「いいかぁ翼。お前の誘いにはのってやる」
「本当ですか…!ありがとうございます」
ある日の休み時間。
詠瀬に捕まってしまった志雫は、この場をもって、ようやく詠瀬に例の返事をした。
「じゃあさっそく予定なんですけど」
「待て待て!まだある!……誘いにはのってやるけど、条件がある」
「なんですか?」
「いいか……それはな………」
深刻な顔をする志雫と、それを真剣に見つめる詠瀬。
2人に異様な緊張が漂った。
「……次の中間テスト、赤点を取らないことだ」
「…………」
「いいか、翼。俺らの本業は勉強だ。分かるか?理解、オーケー?」
「はい」
「だから俺も、そんでお前も、中間テストで赤点取らないことが条件だ。1教科でも赤点取ったら、この話は無しだ。……胸張って言えることじゃねえが、俺は……すでに先公に目を付けられてる」
志雫は立ち上がり、窓の外を眺めながらそう告げた。
無駄に格好つけていることには詠瀬は全く触れず、至って真剣に志雫の話を聞いている。
「この学校の謎システムは知ってっか?勉強問題児の生徒だけは、全テスト終了したその時点で、赤点があるかが発表されるんだ」
「テスト最終日のホームルームで、クラス全員の前で公開処刑されるっていうやつですね」
「あぁそうだ。先公が裏でちまちまと対象生徒をリストアップしてんだ。…そして………俺はすでにそのリストに載っている」
志雫は至って真剣に話を続ける。
「テスト最終日に名前を呼ばれた奴は、問答無用でその日から補習が始まる。夏休みももちろんだ……。しかも、夏休み補習の許可をもらうために家庭訪問までさせられる……。分かるか…?高校生にもなって、先公が家に来ることの恥ずかしさ……」
「分かりません」
「そうだよな…………。俺は知ってんだ……」
無垢な表情で答える詠瀬。
志雫は、小さな子どもに向けるような慈愛の表情を浮かべながら、詠瀬の頭を優しく撫でた。
「もう、あんな思いをするのは御免だ……。今回は俺も手は抜かねぇつもりでいる。だから詠瀬……お前も頑張れよ…」
「格好つけんな志雫」
「お前、年下にそんなこと言って恥ずかしくねーのか」
「去年も勉強見てくれた羽田本に謝れ」
「そーだぞ。羽田本が可哀想だ」
「髪かき上げんな」
「流し目やめろ、キショい」
「キショ雫」
「ポッケから手ぇ出せ、キショ雫」
「流し目やめろ、キショ雫」
「お前ら、うるせぇッッ!!」
志雫が話し終えるのを待っていたかのように、その場で一緒に話を聞いていたクラスメイトが、寄って集って志雫にブーイングを言いまくる。
「…赤点を取らなければいいんですか?1位を取れとかではなくて?」
「もちろんだ。んな過酷なことは言わねぇよ。まぁ、俺の為と思って、精々頑張ってくれ」
「………」
念押しのように、志雫は詠瀬の頭をワシャワシャと撫でた。
詠瀬は何か考えているのか、ついには黙り込んだ。
「いたーーッ!!詠瀬お前ッ、先輩に迷惑かけんなって言ってんだろ!!??戻るぞ!!次、体育なんだから、のんびりしてる暇ねぇぞ!!」
教室の出入口から、1人の生徒がやって来た。
詠瀬はクラスメイトに襟を掴まれ、無抵抗のまま引きずられ回収されていった。
(……詠瀬。まぁ、お前もリストに載らないことを祈っておくぜ……)
志雫は心の中で、詠瀬に敬礼を送った。
「本当ですか…!ありがとうございます」
ある日の休み時間。
詠瀬に捕まってしまった志雫は、この場をもって、ようやく詠瀬に例の返事をした。
「じゃあさっそく予定なんですけど」
「待て待て!まだある!……誘いにはのってやるけど、条件がある」
「なんですか?」
「いいか……それはな………」
深刻な顔をする志雫と、それを真剣に見つめる詠瀬。
2人に異様な緊張が漂った。
「……次の中間テスト、赤点を取らないことだ」
「…………」
「いいか、翼。俺らの本業は勉強だ。分かるか?理解、オーケー?」
「はい」
「だから俺も、そんでお前も、中間テストで赤点取らないことが条件だ。1教科でも赤点取ったら、この話は無しだ。……胸張って言えることじゃねえが、俺は……すでに先公に目を付けられてる」
志雫は立ち上がり、窓の外を眺めながらそう告げた。
無駄に格好つけていることには詠瀬は全く触れず、至って真剣に志雫の話を聞いている。
「この学校の謎システムは知ってっか?勉強問題児の生徒だけは、全テスト終了したその時点で、赤点があるかが発表されるんだ」
「テスト最終日のホームルームで、クラス全員の前で公開処刑されるっていうやつですね」
「あぁそうだ。先公が裏でちまちまと対象生徒をリストアップしてんだ。…そして………俺はすでにそのリストに載っている」
志雫は至って真剣に話を続ける。
「テスト最終日に名前を呼ばれた奴は、問答無用でその日から補習が始まる。夏休みももちろんだ……。しかも、夏休み補習の許可をもらうために家庭訪問までさせられる……。分かるか…?高校生にもなって、先公が家に来ることの恥ずかしさ……」
「分かりません」
「そうだよな…………。俺は知ってんだ……」
無垢な表情で答える詠瀬。
志雫は、小さな子どもに向けるような慈愛の表情を浮かべながら、詠瀬の頭を優しく撫でた。
「もう、あんな思いをするのは御免だ……。今回は俺も手は抜かねぇつもりでいる。だから詠瀬……お前も頑張れよ…」
「格好つけんな志雫」
「お前、年下にそんなこと言って恥ずかしくねーのか」
「去年も勉強見てくれた羽田本に謝れ」
「そーだぞ。羽田本が可哀想だ」
「髪かき上げんな」
「流し目やめろ、キショい」
「キショ雫」
「ポッケから手ぇ出せ、キショ雫」
「流し目やめろ、キショ雫」
「お前ら、うるせぇッッ!!」
志雫が話し終えるのを待っていたかのように、その場で一緒に話を聞いていたクラスメイトが、寄って集って志雫にブーイングを言いまくる。
「…赤点を取らなければいいんですか?1位を取れとかではなくて?」
「もちろんだ。んな過酷なことは言わねぇよ。まぁ、俺の為と思って、精々頑張ってくれ」
「………」
念押しのように、志雫は詠瀬の頭をワシャワシャと撫でた。
詠瀬は何か考えているのか、ついには黙り込んだ。
「いたーーッ!!詠瀬お前ッ、先輩に迷惑かけんなって言ってんだろ!!??戻るぞ!!次、体育なんだから、のんびりしてる暇ねぇぞ!!」
教室の出入口から、1人の生徒がやって来た。
詠瀬はクラスメイトに襟を掴まれ、無抵抗のまま引きずられ回収されていった。
(……詠瀬。まぁ、お前もリストに載らないことを祈っておくぜ……)
志雫は心の中で、詠瀬に敬礼を送った。
