「え〜、以上が新レギュラーメンバーだ!今日からは次の練習試合に向けて、各々取り組んでくれ。他のやつは引き続き、自分磨きに励むように!」
オーディション後、最初の部活。
新レギュラーメンバーの発表のため、練習前に部員たちは集められた。
名前を呼ばれホッとする者、納得できていない表情の者。
今ここに、様々な感情が渦巻いている。
「まぁ、今回の結果はどうであれ、大事なのはこれからだ!頑張り次第でいくらでもメンバーなんて変えられるんだからな〜。自分の運命を変えるのは自分次第!努力次第だ!!お、今めっちゃいいこと言った?」
「うるせぇよ朱崎、ありきたりだわ」
「アツいのキモすぎて鳥肌立ちそう」
「なんでそんなこと言うんだよー!」
いつもと変わらずな朱崎と、それを煙たがる他の3年たちのやり取りは、急に今までの部活での日常を思い出させる。
___
「志〜雫ッ!」
「……うおっ。…先輩、まだいたんスか?」
「なんだよー、俺がいちゃダメなのかよ〜。はぁぁ〜、嫁に嫌われる姑の気持ちだわ…」
「娘にキモがられる父親とかじゃなくて…?」
「あ、そっちの方がなんかいいな。って、そうじゃなくて!」
朱崎は満面の笑みで、志雫の肩に手を置いた。
「お前、残念だったなー!!いや〜、頑張りは認めてるんだけどな?なんか、うん。お前普通!普通だったんだよ!!はははははッ!」
志雫の結果は、補欠残留。
朱崎の言う通り、志雫の成績は良くも悪くも目立たない、普通のド真ん中だった。
「でも極めつけは、あの最後!お前なにボーッとしてんだよ!!あっははは!!思い出したら腹がよじれそう……。俺の方見て真ん前を素通りしていくボール……くははっ、お前マジで面白いわ〜!」
朱崎は薄ら涙を浮かべながら、志雫の背中をバンバン叩き、腹を抱えて笑った。
最後に行われたバッティングの項目。
一本勝負の大事な場面だったはずなのに、審査席の朱崎を横目で見ていたせいで、投げられたボールに気付かず、呆気ない結果に終わった。
何が起こったのか分からなかった志雫は、しばらくバッターボックスに呆然と立ち、朱崎は大声で爆笑し、しばらくツボから抜け出せなかった。
「悪かったっスねぇ〜……。あんなに練習付き合ってもらったのに、顔に泥塗って…!」
「あははっ、拗ねるなよ〜。てか、たぶんあそこで打ってても、お前は補欠のままだったと思うぞ?」
「え……?」
「だってお前、練習の時から普通だったもん。やっぱダメだったな!ほら〜、言ったろ?『お前は大丈夫だ』って」
もちろん志雫は覚えている。
オーディション前に、志雫に勇気をくれた朱崎の言葉。
「……ッ!先輩ッ、俺がどっちにしろ補欠なの分かってて…!」
「…まあまあ!可哀想にと思って、俺も結構アピールしたんだぞ〜?でも、さすがにここは公平にいかないとな。あくまで部活であって、俺の好みは二の次だ」
「俺の熱くなった気持ちを返してくださいよぉ!!」
ここにきて、ようやく悔しさが込み上げてくる。
どちらかというと、結局朱崎に振り回されていたことに気付かなかった、自分の鈍感さからくる惨めな気持ちの方が、きっと大きいだろう。
オーディション後、最初の部活。
新レギュラーメンバーの発表のため、練習前に部員たちは集められた。
名前を呼ばれホッとする者、納得できていない表情の者。
今ここに、様々な感情が渦巻いている。
「まぁ、今回の結果はどうであれ、大事なのはこれからだ!頑張り次第でいくらでもメンバーなんて変えられるんだからな〜。自分の運命を変えるのは自分次第!努力次第だ!!お、今めっちゃいいこと言った?」
「うるせぇよ朱崎、ありきたりだわ」
「アツいのキモすぎて鳥肌立ちそう」
「なんでそんなこと言うんだよー!」
いつもと変わらずな朱崎と、それを煙たがる他の3年たちのやり取りは、急に今までの部活での日常を思い出させる。
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「志〜雫ッ!」
「……うおっ。…先輩、まだいたんスか?」
「なんだよー、俺がいちゃダメなのかよ〜。はぁぁ〜、嫁に嫌われる姑の気持ちだわ…」
「娘にキモがられる父親とかじゃなくて…?」
「あ、そっちの方がなんかいいな。って、そうじゃなくて!」
朱崎は満面の笑みで、志雫の肩に手を置いた。
「お前、残念だったなー!!いや〜、頑張りは認めてるんだけどな?なんか、うん。お前普通!普通だったんだよ!!はははははッ!」
志雫の結果は、補欠残留。
朱崎の言う通り、志雫の成績は良くも悪くも目立たない、普通のド真ん中だった。
「でも極めつけは、あの最後!お前なにボーッとしてんだよ!!あっははは!!思い出したら腹がよじれそう……。俺の方見て真ん前を素通りしていくボール……くははっ、お前マジで面白いわ〜!」
朱崎は薄ら涙を浮かべながら、志雫の背中をバンバン叩き、腹を抱えて笑った。
最後に行われたバッティングの項目。
一本勝負の大事な場面だったはずなのに、審査席の朱崎を横目で見ていたせいで、投げられたボールに気付かず、呆気ない結果に終わった。
何が起こったのか分からなかった志雫は、しばらくバッターボックスに呆然と立ち、朱崎は大声で爆笑し、しばらくツボから抜け出せなかった。
「悪かったっスねぇ〜……。あんなに練習付き合ってもらったのに、顔に泥塗って…!」
「あははっ、拗ねるなよ〜。てか、たぶんあそこで打ってても、お前は補欠のままだったと思うぞ?」
「え……?」
「だってお前、練習の時から普通だったもん。やっぱダメだったな!ほら〜、言ったろ?『お前は大丈夫だ』って」
もちろん志雫は覚えている。
オーディション前に、志雫に勇気をくれた朱崎の言葉。
「……ッ!先輩ッ、俺がどっちにしろ補欠なの分かってて…!」
「…まあまあ!可哀想にと思って、俺も結構アピールしたんだぞ〜?でも、さすがにここは公平にいかないとな。あくまで部活であって、俺の好みは二の次だ」
「俺の熱くなった気持ちを返してくださいよぉ!!」
ここにきて、ようやく悔しさが込み上げてくる。
どちらかというと、結局朱崎に振り回されていたことに気付かなかった、自分の鈍感さからくる惨めな気持ちの方が、きっと大きいだろう。
