田本のぶつかる視線は、火花どころか、天変地異が起こりそうな恐ろしさだった。
「えっ…け、喧嘩すんのか?!やめろよ!!?」
「せんぱぁぁい、おはようございまぁぁぁす!!!」
少し離れた所から、またしても何も知らない詠瀬が駆け寄ってくる。
「ほら、ワンコが好きならアレとかどうです?」
「ありゃダメだ。あれは首輪付けても、付けられてるって理解できないタイプだからかわいくない」
「なんの話ですか!」
朝から騒がしい周りに、志雫は大きなため息をついた。
外から入り込む風の冷たさが体を冷やす。
次の季節とともに、志雫の決断の時も近付いてくる…。
