「…大丈夫か、翼?保冷剤とかねぇのかな…」
「せんぱぁい……」
「バッカ、動くな。鼻つまんで転んどけ」
なんとかパラソルの下まで運ばれた詠瀬は、大人しく志雫の言うことを聞いた。
「あ〜…もうこれでいっか。ほら翼、顔当てとけ」
クーラーボックスに入っていた氷をタオルに包んで、簡易的な氷嚢を作り、詠瀬の額に押し当てた。
日陰でも分かるほど、詠瀬の顔は赤くなっている。
「熱中症か…?あんなに水浴びてたのに、なんでこんな逆上せたみたいになってんだよ」
「ずびばぜん…」
「あーー、ティッシュ詰めとくか……。ちょっとこれ持ってろ。……荷物多いな、どこになにがあるんだよ」
志雫はもう海どころではなくなってしまった。
必要な物を探し出している志雫の後ろ姿を、詠瀬はぼーっと見ていた。
「あった。翼〜、鼻にティッシュ詰めとけ」
「……せんぱい」
「あ?…どした?」
「…………」
「翼…?おーい、大丈夫か?」
「せんぱぃ……あついですね……」
「おー。そんな顔、真っ赤だったらあちぃだろうよ」
「ちが……そうじゃなくて…」
「え?なんて?」
詠瀬はぽそぽそと、か細い声で話し始めた。
志雫が渡した氷嚢で顔はほぼ隠れてしまっているが、だんだん詠瀬の口元は弧を描きだし、話す声色はなんだか嬉しそうだった。
「へへ……熱いです…先輩」
「氷増やすか?」
「…………好きです、先輩」
「……はぇ?」
詠瀬は氷嚢を顔から取ると、赤い顔のまま爽やかな笑顔を見せた。
そして突然の告白。
こういった発言は、今までも度々突然することがあったが、この時はさすがの志雫も心配の方が勝った。
「なんだよお前…急に……。暑さボケか?」
「違います……。俺、ずっと楽しくて……こんなに、ずっとドキドキしてて…胸が、熱いんです」
話し続ける詠瀬の目は、嬉しそうにキラキラと潤んでいた。
志雫はその目に意識を奪われ、目を逸らすことができなかった。
「好きって、きっと…こういう気持ちなんですよね…。ここ数週間…先輩のこと考えてると、ずっと、こんな気持ちで…。なんか、急に頭がクラクラしてきちゃって……やっぱ好きだな〜って…先輩のこと」
「は……な、なに…言ってんだよ……お前…」
「……先輩」
まるで詠瀬の顔の赤みが感染ったように、志雫の顔も、赤く色付きはじめた。
詠瀬は志雫の手を取り、続けて喋った。
「先輩も、俺と同じ気持ちになってほしいです。そうなってもらえるように、俺、頑張ります。だから…俺といる時は、俺から目を離さないで下さいね?」
志雫はこの時、初めて気が付いた。
なぜ自分は、詠瀬の真っ直ぐな瞳が苦手なのか。
詠瀬の気持ちも同じように真っ直ぐで、直視したら、そのまま飲み込まれてしまいそうだったからだ。
「せんぱぁい……」
「バッカ、動くな。鼻つまんで転んどけ」
なんとかパラソルの下まで運ばれた詠瀬は、大人しく志雫の言うことを聞いた。
「あ〜…もうこれでいっか。ほら翼、顔当てとけ」
クーラーボックスに入っていた氷をタオルに包んで、簡易的な氷嚢を作り、詠瀬の額に押し当てた。
日陰でも分かるほど、詠瀬の顔は赤くなっている。
「熱中症か…?あんなに水浴びてたのに、なんでこんな逆上せたみたいになってんだよ」
「ずびばぜん…」
「あーー、ティッシュ詰めとくか……。ちょっとこれ持ってろ。……荷物多いな、どこになにがあるんだよ」
志雫はもう海どころではなくなってしまった。
必要な物を探し出している志雫の後ろ姿を、詠瀬はぼーっと見ていた。
「あった。翼〜、鼻にティッシュ詰めとけ」
「……せんぱい」
「あ?…どした?」
「…………」
「翼…?おーい、大丈夫か?」
「せんぱぃ……あついですね……」
「おー。そんな顔、真っ赤だったらあちぃだろうよ」
「ちが……そうじゃなくて…」
「え?なんて?」
詠瀬はぽそぽそと、か細い声で話し始めた。
志雫が渡した氷嚢で顔はほぼ隠れてしまっているが、だんだん詠瀬の口元は弧を描きだし、話す声色はなんだか嬉しそうだった。
「へへ……熱いです…先輩」
「氷増やすか?」
「…………好きです、先輩」
「……はぇ?」
詠瀬は氷嚢を顔から取ると、赤い顔のまま爽やかな笑顔を見せた。
そして突然の告白。
こういった発言は、今までも度々突然することがあったが、この時はさすがの志雫も心配の方が勝った。
「なんだよお前…急に……。暑さボケか?」
「違います……。俺、ずっと楽しくて……こんなに、ずっとドキドキしてて…胸が、熱いんです」
話し続ける詠瀬の目は、嬉しそうにキラキラと潤んでいた。
志雫はその目に意識を奪われ、目を逸らすことができなかった。
「好きって、きっと…こういう気持ちなんですよね…。ここ数週間…先輩のこと考えてると、ずっと、こんな気持ちで…。なんか、急に頭がクラクラしてきちゃって……やっぱ好きだな〜って…先輩のこと」
「は……な、なに…言ってんだよ……お前…」
「……先輩」
まるで詠瀬の顔の赤みが感染ったように、志雫の顔も、赤く色付きはじめた。
詠瀬は志雫の手を取り、続けて喋った。
「先輩も、俺と同じ気持ちになってほしいです。そうなってもらえるように、俺、頑張ります。だから…俺といる時は、俺から目を離さないで下さいね?」
志雫はこの時、初めて気が付いた。
なぜ自分は、詠瀬の真っ直ぐな瞳が苦手なのか。
詠瀬の気持ちも同じように真っ直ぐで、直視したら、そのまま飲み込まれてしまいそうだったからだ。
