「それで野球部の人たち、あんなに張り切ってるんだ」
「そーそー。そんで、来月の他校との練習試合で新レギュラーメンバーの初披露にするんだって〜。元々レギュラーのやつは降格になるの避けたいだろうし、補欠のやつはまたとないチャンス。オーディションなんて楽しそうに言ってたけど、朱崎先輩も鬼畜なこと考えるよな〜」
「で、京翔は?今日は朝練どうしたの」
「普通に寝坊した」
志雫と羽田本は、久しぶりに2人で朝の通学路を歩いていた。
オーディションに向け、野球部員は前以上に練習に燃えていた。
志雫も以前よりやる気は出ているが、レギュラーに入りたいほど熱くはなっていない。
___
その日の午後、部員たちは暗くなるギリギリまでグラウンドで自主練習に励んでいた。
夕日のオレンジが鮮やかに差し込むグラウンドを、志雫はぼーっと眺め、部員たちの練習が終わるのを待っていた。
(もう終われよ〜。なんでこんな日に鍵当番なんだよ……)
この日、志雫は持ち回りの鍵閉め当番だった。
そのため、他の部員たちが練習を終わってくれないと、自分も帰れないのだ。
志雫は、自分で決めた練習メニューをすでに終えて暇になり、やらなくてもいいバットの掃除をしていた。
(……あいつら頑張るな〜。まぁ、野球したくて入ったやつらは本気度がちげぇよな)
ふと、あの日の朱崎の言葉を思い出した。
— 砕けても自力で立ち直るくらいの気力がねぇと、俺だってこの座は渡さねぇよ?
(……あの人も、野球好きだったんだろうな〜。それがたかがケガで結果残せないとか…悔しいよな〜……)
こんな時にでも気になるのは、やはり朱崎のことだった。
ふと、手に持ったバットを見つめた。
朱崎の得意のバッティング。
いつだって力強く、ここぞという時にはホームランを打ってチームを勝利に導いていた。
今のレギュラーメンバーでも、朱崎の次に出るようなバッターはいない。
志雫は何を思ったのか、バットを持ってゆっくりと立ち上がった。
ここ最近、ずっと見ていた朱崎のバッティングの様子を思い出しながら、バットを構えて大きく振った。
「………」
納得いかなかったのか、もう一度。
バットの持ち方や足の向きを微調整しながらもう一度、とスイングを続けた。
「……ボール、投げてやろうか?」
志雫の背後から朱崎の声が聞こえた。
すでに制服に着替えた朱崎が立って、志雫に笑顔を向けていた。
「そーそー。そんで、来月の他校との練習試合で新レギュラーメンバーの初披露にするんだって〜。元々レギュラーのやつは降格になるの避けたいだろうし、補欠のやつはまたとないチャンス。オーディションなんて楽しそうに言ってたけど、朱崎先輩も鬼畜なこと考えるよな〜」
「で、京翔は?今日は朝練どうしたの」
「普通に寝坊した」
志雫と羽田本は、久しぶりに2人で朝の通学路を歩いていた。
オーディションに向け、野球部員は前以上に練習に燃えていた。
志雫も以前よりやる気は出ているが、レギュラーに入りたいほど熱くはなっていない。
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その日の午後、部員たちは暗くなるギリギリまでグラウンドで自主練習に励んでいた。
夕日のオレンジが鮮やかに差し込むグラウンドを、志雫はぼーっと眺め、部員たちの練習が終わるのを待っていた。
(もう終われよ〜。なんでこんな日に鍵当番なんだよ……)
この日、志雫は持ち回りの鍵閉め当番だった。
そのため、他の部員たちが練習を終わってくれないと、自分も帰れないのだ。
志雫は、自分で決めた練習メニューをすでに終えて暇になり、やらなくてもいいバットの掃除をしていた。
(……あいつら頑張るな〜。まぁ、野球したくて入ったやつらは本気度がちげぇよな)
ふと、あの日の朱崎の言葉を思い出した。
— 砕けても自力で立ち直るくらいの気力がねぇと、俺だってこの座は渡さねぇよ?
(……あの人も、野球好きだったんだろうな〜。それがたかがケガで結果残せないとか…悔しいよな〜……)
こんな時にでも気になるのは、やはり朱崎のことだった。
ふと、手に持ったバットを見つめた。
朱崎の得意のバッティング。
いつだって力強く、ここぞという時にはホームランを打ってチームを勝利に導いていた。
今のレギュラーメンバーでも、朱崎の次に出るようなバッターはいない。
志雫は何を思ったのか、バットを持ってゆっくりと立ち上がった。
ここ最近、ずっと見ていた朱崎のバッティングの様子を思い出しながら、バットを構えて大きく振った。
「………」
納得いかなかったのか、もう一度。
バットの持ち方や足の向きを微調整しながらもう一度、とスイングを続けた。
「……ボール、投げてやろうか?」
志雫の背後から朱崎の声が聞こえた。
すでに制服に着替えた朱崎が立って、志雫に笑顔を向けていた。
