あれから数日、朱崎は野球部キャプテンとして、真面目に志雫へ野球のスキルを叩き込んだ。
志雫は、時に泣いて逃げたい気持ちもあったが、朱崎の熱い優しさと、自分から持ち掛けた約束を果たすという気力で耐え抜いた。
ついに、オーディションの日がやってくる……。
「志〜雫っ。…緊張してんのか?」
「ッ!先輩……」
清々しい快晴の秋空。
勝負服のようにいつものユニフォームに袖を通した志雫は、グラウンドを眺めていた。
見慣れたこのグラウンドで、今日、志雫の運命が決まる。
「固くなんなよ〜。いつも通りやればいいんだから!」
「……上手く、できますかね」
「…………志雫」
名前を呼ばれ、俯いていた顔を上げた。
「お前は大丈夫だ」
「……ッ!」
朱崎の顔と言葉は、志雫の人生の中で1番安心できた瞬間だった。
まだなにも始まっていないというのに、なんだか涙が溢れそうで、志雫は込み上げる感情をグッと堪えた。
「今までやってきたこと、全部出してこい!」
「はいッ!」
___
ついに、新レギュラーメンバー選抜オーディションが幕を開けた。
内容は至ってシンプルで、野球の基礎トレーニングのような内容をいくつか行い、個人の記録を競う。
この日のために訓練を重ねた志雫は、レギュラーメンバーにもついていける程まで成長していた。
「よーし、次が最後だ。呼ばれたやつから順番にバッターボックスに立って、思いっきり打ってみろ!これはたった1本切りだから、集中しろよ〜」
ついに最終項目。
朱崎の1番の武器、志雫が何より力を入れたバッティング。
かなりの体力を使って疲れているはずなのに、志雫は今日1番のやる気が出てきた。
「次ッ!志雫ァ!」
「ッはい!」
名前を呼ばれ、バッターボックスに向かう。
緊張しないつもりでいたはずなのに、心臓は勝手に鼓動を早くする。
バッターボックスに立ち、志雫は広いグラウンドを見渡した。
見慣れたグラウンドのはずなのに、初めて見る景色のような新鮮な気持ちが込み上げる。
(……先輩は、いっつもこんな気持ちで立ってたのかな)
1度、深呼吸をして気持ちを整え、ゆっくりとバットを構える。
合図の笛の音。
ふと、志雫は審査席に座る朱崎を横目に見た。
先程見せた安心感のある笑顔をしていた。
『大丈夫』、そう言っている気がした。
志雫は、時に泣いて逃げたい気持ちもあったが、朱崎の熱い優しさと、自分から持ち掛けた約束を果たすという気力で耐え抜いた。
ついに、オーディションの日がやってくる……。
「志〜雫っ。…緊張してんのか?」
「ッ!先輩……」
清々しい快晴の秋空。
勝負服のようにいつものユニフォームに袖を通した志雫は、グラウンドを眺めていた。
見慣れたこのグラウンドで、今日、志雫の運命が決まる。
「固くなんなよ〜。いつも通りやればいいんだから!」
「……上手く、できますかね」
「…………志雫」
名前を呼ばれ、俯いていた顔を上げた。
「お前は大丈夫だ」
「……ッ!」
朱崎の顔と言葉は、志雫の人生の中で1番安心できた瞬間だった。
まだなにも始まっていないというのに、なんだか涙が溢れそうで、志雫は込み上げる感情をグッと堪えた。
「今までやってきたこと、全部出してこい!」
「はいッ!」
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ついに、新レギュラーメンバー選抜オーディションが幕を開けた。
内容は至ってシンプルで、野球の基礎トレーニングのような内容をいくつか行い、個人の記録を競う。
この日のために訓練を重ねた志雫は、レギュラーメンバーにもついていける程まで成長していた。
「よーし、次が最後だ。呼ばれたやつから順番にバッターボックスに立って、思いっきり打ってみろ!これはたった1本切りだから、集中しろよ〜」
ついに最終項目。
朱崎の1番の武器、志雫が何より力を入れたバッティング。
かなりの体力を使って疲れているはずなのに、志雫は今日1番のやる気が出てきた。
「次ッ!志雫ァ!」
「ッはい!」
名前を呼ばれ、バッターボックスに向かう。
緊張しないつもりでいたはずなのに、心臓は勝手に鼓動を早くする。
バッターボックスに立ち、志雫は広いグラウンドを見渡した。
見慣れたグラウンドのはずなのに、初めて見る景色のような新鮮な気持ちが込み上げる。
(……先輩は、いっつもこんな気持ちで立ってたのかな)
1度、深呼吸をして気持ちを整え、ゆっくりとバットを構える。
合図の笛の音。
ふと、志雫は審査席に座る朱崎を横目に見た。
先程見せた安心感のある笑顔をしていた。
『大丈夫』、そう言っている気がした。
